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75話 マスコミ対策①

 文化祭が終わった、翌日から三雲高校の校門前に怪しい、カメラを持った集団が現れた

カメラを持っていない者はスマホのカメラ機能で学校を撮影している。

伊集院秀樹を追いかけていたマスコミが、娘のひまりのことを嗅ぎつけたのだろう。


 伊集院秀樹はひまりのことを非常に可愛がっており、マスコミに騒がれることを嫌がって、今まで一切、娘のひまりの居場所をマスコミへ明かしていなかった。


 それが伊集院秀樹が三雲高校の文化祭へ来たことで、バレてしまった。

そのことを知った、光輝とひまりは、今はアパートへは別々の時間に、別々のルートを通って帰っている。

どこまで用心していても、用心しすぎることはない。

マスコミはしつこいとテレビでも言っている。



「ひまり、光輝……少し話したいことがある……私について来なさい」



 朝のHRが終わると、小室先生が光輝とひまりを呼び出した。

小室先生と一緒に向かうのは生徒指導室だ。


 生徒指導室の部屋へ入ると、小室先生が奥の席に座り、ひまりと光輝は対面の席にすわる。

そこで1冊の雑誌が2人の前に開かれた。


 それはスクープと書かれていて、ひまりが夕方に光輝のアパートは入っていく姿が写真に撮られている。

そして夜になってから光輝がアパートへ入る写真も載っていた。

2人とも素人ということと、学生ということもあり、顏にはモザイクがかけられている。

雑誌の記事では2人とも、アパートに入ったまま、朝まで出てこなかったと書かれていた。



「この記事と写真を信じているわけではないが……2人が付き合っていることは私も知っている。まさか光輝の家に泊まって、2人っきりで夜を過ごしたりしていないだろうな。それは不純異性交遊に該当する」



 光輝は内心で焦る。

ひまりと同棲していることが学校側にバレかけている。

これは相当にヤバい。



「そんなことするはずないじゃん……私達……まだキスしかしたことないよ……先生」



 ひまりが爆弾を投下する。

小室先生の顏が引きつる。

キスもマズイ。

でも、ひまりが言ってしまったものは仕方がない。



「本当です……俺達、軽くキスする程度の付き合いで、深い付き合いはしていません」


「付き合っていればキスぐらいはするのだろう……そのことは聞かなかったことにする。他の先生方々には同じ話をするな」



 小室先生はキスのことに関しては不問にしてくれるらしい。

 ひまりにはこれからは軽々しく、そういうことは言わないように注意しておかなくてはいけない。

正直、小室先生で助かったと胸をなでおろす。



「それで……この記事に書いてあるように、光輝の部屋へは泊まっていないのだな?」


「泊まっていません。アパートへ遊びにくることは多いですが、夜遅くに迎えに来てもらっていますから」



 ひまりが答えるよりも早く光輝が答える。

ここで疑われるわけにはいかない。



「それなら良いのだが……これからは光輝の家に行くのは控えてもらいたい。マスコミ達がひまりを狙っている。また妙な記事を出されると、学校側も本格的に動くしかなくなる」



 ひまりがマスコミに狙われているのは確かなことだ。

これは相当にヤバい状況と受け取っておいたほうがいいだろう。

同棲がいつバレてもおかしくない。


 同棲がバレれば、軽くて停学……

そして、ひまりとの交際を学校側は認めないだろう。

交際については、光輝の祖父母も、ひまりの父親も認めていることなので、学校側も強くは出られないと思うけど。

やはり同棲がバレるのはマズイ。


 朝も別々の時間に登校するようにして、予防はしていたけれど、それだけでは足りない。

これは一度、伊集院秀樹と連絡を取る必要がありそうだ。



「ひまりのお父様が、伊集院秀樹氏で……一流の俳優であり、タレントであることは私も知っている。それにひまりも、美少女だ。マスコミが騒ぎ出すことは私も理解できる。学校側としては、ひまりをなるべく保護するつもりだ。光輝もひまりの保護を第一に考えろ。わかったな?」


「はい……わかりました。ひまりのことを第一に考えます」


「光輝と別れるなんてイヤよ……そんなのイヤだから」


「ひまりと別れたりしないよ。少しの間、マスコミが消えるまで用心しようという話を、小室先生としているだけだよ」



 今にも泣きそうになるひまりの髪をなでて落ち着かせる。

生徒指導室での話が終わって、光輝はひまりを連れて廊下を歩いていく。

そして階段を上って屋上へ向かう。

ひまりは不思議そうな顏をして、光輝の手を掴んでいる。


 屋上に出た光輝はスマホを取り出して、伊集院秀樹に連絡する。



《やあ、光輝くん……私からも連絡しようと思っていたんだ。気軽な気持ちで文化祭へ行ったこと、誠に申し訳ない。マスコミがひまりに目をつけるとは思ってもみなかった》


《やはり目的はひまりですか?》


《大手のプロダクションや芸能事務所から、ひまりをタレントにしたいという要望が殺到している。全て断っているが、今も狙っている所は多い。マスコミ達もしつこく追いかけてくる可能性がある》


《もう、俺のアパートでひまりと同棲するのは無理だと思います。雑誌にスクープ記事を撮られました。学校側にもバレるのは時間の問題でしょう。同棲がバレるとひまりも学校内でヤバいです》



 光輝は同棲がバレて、停学になったとしても耐える自信はある。

しかし、同棲となれば不純異性交遊を疑われる。

ひまりのほうが傷が深くなる。

そのことを光輝は一番気にかかる。



《そうだな……今日、柴田にリムジンで迎えに行かせる。当分はひまりは自宅で暮らさせよう。光輝くんにも心配をかけさせてすまん》


《そんなことはいいんです。ひまりさえ無事であれば、それでいいです》



 伊集院秀樹との連絡を終えて、スマホを切る。

するとひまりが光輝の胸の中へ飛び込んできた。

そして光輝の胸の中で大粒の涙を流して泣いている。



「いやだよ……光輝と離れるなんて絶対にイヤ……私も光輝のアパートで暮らしたい」


「今回は緊急事態だ。ひまりも理解してほしい。ひまりを守るためなんだ。マスコミがいなくなったら、また一緒に同棲できる。それまでは辛抱してほしい」


「イヤ……」



 ひまりが泣き止むまで、光輝はひまりをギュッと抱きしめて、背中をさすり続ける。

屋上の風は少し肌寒く、もうすぐ冬が到来することを報せているようだった。

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