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僕の中の悪魔を殺してください  作者: あまね
ダンジョン編
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ビアンコ18歳 シーデンの森 pt.2

 シーデンの森には危険な魔物が多いというのは嘘ではなかった。アルミラージ、オウルベア、ロックバード、オルトロス、コカトリス、サーペントなど、高ランクの魔物がたくさんいた。僕たちは最初2周目までは順番に魔物の退治をしていたけど、だんだんきつくなってきて、結局みんな協力して退治することになった。ものすごく辟易していた。治癒魔法持ちのケリーさんがずっとミハイルさん、ブライアンさんと僕に回復系の魔法をかけっぱなしにしていた。ブライアンさんもずっとミハイルさんと僕に強化魔法をかけっぱなしにしていた。

 2周目の魔物退治の順番にロックバードがまた出没したとき、僕の順番だった。僕はシーデンの森に入る前から、せっかく高ランクの魔物が多いシーデンの森に入るから、この機会にたくさん魔法を練習しようと決めていた。平等に魔法を使えるように火魔法、土魔法、風魔法を順番に使うことにした。

 ロックバードは僕の風魔法の順番だった。僕は魔力を込めた風刃を連射したけど、ロックバードが逃げては僕に攻撃して、また逃げていたから、ほぼ当たらなかった。そのロックバードは僕の風刃でイラっとしてきたのか、僕に衝突しようと僕に飛び込んできた。僕は咄嗟にウィンドウォールを作って、ロックバードの衝突を防いだ。ロックバードが僕のウィンドウォールに強く衝突したおかげで、動きが止まった。僕は複数の風刃を同時に放ってロックバードを斬り刻んだ。今まで風刃を連射していただけだけど、今回は複数の風刃を同時に使うのは初めてだった。そしてうまくいった。僕はまた新しい魔法のスキルを取得した。

 僕たちは一週間シーデンの森で冒険すると決めていて、その一週間分の携帯食をもって来たけど、でも食材は森の中でも調達ができたから、僕たちがまずい携帯食を食べずに森で狩った魔物の肉、コカトリスとかロックバードとかアルミラージの肉を焼いて、森にある食べれる木の実を採って僕たちの食事にした。ブライアンさんは塩を出す魔法を知っているから、魔物の肉に味付けができて、携帯食より断然においしかった。

 シーデンの森の一泊目は大きな木の下に泊まることにした。僕はふとある考えを思いついて、それを実践してみた。それは僕たちの周りを囲むようなアースウォールを作ることだった。今まで戦いでアースウォールを作って、敵の攻撃を防ぐためにしか使っていなかったけど、野宿のときに使うのはどうだろうかと思いついて作ってみようと思った。

 僕は一方面ずつアースウォールを作っていくことにした。大きな木と僕たちで余裕で寝れるぐらいの広さを思い浮かべながら、アースウォールを作っていくと、僕の想像通りの土の部屋を建てることができた。

「おぉーーーーービアンコ!おまえすげぇぞ!」ミハイルさんは感動したみたい。

「ビアンコ、おまえ天才かよ!これで安心して寝れる!」ケリーさんも褒めてくれた。

「すげぇぇぇ!これで安心して眠れるんじゃないか!」ブライアンさんも喜んでくれた。

「でも屋根はどうしても作れなくて・・魔物が上から入る可能性がありますけど・・」何度も屋根を作ろうと方法を探していたけど、全然うまくいかなかった。僕の作った土の壁から更に土の壁を作ることができないみたい。

「そのとき、俺の攻撃魔法でやっつけるから、安心しろ!」

 寝るときはもちろん見張り当番はいたけど、それでも僕たちのシーデンの森の野宿は思ったより安全に眠ることができた。

 シーデンの森の冒険が何日か経ったある日、僕がミハイルさんたちに後ろからついていきながら、木の実を探していた。森の奥へ進んで歩いていると、僕は僕の近くにある木が動いたことに気づいた。

「わっ!えっ!み、みなさん!みなさん!こ、この木が動いているんですけど!」僕は驚いてつい喚いてしまった。

「あぁ?何を言ってんだ?木が動けるのか?」ケリーさんは怪訝な顔をした。

「本当ですよ、あの木です。見てください。ほら今動いているでしょう!?」

「ほ、本当だ・・動いている・・っているか歩いている・・よな?・・・シーデンの森ってやばいな。ミハイルさん、あの木は魔物ですか。倒したほうが・・」

「もしかして、あれがトレンドじゃないか?ほら、木の精霊ってやつだ。基本的に人間に害を加えないと聞いたことがある。こっちに何もしてこなかったら、こっちも何もしなくていいと思うぞ。もっとやばい魔物と戦うために体力を保存したほうがいいからな」

「生まれて初めてトレント見た・・・」ブライアンさんは呆然とした。

「僕も・・・」僕も呆然とした。

「はははっ、シーデンの森の冒険は絶対面白いって言ったんだろう?」ミハイルさんは爽やかに笑った。


 僕たちは五日間、シーデンの森でやばい魔物と戦って、休憩して、野宿して、また戦って、休憩して、野宿したことを何度も繰り返して、五日目に森の真ん中の山に着いた。

「それにしてもあんなに魔物と戦ったのに、まったくユニコーンが見つからないですね。本当にいないんですかね?こんな森だからあってもおかしくないと思いますけどね」

「やっぱり伝説の魔物だから、実在していないんだろうね」

「誰があんな依頼を出したんっすかね?いたずらっすかね?」

「いたずらで依頼を出したら、結構な違約金が課されるから、違うと思う。あれは本気の依頼じゃないかな」

「ミハイルさん!あそこに洞窟がありますよ!あそこです」僕は洞窟があるほうを指さした。僕たちが山の麓に沿って歩いているとき、僕は偶然洞窟を見つけた。その洞窟の入り口の前には大きな岩があったから、僕が危うく見落とすところだった。でもその洞窟の入り口は結構大きいから、洞窟があることに気づいた。

「本当だ。行ってみよう!」

 僕たちは洞窟の入り口まで歩いて中を覗いた。真っ暗で何も見えなかったから、ブライアンさんは小さな灯りの魔法を作って中を照らすと奥まで見えた。

「結構深いですね。入ってみますか?」

「そうだな。じゃ俺たち一旦入り口で休憩してから洞窟を探検しようか」

「「「はい!」」」


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