第38話:一緒に大会出ない?
「無理だってmmを誘うのは」
AP○Xの大会にmmを誘いおれと3人で大会に出場したいと言う雪弥を説得する。
「どうして無理なの?いつもコラボしてるのに」
好きな人がいるmmに対して男二人でゲームをさせるのはどう考えても間違えている。
「じゃあそまりならどう??」
「そまりさん?やってくれそうなの?」
「たぶん参加してくれるよ、お祭りごと大好きだし」
そまり…いやまりさんは楽しいことがあれば飛びついてくる性格だ。
きっと乗ってくれる。
♦♢♦
―――― SNS【そまり】――――
『やだ』
『え?』
『まずFPSって好きじゃないんだよねー、それに練習とかで時間を拘束されるのもやだー』
『じゃあ練習はしなくていいから、当日出るだけでも!』
『しつこい男は嫌われるぞ、きょーたろうくん。じゃあねー』
『あ、ちょっと!』
―――― SNS【そまり】――――
いつものようにまりさんから返事は返ってこなかった。
どうする…おれも雪弥も実況者の友達なんて他にいないし…。
やっぱり断念しよう、雪弥にLI○Eで伝えるか。
ピピピ、SNSの通知。
…mmからだ。
―――― SNS【mm】――――
『おつかれさまロキ』
『どうしたの?』
『昨日のことなんだけど、気にしなくていいから』
『昨日のことって?』
―――― SNS【mm】――――
分かってるんだけど敢えてピンときていないふりをしよう。
―――― SNS【mm】――――
『だから、私に好きな人がいるからこれからは気をつける…みたいなこと』
『ああ、そのことね。でもおれとゲームしてたらその人は勘違いしちゃうんじゃないかな?』
『それはないよ!本当に大丈夫…』
―――― SNS【mm】――――
そういった心配はしてないのか…。
リアルの人なのかな。
―――― SNS【mm】――――
『わかった、なんかごめんね振り回しちゃって』
『ううん、こっちこそだよ。気遣ってくれてありがとね』
―――― SNS【mm】――――
じゃあ、これからも一緒にゲームしていいってことだよな?
―――― SNS【mm】――――
『お願いがあるんだけどさ』
『なに?また恋愛相談??』
『ちがうよ。あのさ、mmってAP○X得意だよね?』
『え?それなりだよ?』
『えーっと…一緒に大会に出てくれない?もしよければなんだけど』
―――― SNS【mm】――――
あれ?これなんかデートの誘いみたいになってないか?
―――― SNS【mm】――――
『え…』
『だめかな』
『ううん、出たい!ロキと一緒に大会出たい!』
『え、いいの??』
『うん!ロキと一緒に出られるなんて夢みたい!』
―――― SNS【mm】――――
相当AP○X好きなんだなあ。
―――― SNS【mm】――――
『ありがとね、でさもう一人一緒に出場してくれる人がいるんだけど、大丈夫かな?』
『あ、そうだよねトリオだからね。ロキの友達??』
『うん、まあ廃リバーなんだけどさ、mmは絡みないから大丈夫かなって』
『…大丈夫かなあ…。嫌な思いさせちゃったりしないかな…』
『あいつ優しいしmmだって人に嫌われるような性格じゃないし大丈夫だよ』
『だといいな…』
『近々顔合わせっていうか、通話しない?』
『分かった、準備しておくね』
―――― SNS【mm】――――
ふぅ、なんとか取り入れることができた。
そうだ、雪弥にLI○Eするんだったな。
―――― LI○E【雪弥】 ――――
『mmが一緒にやってくれるって』
―――― LI○E【雪弥】 ――――
雪弥絶対喜ぶだろうなあ。
ラインっ。
お、もう返信来たか。
―――― LI○E【雪弥】 ――――
『ほんと!?』スタンプ:やったー!
