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45話 新しい始まりの朝

 早朝のランニングから戻ってくると、ひまりが起きてキッチンに立っていた。



「おはよう……まだ、起きるには早い時間だぞ」


「うん……朝、早く目覚めちゃったから、今、お弁当を作ってるの……光輝の分もあるからね」



 今まで光輝は学食派で通している。

昼休憩にひまり達と一緒に弁当を食べているのはおかしいだろう。



「俺は雄太達と学食で食べるよ」


「もう作ちゃったし……それに光輝と私は今日から付き合ってるんだから、お弁当くらいはいいじゃん」



 確かに昨日の夜に、ひまりに付き合おうと言った。

ひまりと付き合うのはかまわない。

しかし、男同士の友情も大切だと思う。

昼休憩にひまりが光輝のお弁当を作ってきていれば、男子達の間で噂になる。

雄太と武彦からも文句がでるだろう。



「確かに付き合うことになったけどさ……昼休憩まで一緒にいなくてもいいだろう。昼休憩の時は渚と若菜と一緒に弁当を食べているんだろう。それでいいじゃないか」


「カップルと言えば昼休憩のお弁当でしょ……私、楽しみにしてたんだから」



 言われてみれば、クラスのカップルは皆、昼休憩には2人で弁当を食べている。

ひまりが憧れる気持ちも理解できる。



「……時々は学食で食べさせてくれ。男子同士の友人関係も必要なんだ」


「わかった……光輝に迷惑がかからない範囲でお弁当をつくるね」



 本当にひまりはわかっているのだろうか。

ひまりの嬉しそうな笑顔を見て、少し不安に思う。



 自室へ戻って、制服に着替えて、学校への準備をすませる。

そして、ダイニングへ出ると、ひまりも制服のシャツとスカートに着替えていた。

スカートの丈は中が見えそうなほどに短い。

シャツのボタンも2つまで開いて、首回りからブラの近くまで見えている。



「シャツのボタン、1つはハメたほうがいいんじゃないのか? 屈んだ時にブラが見えるぞ」


「だって……暑くなってきたし……それに見えるのはブラだからいいし」



 ひまりがいいと言うなら仕方がない。

それ以上、何も言わないでおこう。


 2人で玄関を出て、家に鍵をかけて、三雲高校へ通学する。

光輝の住んでいる辺りは、道路が狭く、歩道がない。

2人で手をつないで、寄り添うようにして歩く。



「光輝はこうして、毎日、通学してたんだね……なんだか新鮮」



 ひまりが不思議そうに周りの景色を見て楽しんでいる。

光輝から見れば見慣れた景色だが、ひまりから見ると色々な発見も多いのだろう。

朝早いので、通学している生徒はまばらにしかいない。

校門にも遅刻を監視している先生達はまだ立っていない。


 校門を通って、校舎の中に入って、靴を履き替えて自分達の教室へ行く。

教室の中には、まだ誰もいなかった。

2人で自分達の椅子に座る。

宿題は休み中にすませているので、今日はひまりに教えることはない。


 少し遅れて、渚が登校してきた。

自分の机に鞄を置くと、渚はひまりの元へ歩いてくる。



「ひまり? なんだか上機嫌ね? 何か良いことでもあったの?」


「やっと光輝が私と付き合ってくれるって言ってくれたの。それにお父様公認で同棲することになって嬉しいの」



 その言葉を聞いて渚が固まる。

渚が疑問に思うのは無理もない。

光輝でさえ、急展開すぎて、頭が回っていないのだから。

そして、ゆっくりと光輝のほうへ向き直る。



「光輝? いったいどういうことなのか、光輝から聞かせてもらえるかしら」


「体育祭の代休の日にひまりの家に遊びに行ったんだ。その時、ひまりのお父さんと色々話したんだけど……」



 渚には自分の両親の話も、ひまりの事件の話も言えない。

ここは何とか言葉を濁すしかないだろう。



「土曜日にひまりとひまりのお父さんが家に来てさ……その時、いっぱいの荷物を持ってきてたんだよ。ひまりのお父さんに話を聞くと、ひまりをよろしく頼むって言われて、ひまりを置いて帰って行ったんだ」


「それって、ひまりのお父さん公認の同棲ということでいいのね」


「まあ……そういうことになる」



 渚はひまりへ振り替えると、両肩をガシッとわしづかみにする。



「ひまり聞きなさい……学校では生徒同士の同棲を禁止してるわ……見つかったら最低で停学、最悪だと退学もあり得るわ。これは校則だから、ひまりのお父様が許してもダメなの。わかる?」


「お父様が許してくださっているのにダメなの?」


「絶対にダメ。だから、このことは私以外には誰にも話しちゃダメよ。これは絶対よ。光輝にも迷惑がかかるから、約束してね」


「光輝に迷惑をかけるのはイヤ……だから絶対に約束は守るわ」



 さすが渚。

ひまりの扱いに関しては長けている。

渚に相談して良かった。



「光輝も裕太や武彦には悟られるのはダメよ。雄太も武彦も女子関係のことになると勘が良い所があるから気をつけてね。ひまりは私が見張ってるわ」



 渚が常に近くで監視してくれているなら安心だろう。

ひまり1人では何を言い出すか……少し心配だった。

時々、考えるより先に言葉が出るから怖い。



「学校の校則って時々、うるさいと思う。前からスカートの丈も注意されてるし……オシャレしてるだけなんだからいいじゃん……光輝もそう思うでしょう?」


「ひまりのスカートの丈は短すぎると思う。中が見えそうで、いつも心配になる」


「中って……光輝のスケベ……でも光輝なら中を覗いてもいいよ」



 許可をいただいても対処に困る。


 そんなことを言っている間に、生徒達が次々と登校してくる。

もうすぐ雄太と武彦も登校してくるだろう。

光輝とひまりの交際が決まったと知れば、2人はどんなリアクションをするだろうか。

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