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にゃあ

明日からは連休ということもあって、少し残業をして仕事を残らないようにした後、帰宅して風呂に入り、夕食も済ませて、リビングでニュースを見ていた。


『21時のニュースをお伝えします。

うろな町中央公園付近の路上で17時50分頃、焼死体で発見された女性の名前が、町内の高校に通う“鍋島 サツキ(17)”さんだと判明しました。

うろな町警察署によりますと、傍に落ちていたライターが火元だと考え自殺とみて調査を進める方針ですが、現場や死体には不可解な点も多く残されており、他殺の可能性も視野に入れていくそうです。

 同署は情報提供を求めています。


 それでは、続いてのニュースをお伝えします。

●×動物園で、ライオンで生まれたライオンの赤ちゃんが、初めてお披露目されることに―――』



「えっ?」


俺は全く知らなかった。

残業をして、町役場を出たのが午後7時。

テレビを見ていなかったとはいえ、電話の一本も来ていなかったため、いつも通りの連休前だと思っていたら、こんな事件が起きていたとは。

あまりにも驚愕の事実すぎてどうしたらいいかわからなかった。

高校。高校の先生で知り合いはいるが、こんな時間に事の詳細を聞くためだけに連絡をするのは気が引ける。

というよりも、『焼死体』?

雨の山の中で『焼死体』?

少し不思議にも思うが、驚きのあまりに頭が全然回らない。

とりあえずさっきのニュースをやっているところを探すためにチャンネルを変えてみるが、すでに午後9時からの番組が始まってしまっていて、ニュースなんかどこでもやっていなかった。

まさか自分の町で人が死ぬ事件が起きるなんて……


ピロリロピロリン


テーブルの上に置いてあったスマホが音をたてた。

画面を見ると、秋原さんからだった。


「もしもし」

『町長! 見ましたか!? ニュースです! テレビついてます!?』

「あー…見ました。見ちゃいました」

『…知ってました?』

「いえ、初耳でした。ということは秋原さんも?」

『はい。鍋島サツキさんって、あの元気な女の子ですよね?』

「多分。ケイドロ大会にも出てたはずだし、夏祭りの時もいたはずなので…」

『……』

「……」


不意に訪れる沈黙。

きっと秋原さんも同じ心境なんだと思う。

聞きたいことはあるのだが、何を聞いたらいいのか、何を話したらいいのかわからない。

完全に混乱している。

ここにもう一人いたとしても、きっと同じ状況になるだろう。


「とりあえず、明日町役場に来れますか?」

『私は大丈夫ですけど、せっかくのお休みなのにいいんですか?』

「休んでても落ち着かないと思うので。仕事は残ってないんですけど、、今は誰かと話したい気分なんです」

『フフ。私もそんな感じですね。では明日の…お昼前ですか?』

「ですね。11時くらいにしましょうか」

『わかりました。では明日』

「はい。おやすみなさい」


そう言って電話を切った。

三連休の初日ではあるが、秋原さんと町役場で会うことになった。

別に推理をして犯人を捕まえようとかそんなことを考えているのではない。ただ事件のことについて話したかったのだ。

知っている子なだけに、驚きも大きい。

きっと仲の良かった子達のほうがショックは大きいんだろうが、ショックは大きい。

とりあえず、明日は秋原さんに会って状況を整理しようと思う。

『人間どもに不幸を』の43話とリンクしております。

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