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僕の中の悪魔を殺してください  作者: あまね
ダンジョン編
52/61

現在 シーデンの森 pt.11

 僕たちはその場でしばらくぼーっとした。


「ビアンコ、あの剣は何だ?」フィルは横になったまま僕に聞いた。


「魔剣」


「「「「魔剣!?」」」」

「な、なんでビアンコは魔剣を持っているの!?」アニーはさっきまで横になっていたが、起き上がって座り僕に聞いた。


「昔、たまたま手に入った」僕は今横になって天井を眺めている。


「ビアンコって、すごいものをたまたま手に入れたよね。マジックバッグもそうだけど」セシルは今起き上がって僕を見て話した。


「そうですね。魔法薬も昔持っていましたね」


「難しい魔導書も持っているよね。あたしに貸してくれた魔導書」


「魔法の腕輪と魔法の首輪もそうだよな。絶対手を離さないし」


「あぁ、全部たまたま手に入ったやつ」


「「「「・・・・・」」」」


「まあ、ビアンコの魔剣のおかげであたしたちが助かったしね~」


「そうだね。私たちは生き延びることができたよ」


「本当にここで死ぬんじゃないかと思いました」


「うわっ、ベヒモスからブラックダイヤモンドが落ちたよ!さすがベヒモスだよ!みんな見て!」フィルはブラックダイヤモンドの原石を僕たちに見せて、大喜びしている。


「売ったら、一生贅沢しても楽で生きていけるんだろうな」


「じゃ魔王討伐したら、それを売って一緒に贅沢にして暮らそう~」


「いいわね〜。どの街で贅沢するか後で一緒に考えようよ」


「みんなと一緒ですか。いいですね。楽しそうです」


「よーーし、じゃ俺たちさっそくこの階を出て次行こうぜ!」


「じゃ宝箱を探して、休憩室でご飯食べて、次行こう」僕はフィルからブラックダイヤモンドをもらい、素材回収用のマジックバッグに入れた。



 僕は魔剣を構えながら、洞窟の奥に進んだ。そして、一本の剣が石に刺さっているのを見つけた。


「誰の忘れ物なの、それ?」アニーは首を傾げて言った。


「「「「ふっ」」」」僕たち四人はそれを聞いてつい笑ってしまった。


「誰もこのダンジョンに入ったことがないんだから、誰かの忘れものじゃないと思うよ、アニー」僕はアニーに言った。


「あの冒険者パーティーの忘れものじゃないの~?」


「あの冒険者パーシーさんが入ったダンジョンは難易度が低いダンジョンだったんじゃない?さすがにベヒモスがいながら、難易度が低いダンジョンとは言えないわね」セシルは首を傾げながら、話した。


「じゃこのダンジョンはあの冒険者パーティーが入ったダンジョンじゃない・・・えっ、シーデンの森にダンジョンが二ヵ所もあるのか?さすがシーデンの森だな」


「みなさん、その剣を抜いてみますか?」


「俺に任せろ!」フィルはすぐ剣のところに走って、剣を抜こうとした。


「・・・抜けない・・・ビクともしない・・・」


「やはりそうですか?私は本で幻の聖剣のことを読んだことがあるんです。この世界には特別な剣があってその剣を手に入れた者は真の勇者になるそうですよ。後にその幻の剣は聖剣と呼ばれているみたいです。もしかしてその剣は幻の剣かもしれませんね」


「でもこんなところにそんな大層な聖剣を置いたら誰がその剣を手に入れられるの?本当に誰かに手に入れてほしいの?手に入れてほしくないの?」アニーは首を傾げ、パスカルに質問攻めした。


「そんなことを私に聞かれてもわかりませんよ。その剣をその石に刺さったのは私じゃないですからね」


「この階層の宝はその剣ってことか?なんかすげぇただ働きって感じ。誰も持っていけないじゃん」フィルはぶつぶつ言った。確かにそうだ。あのベヒモスを倒したのに、これかよ・・・


