24話 中間考査迫る
休日が終わり、学校に登校すると、浩平と凛香が光輝の元へ歩いてくる。
浩平はいつものように爽やかな笑顔で挨拶をしてくる。
「やあ……ゴールデンウィークが終われば中間考査が始まるね」
「そうだな……2年生になってからの初めての中間考査だな」
「光輝達は大丈夫なのかい? 雄太は1年生の時は赤点ギリギリだったと聞くが」
雄太が浩平を睨む。
「赤点ギリギリだが、赤点は取ってねーよ。赤点を取ったら部活が休部になるからな」
「それもそうだね。次の中間考査では、是非、頑張ってほしいんだ。2年A組のためにも」
クラスのためにも?
浩平は妙な言い回しをして、雄太を見る。
「どういうことだ?」
「クラスから赤点が出たら困るということさ。2年A組としては絶対に赤点だけは取ってほしくない」
「どうしてだ?」
「クラスとしての印象が悪くなるじゃないか。クラスから赤点の生徒がでたら、僕としても不本意だが動くことになる」
クラスのためではない。
浩平は自分の個人的評価を下げたくない。
そのために、2年A組から赤点を出したくないだけだ。
「動くとはどういうことだ? 中間考査で赤点を取っても、期末考査で赤点を取らなければいいだけの話だろう」
「中間考査で赤点を取っている生徒が、期末テストで赤点を取らない保証は何もない。だから、小室先生から許可をもらって、居残り補習を受けてもらう提案をしようと思う」
2年A組から赤点の生徒が出た時には、担任の先生の許可を得て、期末テストで赤点を取らないように補習授業を行うというのか。
その提案をすることで、2年A組の成績向上にも貢献できる。
提案が通れば、浩平の個人的評価もあがるというわけか。
「そんなの勝手に決めるな。別に中間考査で赤点を取るつもりはねーけどさ。取ったとしても補習には出たくねーな。そんなの個人の勝手だろう。なんでクラスのことになってんだよ。勝手に話を大きくするな」
雄太が席から立ち上がって、浩平を睨みつける。
「雄太が今回の中間考査で赤点を取らなければいいだけの話さ。いつも赤点ギリギリでセーフなんだろう。それなら問題ないだろう……クラスのためにも点数をあげてくれ。話はそれだけだ」
そう言って浩平と凛香は光輝達の席から離れていった。
「なんだ? あの言い方は。スゲー……ムカつくんだけど」
「俺もそう思った。感じワルー」
「私も聞いていて、イヤな気持ちになった。浩平って、あんな感じだったのかな?」
雄太、武彦、ひまりの3人が浩平の態度で気分を害しているようだ。
少しずつ浩平の本性が表に出てきたということか。
クラスのことを考えてと言いながら、浩平は自分の立ち位置を守ることしか考えていない。
「それで……雄太に聞くけど、今度の中間考査は大丈夫なのか?」
「そんなのわかんねーよ。いつも赤点ギリギリだし……赤点の時もあるからよ」
もし、雄太が赤点を取れば、それをキッカケにして、浩平は動くだろう。
そうなれば、赤点を取った者が、クラスではみ出し者になる可能性が出てくる。
「私もちょっと不安かな……いつもテストの点数は中の中ぐらいだから」
「俺もそう」
ひまりと武彦も中間考査に不安があるという。
雄太が機嫌が悪そうに光輝に質問してくる。
「光輝は冷静にしているけど、テストは大丈夫なのか?」
「俺もテストは中の上ぐらいだ。決して上位じゃない。だから試験勉強は必要だ」
「ゴールデンウィークがあるっていうのに、遊びにもいけないのかよ」
「ゴールデンウィークは長いから、期間を区切って勉強すればいいと思うけどな」
もし、ゴールデンウィークの最中に全く勉強していなければ、今度の中間考査のテストの点数は落ちてしまうだろう。
中間考査が控えている以上、ゴールデンウィーク中に勉強するしか方法はない。
ひまりは両手をグーに握って、雄太と武彦に声をかける。
「渚も誘ってさ、ゴールデンウィーク中に皆で集まって、テスト勉強しようよ。それで皆で赤点を取らないようにすればいいじゃん。渚は頭がいいし、成績優秀だから……皆に教えてくれるよ。私からも頼むし」
そう言って、ひまりは席を立つと、廊下側の列の席に座っている渚の元へ走っていった。
武彦が不思議そうな顔で光輝を見る。
「皆で集まるっていっても、どこに集まるんだ? また光輝の家か?」
それは勘弁してほしい。
先日、皆で泊まったばかりだろう。
今回は別の場所で勉強会を開いてもらいたい。
「光輝の家って、リラックスできちまうし、ゲームもできるから、勉強って感じじゃないんだよな」
雄太がコントローラを握る格好をして言う。
確かに光輝の家では、皆がそれぞれにリラックスするので勉強ムードにならない。
ひまりが渚と一緒に戻ってきた。
「私はゴールデンウィークは何も予定がないから、勉強を教えるのはいいけど……どこで勉強会をするの? まさか光輝の家?」
「今回は俺の家は止めてくれよ。なるべくなら緊張感のある場所のほうがいいな。ひまりはどこかあるかな?」
「ゴールデンウィークに入るまでは、学校の近くのファミレスに集まって皆で勉強をするのはどうかな?」
それが妥当な線だろう。
なかなか良い提案をひまりはしたと思う。
ゴールデンウィークまでにテスト対策を終えることができれば、あとは個別で皆も勉強するだろう。
ゴールデンウィークに入るまでの間、近くのファミレスで皆で勉強会を開くことになった。




