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36話 体育祭③

 棒倒しの対戦相手は2年C組と決まった。

2年C組は慎吾のいるクラスだ。

慎吾は防衛役らしく、棒を持って支えている。


 練習の時のフォーメーションと一緒で、雄太と浩平が棒を支えて、光輝と武彦は遊撃部隊だ。

スタートと同時に攻撃部隊は相手の陣地へと突入していく。

防衛に徹している生徒達の間を強引に割り込んで、体を押し込んで前に進む。

光輝と武彦は2人1組となって防衛を崩していく。


 C組の防衛は堅く、なかなか棒へ辿り着けない。



「A組の攻撃隊……早くしろ……C組の攻撃が激しい。このままでは棒に辿り着かれる」



 浩平の切羽詰まった声が聞こえてくる。


 光輝達もやっと棒の近くまで到達することができた。

すると棒を他の生徒に任せて、慎吾が光輝に襲いかかってきた。



「この時を待ってたんだ。お前に復讐してやる。ここで暴れても競技の中だ」



 そう言って、光輝の胸倉をつかんでくる。



「確かに競技の中で怪我をすることもあるな」



 そう言って、光輝は慎吾の足の甲を踵で踏み抜く。

足の甲の痛みで慎吾の力が抜ける。

光輝は慎吾に体を密着させて、ゼロ距離で拳を鳩尾に叩き込む。



「ゴフッ……」



 慎吾は何も言えずに前かがみになり、地上へ倒れた。

その間に武彦が棒を倒してA組の勝利だ。

C組の生徒が慎吾を肩で支えて、立ち上がらせる。



「そちらがルール無用というなら、俺も容赦しないからな」


「次は負けない!」



 慎吾は真っ赤に充血した瞳で光輝を睨んでくる。


 2回戦が始まった。

慎吾は防衛役から離れ、攻撃部隊に参加している。

光輝は攻撃するのを諦め、浩平達の元へ戻る。

慎吾はまるで戦車のように体当たりを繰り返して、C組の防衛ラインを突き崩す。

C組の攻撃部隊はまだ棒まで辿り着いていない。

このままでは慎吾に棒を倒されてしまう。


 棒の手前で慎吾が止まる。



「俺の目的は棒じゃない。光輝……決着をつけてやる」


「お前もこりない奴だな」



 慎吾はいきなり光輝の顔めがけて、殴りかかってくる。

光輝は慎吾の肘を捻って極めて、足をひっかけて、簡単に慎吾を転ばせる。



「お前では俺を倒すのは無理だ。きちんと競技を続けろ」


「うるせえー!」



 慎吾は立ち上がると、光輝の胸倉をつかんでボディに拳をめり込ませる。

光輝は拳が当たる手前で、慎吾の拳を両手で受け止める。

そして、慎吾の足の甲を踏んで動きを止めて、慎吾の鳩尾に膝蹴りを見舞う。

傍から見ると、光輝が何をしたのか、正確には見通せない。

慎吾は膝を崩して、へたり込む。

光輝が慎吾の相手をしている間にA組の攻撃部隊が棒を倒して、棒倒しはA組の勝利で終わった。



「まだ終わったわけじゃないからな」



 慎吾は立ち上がると捨て台詞を言って、C組の陣地へと戻っていった。







 棒倒しは無事に終わり、騎馬戦の競技に移る。

対戦相手はまたも2年C組だ。

つくづく慎吾と因縁があるなと光輝は思う。


 慎吾は大将騎馬で、騎馬の前を守っている。



「武彦……申し訳ないけど騎手を変わってくれないか……慎吾がまた、暴走しそうだ」


「俺……騎手なんて練習してないぞ。鉢巻きさえ取られなければいいんだよな……逃げまくるぜ」



 光輝と武彦は騎手と騎馬を交代する。

光輝も騎馬の前方に立ち、配置につく。



「まずは凸の陣で相手が攻撃してくるのを待つ。敵がバラバラになったら縦2列に並んで横に展開する」



 浩平が大将騎馬に乗って、皆に指示を飛ばす。


 騎馬戦がスタートすると、大将騎馬なのに慎吾の騎馬が突っ込んでくる。

激しい体当たりでA組の騎馬を崩していく。

鉢巻きを取られなくても、騎馬が潰れれば負けになる。

このままではマズイ。


 光輝は騎馬を率いて、慎吾の前に立ちはだかる。

すると慎吾は騎馬を2人に任せて、1人自由になって飛び出してきた。

目的は手の使えない光輝だ。


 騎手を支えているので、光輝も手を出すことができない。

慎吾は光輝の顔を右拳で殴りつける。

光輝は当たる瞬間に左へステップして、拳を避ける。

すると慎吾が光輝の胸めがけて、拳を叩き込む。


 騎馬を支えているんで避けることができない。

始めて光輝は慎吾の重い拳を受ける。

それでも騎馬を支え続ける。


 すると雄太が、回し蹴りを放って、慎吾の後頭部を狙う。

慎吾は雄太の攻撃を瞬時に見抜いて、回し蹴りを避ける。



「光輝、俺達2人で騎手を支える。お前も自由になって、早く慎吾を倒せ」



 雄太の声が聞こえてくる。



「俺も絶対に騎馬から落ちない。だから光輝は慎吾の相手をしろ」



 武彦の言葉も光輝に伝わる。


 慎吾が殴りかかって来る一瞬に、光輝は騎馬から手を離して、慎吾の拳を両手で掴み、股の間を蹴り上げ

るようにして、慎吾の重心をズラして、拳を強引に回転させる。


 すると慎吾は簡単にゴロンと体を転ばせる。



「まだまだー!」


 慎吾は鳩尾を狙って、前蹴りを放ってくる。その踵を光輝は掴んで、もっと慎吾の脚を上にあげてやる。

慎吾は股裂き状態になり、またも地面に転がる。



「まだまだー!」


「お前は1人で何をやってるんだー!」



 監視していた先生が、慎吾の動きを見て、慎吾と光輝の間に体を割り込ませる。



「明らかに慎吾のしている行為は違反だ。お前は退場。お前の騎馬は敗北。お前は一緒に俺について来い。これから厳重注意を行う」



 慎吾は光輝を睨みながら、監視していた先生に腕を持たれてグラウンドから出ていった。


 光輝は騎馬に戻って、雄太達と手をつないで騎手を支える。

気が付けば、光輝が慎吾を抑えていたことで、C組が惨敗し、A組勝利で騎馬戦は終わった。



「A組が勝ったぞー! C組の負けだ」


 浩平の勝鬨がグラウンドに響く。

試合は終わり、A組男子達は肩を組み合って喜んだ。

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