「まあ、ブラックダイヤモンドをもらったからいいじゃないか?次の階層に行こう」


「ちょっと待って!あたしもやってみたい〜あたしこそが真の勇者かもね〜」アニーは小走りでその剣のところに行き、抜こうとした。


「うーん、本当にびくともしないね~」


「私もやる!」セシルもその剣を抜こうとしたが、ダメだった。


「意外とパスカルかも。パスカルもやってみて~」


「さっき『意外と』と言ってませんでしたか?」パスカルは言いながら、剣のところに行って抜こうとした。案の定ダメだった。


「ビアンコ、早く~」


 僕はみんなのところに行った。みんな結構力強く引っ張ったから、僕も強く抜こうと、両手でその剣を掴み全力で引っ張った。


『スッ』剣は石から抜けた。


「うわっ!」剣は思ったより軽かったから、僕は後ろ向きに倒れそうになった。


「「「「「・・・・・」」」」」


 僕はそのまま剣を石のほうに刺し戻した。


「僕もダメだったんだね。残念だ。じゃ僕たち次の階層に行こう」


「ちょっと待った!」


「なんで戻したのよ!?私たち見えていたわよ!」


「び、び、ビアンコはほほほほ真の勇者だったんですか!?知りませんでした!教えてくださいよ!」


「すすすすげぇ、ちょっともう一回剣を抜いて俺にも持たせて!」


 僕はみんなを無視して扉を探し始めようとしたら、みんなに強引に連れられてまた剣のところに戻された。


「ビアンコ、もう一回剣を抜いて!」


「早く!」


「ワクワク!」


「俺にも持たせて!」



 僕は戸惑った。これ、現実?夢?最悪じゃないか?偽物の勇者にさえなりたくないのに、真の勇者は御免蒙りたいんだけど。僕は魔族とか魔王とか殺すより、人間を殺したいんだけど。


「「「「ビアンコ、早く!」」」」


 僕はため息をついて、剣を抜き、フィルに渡し、フィルは受け取った。


「おもっ!」フィルは剣を落とした。ふーん、真の勇者うんぬんじゃなかったら、その剣を持てないのか。じゃこれ、売れないんじゃないか?最悪じゃん。


「ビアンコの剣はちょうど折れたし、この剣をちょうど手に入れたんだから、これからこれを使えばいいんじゃない?これから下の階層に行ったら、剣がないと不安でしょう?」


「そうだね〜。見た目は普通の剣に見えなくはないし、目立たないと思うよ~」


「・・最悪。誰も持てなかったら、売れないんじゃないか・・」


「ビアンコは水臭いですね〜。自分が真の勇者だって教えてくれてもよかったのに」


「知らねえよ。そもそもこの剣があの幻の剣だって決まってないだろ?普通の剣かもしれないだろう?」


「これ、俺たちの目標はやはり魔王討伐だな!」


「そうね〜。真の勇者が冬の精霊にいるんだから、あたしたちはやはり勇者一行だね〜」


「街に行ったら、ギルドに報告しようよ」


「するな!」それは誰にも言っちゃダメなことだろう!?


「そうですね。これで冬の精霊の名声は一層名が上がりますね」


「よーし、じゃ俺たち次の階層行こう!」


「僕の話を聞け!」


 はぁよりによってこのメンバーに見られたとか、最悪だ。


 フィルは先陣に立って、次の階段に行く階段を探し、でも見つけられなかった。


「ここに魔法陣あるよ!」でもフィルは魔法陣を見つけた。


「ここは最深部ってこと?」


「やったぁ!あたしたち、ダンジョン制覇したね~」


「街に行ったら、冒険者ギルドに報告しようよ!」


「そうですよね。剣のことも芯の勇者のことも何もかも報告しましょう」


「この剣のことも魔剣のことも言うなよ。面倒だから」


「魔剣のことを言わないとベヒモスをどうやって倒したって説明するの~?」


「・・・適当に魔法で勝ったって言えばいいだろう?」


「誰がそんなことを信じるのよ」セシルが呆れた顔でビアンコを見た。


「じゃベヒモスのことを言わなくてもいいだろう?こんな森の中のダンジョンに誰が来るというんだ?」


「はぁぁ・・・、まあ確かにそうなんだけどさ・・・」


 というわけで、僕たちはシーデンの森の9階層のダンジョンを制覇した。


 その日、僕たちは9階層の休憩所で休んで、翌日魔法陣で一階層に戻り、シーデンの森に出た。僕たちはシーデンの森に入ってから、適当に歩いていたから、今僕たちは今どの街の方面にいるのか、まったくわからない。アニーの探索魔法で街の方向を探しても僕たちが森の深部にいて、探索範囲が広すぎて、街の方向がわからない。だから僕たちはダンジョンを出て、どこにも曲がらず、前へ進むことにした。


 三日経って、森の魔物と戦いながら、シーデンの森を出ることができた。僕はそのまままっすぐ歩き、途中野宿をして二日後に街を見つけた。ここは世界の東方の地だった。


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