『今度3人で通話するからね』
『うん!ありがとね!』
―――― LI○E【雪弥】 ――――
雪弥はおれ以外とゲームすることあまりないみたいだからなあ。
でも前に莉未にモン〇ン教えてたって言ってたっけ。
まあいいか。
♦♢♦
その日の夜
プルルプルルプルル、スマホの電話だ。
…見ない番号だな。
出ない方がいいかな…でも気になるから出るか。
ポチッ
―――― スマホ通話【?】――――
『早く出ろよな!』
『え、誰??…ってその声…』
『瑠美だよ!もう、登録してなかったの!?』
―――― スマホ通話【瑠美】――――
登録も何も直接交換したことないんだけど。
―――― スマホ通話【瑠美】――――
『どうしたの?瑠美ちゃん』
『ゲーム教えて!』
『ええ?何?藪から棒に』
『雪弥くんとゲームするの!』
『なんで??』
『もう、しつこいなあ。莉未ねぇばっかりずるいんだもん!あたしも雪弥くんとゲームしたい!』
―――― スマホ通話【瑠美】――――
あー、なんとなく分かってきた。
莉未に雪弥のことを聞いて、一緒にゲームをしたことあるよ、とでも言われたのかな。
―――― スマホ通話【瑠美】――――
『なんのゲームやるの?てかゲーム持ってるの?』
『ないに決まってるじゃん』
―――― スマホ通話【瑠美】――――
前途多難だな。
―――― スマホ通話【瑠美】――――
『んー、雪弥も持ってるゲームをおれが貸すよ』
『ホント!?』
『うん、それとさ。おれに教わるんじゃなくて雪弥に直接教えてもらえば?』
(おれ人にゲーム教えてる時間ないんだよね、大会のための練習しないとだし)
『そんなの無理だよ!…絶対に雪弥くんの足引っ張っちゃうもん…』
―――― スマホ通話【瑠美】――――
不良っ子だけど雪弥みたいな大人しいやつに惹かれるなんて意外だよなあ。
―――― スマホ通話【瑠美】――――
『雪弥は優しいから大丈夫だよ。手取り足取り教えてくれるよ』
『手取り足取り……何恥ずかしいこと言ってるの!バカじゃないの!?』
『えぇ』
『嬌太郎のバカ!明日ゲーム借りにアパート行くからね!』
―――― スマホ通話【瑠美】――――
プツッあ、切られた。結局借りに来るんだ。
…恋だなあ。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦
翌日
ゲームを借りにきた瑠美にスイ〇チとモン〇ンを持たせ雪弥の待つマクド〇ルドへ連れて行き、不安そうな顔でちょいちょいおれの顔を見る彼女を置き、半ば強引に抜け出し大学へ行くことにした。
帰り際振り向くとゲーム仲間が増えたからか雪弥は、顔を赤くし俯く瑠美に笑顔で熱く語っていた。
うーん、こうなるとおれと雪弥とmmの3人でAP○Xの練習をするのは少し先に伸びそうだな。
まずはmmと二人で練習して、雪弥と合流するまでに少しでも上達しておくか。
じゃあ、さっそく…。
―――― SNS【mm】――――
『おつかれ、今日とか明日AP○Xの練習付き合ってもらっていい?廃リバーが用事できちゃったみたいでさ』
―――― SNS【mm】――――
まあその用事もおれが作らせちゃったようなもんなんだけど。
―――― SNS【mm】――――
『おつかれ!うんいいよ。今日やる?』
『いいの?21時とかでいい?』
『いいよー、じゃあ時間になったら通話しようね』
―――― SNS【mm】――――
あっさりOKもらえちゃったな。
「嬌太郎、何そんなとこでニヤニヤしてんだ?気持ちわりーな…」
講義を終えてきた瑛人が廊下のベンチに腰をかけていたおれに立ち止った。
「は?ニヤニヤなんてしてねーよ」
「いーや、してたね。またなんか隠してんだろ、女か??」
「うるせーよ、飯行こうぜ」
mmとゲームするのはコラボ以来だよな。
―――― ちょっと楽しみだな。




