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双子ちゃんと理想郷

昨日、秋原さんが受けた町民の話を話しながら町長室で仕事をしていた。


「へぇ。双子ですか」

「そうなんですよ。あ、こっちです。はい、そこです。全く見分けがつかなくて、みるくちゃんが書いたほうをみるくちゃんに渡したらくるみちゃんだったり、その逆もあったりで、なんか大変でした」

「住民課の仕事も大変ですなー」

「書類書いてもらったりするだけだったんで、やらせてもらっちゃいました。いい経験でした」

「僕もその双子を見てみたかったです」

「アレだけそっくりで仲良しな双子なら、そのへん歩いてたら見れますって。南小学校なんで、駅前とかで会うかもしれないですよ?」

「じゃあちょっとおしゃれしていかないと」

「…町長ってロリコンだったんですか?」

「違いますって。小さい子に『えっ、あれが町長?』とか思われたくなじゃないですか。どうせなら『町長超かっこいい!』って言われたいじゃないですか。あっ、今のは『町長』と『超』をかけたんですよ」

「どうでもいいです。はい、これハンコ押してください」

「アッハイ」

「それにしても町民からの要望も多いですねぇ」


秋原さんが、机に積まれた書類の山を見てそう言った。


「一応目は通したけど、みんなの言うこともわかるんですよ。でも全部受け入れられないのが辛いところです…」

「えっ!? これ、全部に目を通したんですか?」

「えっ…通しましたけど…ダメでした?」


秋原さんが驚いて言うもんだから、何か間違ったことをしてしまったのかと少し身構えた。


「いえ、意外と真面目なんだと思いまして。ちょっと見直しました」

「はぁ、ありがとうございます。でもそろそろ何か目標とか決めたほうがいいんですかね? 政策っていうかマニフェストっていうか、そんなの」

「何か、いい案でもあるんですか?」

「うろな町を住みやすい町にするっていうのが当面の目標ですかね。できるだけみんなの要望を取り入れていきたいですし」

「フフ。お爺様もそんなこと言ってましたよ。やっぱり似るものなんですね。血は争えないというかなんというか」


たしかにじいさんも『うろな町を誇れる街にする』っていうのが口癖のような目標だった。

俺も少なからずじいさんの影響を受けているのだろうし、目標像がじいさんなのかもしれない。

まだぼんやりとしか見えてないけど、目標はじいさんと同じ道なんだと思う。


「そーゆーのはみんな似るんですよ。この街で育ってるんですから。秋原さんだって、そーゆー町にしたいと思ってるんじゃないですか?」


俺の言葉に胸を張って答える秋原さん。


「当然です。この町を素晴らしい町にしていく町長をお助けするのが私の仕事です。この町大好きですもん」

「僕もです。さっ。住みよい町にするためにもお仕事しましょうか」

「ですね。次はこの書類です」

「了解です」

パッセロさんの双子ちゃんをお借りしました。

なかなか町民との交流にたどり着けない町長。

スレ違いばかりで運のない町長w

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