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52話 夏休みの帰郷計画

 何回も唇に柔らかい感触が当たる夢を見る。

柔らかくて、暖かくて、良い香りがする。

真夜中にフッと目が覚めると、ひまりの美しい寝顔が目の前にある。

気が付くと、光輝とひまりはキスをしたまま眠っていた。

ひまりを起こさないように顔を離す。



「そこまでキスしたかったのか……もう少し、ひまりに配慮してあげたほうが良かったかな」



 光輝はスヤスヤと寝息を立てている、ひまりの髪をやさしくなでる。

光輝はひまりにキスをして、唇を触れさせる。

そして、ひまりを抱き寄せて、また睡魔の中へと落ちていった。







 朝5時になってアラームが鳴る前に光輝は目が覚める。

ひまりが起きないように、ベッドから起き上がり、ひまりを見る。

ひまりは少し透けたネグリジェ着て、とても色っぽい。

まだ起きる気配はない。

まだ、眠っているひまりに、もう1度キスをする。

ひまりの唇は柔らかくてとても気持ちがいい。

光輝はジャージに着替えて、顔を洗って、日課のランニングへと出かけた。







 ひまりと2人で定刻30分前に学校へ登校する。

今日のひまりは上機嫌で、いつも以上にニコニコと笑っている。

昨日のキスが、ひまりには嬉しかったのだろう。


 15分前に香織が登校してきた。

そして自分の席に鞄を置いて、光輝達の所へ歩いてくる。



「ひまり……なんか上機嫌やね。昨日なんかええことでもあったん?」


「光輝とキスをしたの……私のファーストキス。それから何回もキスをしたわ。だから香織には負けてない」


「なんや……あんな幼稚園の頃の話を、まだ考えていたんかいな。あれは幼稚園の時のことや。今のことやないんやで」


「そんなことわかってるわよ……私はただ、光輝とキスできたから喜んでいるだけよ」



 香織がニヤニヤと笑っている。

その笑顔の下には何か悪戯が潜んでいそうだ。

光輝はイヤな予感がする。



「それやったら、もう結婚の約束してもろたん? 私は光輝から結婚の約束してもらっとるで」



 香織……なんてことを言うんだ。

今まで上機嫌だったひまりの顔が曇り始めたじゃないか。

あまり、ひまりを挑発するようなことは言わないでくれ。



「あれは幼稚園の頃の話だろう……無効だよ……無効……香織はひまりのことをからかっているだけだ。ひまりも真剣に受け取るな」


「そんな挑発には乗らないし……私達はお父様公認の仲なんです。学校でも公認のカップルなのよ」


「そうやな……仲ええな。私も光輝の爺ちゃんからは光輝のお嫁さんになってもええと言われとるで」



 爺ちゃんがそんなことを香織に言っているとは思わなかった。

しかし、ノリの軽い爺ちゃんだ。

何を言い出すかわからない。



「それも爺ちゃんの悪戯だろう。香織もいい加減に、ひまりを挑発するのはやめろよ」


「だって爺ちゃんが、『光輝はどうせ彼女の1人もできひんから、誰もおらんかったら香織でええ』って言ってくれたんやもん」


「それじゃあ、その話は無効だ。現に高校にはいってから、ひまりという彼女ができている。だから爺ちゃんの言ったことは無効。絶対に無効だ」


「私……光輝のお爺ちゃんに会いたい。きちんと彼女ですって挨拶したい」



 困った。

夏休みに入れば時間もできる。

高校に入ってから祖父母の所へは帰ったことがない。

ひまりが希望するなら、ひまりを連れて田舎へ1度遊びに行くのもいいだろう。



「わかった……夏休みになったら時間ができる……一度、祖父母の所へ遊びに行こう。その時はひまりも一緒に行けばいい」



 雄太と武彦が登校してきた。ひまりと香織が騒いでいるのを見て、顔をニヤつかせている。



「最近、光輝の周りで女性問題が絶えないな。面白くていいけどさ」


「香織が来てから、毎日が面白いよな」



 香織が転校してきてから、光輝にとって問題ばかりだ。

ひまりとも一緒に暮らしているし、もう元には戻れない。

高校3年間は静かに暮らそうと思っていたのに、段々と計画が崩れていく。



「別に俺が問題を作っているわけじゃない。騒ぎの元は香織だ」


「その言い方、少し失礼なんと違う。私はひまりと話をしてただけや」



 その話の内容が騒がしいと言ってるのだが、香織には通用しないらしい。

香織は胸の前で腕を組んで考えている。



「光輝達もお爺ちゃんの所へ戻るなら、私も一緒に戻ろうかな。高校のことも話しておきたいし」


「別に香織がついて来る必要はないだろう」


「私は自分の家に戻るだけや。光輝達には迷惑かけへんよ」



 ひまりが服の袖を引っ張っている。

上目遣いで、目をキラキラと輝かせている。

何か勘違いしているような気がする。



「光輝のおじい様と会えるのね。お父様も一緒に行ってもらって、結婚の準備を進めないと」


「まだ俺達17歳だよ……結婚なんて遠い未来の話だ。今、準備を進められても困る。ひまりのお父様が一緒に来る件は却下だ。絶対に一緒に連れていかないからな。今回の夏はただの帰郷だよ」


「ひまりは思っていた以上に妄想が多いんやね……光輝も苦労するわ」


「誰のせいで苦労してると思ってるんだ」


「私のせいやあらへんし」



 ひまりに余計な情報を与えているのは香織だ。

その度にひまりが対抗しようとするから、話が厄介になる。

こうして、夏休みに、光輝とひまりは、祖父母の家へ遊びにいくことが決まった。

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