28話 中間考査テスト結果
ファミレスでの勉強会が良かったのか、全員が少しずつだが点数を伸ばしたことになる。
皆で光輝達の席に集まって、テスト結果を喜んでいると、浩平と凛香が歩いてくる。
浩平は髪をかきあげて、爽やかに笑む。
「全員のテスト結果が良かったみたいだな。クラスからも赤点を取る者がでなかった。俺としても嬉しいよ」
「別にお前のためにテスト勉強したわけじゃねーよ。お前を喜ばせるためでもねー」
雄太が浩平を睨みつける。
「小室先生に、テスト期間前にクラスの生徒全員に、テスト準備をするように1人1人、注意して回ったことを報告している。小室先生も今回のテスト結果については満足してくれている。クラス委員長としての務めをきちんと果たしてくれたと、お褒めの言葉をいただいたよ。だから俺は満足しているし、喜んでいるんだ」
なるほど……テスト期間前に事前にクラス全員の生徒に、テストの点数をあげるように注意していたのか。
それを小室先生に報告していた……
クラス全員の成績が伸びれば、テスト前に注意して回ったクラス委員の評価になるというわけか。
どこまでも自分の立ち位置を良くすることに執着する男だ。
もしテストの結果、赤点を取った生徒がいたなら、自分達から補習授業を提案して、マイナス面もプラスに持っていく2段構えの計画だったのか。
悪知恵だけは、よく回る奴だ。
凛香も浩平の後ろで小さく拍手をしている。
「今回のテストでは、男子よりも女子のほうが大幅にテスト点数の伸びが良かったの。小室先生に褒められたわ。ひまりもこの調子で頑張ってね。渚にはお礼を言っておいて」
「別に浩平や凛香を喜ばせるためにテストを頑張ったんじゃないし……何でも自分達に結び付けようとするのは止めてくれないかな……正直に言ってウザいよ」
「ひまり個人にどう思われようが、私は気にしないわ。結果的にクラス全体のテストの点数が伸びたのだから、私はそのことを喜んでいるだけよ……行きましょう浩平、私達は嫌われているみたいだから」
「僕達を個人的に嫌ってくれてもかまわない。クラス全体が良い方向へ向かっていくならね。そのほうが結果的に皆のためになると俺は考えている……じゃあな」
それだけ言い残すと浩平と凛香は光輝達の傍から離れていった。
ひまりが珍しく眉をしかめている。
「やっぱり私……浩平と凛香の2人って好きになれない」
「何でも自分達が率先して、クラスを引っ張ってるっていう態度が気に入らないね」
「俺なんて最初から浩平のことは好きじゃねーし。ただのイケメンの癖に偉そうにしやがって」
武彦と雄太からも浩平批判の声があがる。
チャイムが鳴り、放課後のHRが始まる。
クラスのドアが開いて、白のツーピースを着た小室先生が教室へ入ってくる。
教壇の前に立って、にこやかに微笑む。
今日は機嫌が良さそうだ。
「テスト結果は、既に皆の元へ返却されていると思う。今回のテストでは赤点の者はいなかった。そしてクラスの平均点が10点以上も伸びていた。これは皆の頑張りだ。よく頑張ったな」
浩平や凛香が小さく拍手をしている。
そして、浩平や凛香を支持するグループも喜びの声をあげている。
「無事に中間考査を乗り切ることができた。これで皆も6月の体育祭に向けて、全力で頑張れるだろう」
三雲高校では体育祭が毎年6月に行われることになっている。
クラスの団結力を高めるため、まだクラスに馴染んでいない生徒と交流を深めるためと言われている。
高校3年生の大学受験勉強の邪魔をしないという要素も大きいらしい。
「体育祭はテストとは違って、評価をつけられることはないが、高得点を取れば、内申書に記録されることになる。皆も全力で体育祭を盛り上げて楽しんでほしい。今日のHRは以上だ」
それだけ言うと、小室先生は皆に手を振って、教室から出ていった。
今日の小室先生は、実に楽しそうで……皆のテスト結果が良かったことを喜んでいることがわかる。
「ヨッシャ――……普段の授業は苦手だが、体育は得意だぜ。俺に任せておけ」
光輝の隣で雄太がガッツポーズをしている。
「俺はそこまで運動神経は良くないから無難な競技に出られればいいな」
武彦は消極的なことを言っている。
「私は光輝と二人三脚がいい。それだと、いつも光輝と一緒だもん」
学校から帰る用意をしていると、ひまりが隣から手を伸ばしてきて、光輝の手を握った。
そして皆で一緒に教室を出て帰路に着いた。




