現在 シーデンの森 pt.10
八階層はどこかの建物の地下階だった。この階層はトロール、ミノタウロス、ケンタウロスの階層だった。全然大した魔物ではなかったから、僕たちはそれぞれ得意魔法で魔物を倒していって、八階層の最奥までたどり着いた。この階層の宝物は古代魔法の魔導書だった。
「なんかさすがシーデンの森ね〜。古代魔導書もあるなんてね〜。この古代魔導書って何に使うのかな」
「アニーに使えそうな魔法はないのか?」
「うーん、見た感じ、すごく魔力を使うものが多い気がするよ〜。この時代に合わない魔法だと思う。この魔同書にある防御魔法現代の攻撃魔法より効果が低いのに結構魔力を使うみたい」
「魔王が使おうとしている、えーと、なんだっけ?消耗魔法?書いてある?」セシルはアニーに聞いた。
「消滅魔法ですよ」パスカルは訂正した。
「うーん、あっ!あるね〜。でも魔法陣の作り方が結構・・・複雑ね〜。今すぐ解読できないな〜。使うには面倒そうな魔法だよ」
「えっ!?あるのか?じゃもし魔法陣の作り方を解読したりしたら、魔王の計画を止められるかな?」
「うーん、じゃ頑張って解読してみるよ。でも結構時間がかかると思うから、気長に待っていてね~」
「了解」
僕たちはしばらく8階層で休憩して、9階層に向かった。この九階層は洞窟だった。特に何の魔物もなく、僕たちはすいすい前へ進む。
「この階層も楽勝じゃない、これ?」フィルは先頭で歩きながら、話した。
「どうだろうね~」
「僕は嫌な予感しかしないけど。なんかいきなりヤバいやつ出てきそうだ」
フィルは急に足を止めた。
「たた、た、た、例えば・・・ああ、あれのこと・・・とか?」フィルは言いながら、斜めのほうを指さした。
僕たちはフィルの指のその先を見ると、巨大な魔物が立っていた。その魔物が耳が大きくて、牙が長くて、頭の天辺から尻尾まで僕の三十倍ぐらい大きい・・・ベヒモスだ・・・
「アニー!全ての防御魔法、強化魔法を!」僕はすぐアニーに指示した。アニーはすぐ僕たちに魔法をかけた。
「パスカル!安全なところにいて僕たちに治癒魔法と回復魔法を!」パスカルはすぐ後ろのほうに下がり、隠れた。
フィルとセシルはすぐウォーターランスとウィンドランスをベヒモスにぶっかけたけど、かすり傷さえ与えられなかった。アニーは僕たちに防御魔法と強化魔法をかけた後、すぐベヒモスに攻撃魔法をかけたけど、同じくかすり傷を与えられなかった。むしろベヒモスを怒らせてしまった。
ベヒモスは僕たちに突進して、僕たちはバラバラに逃げ始めた。これはヤバいヤバいヤバい。みんなの魔法はまったく効果がない。どうすれば倒せるんだ?
僕はベヒモスにファイアランスをかけた。案の定、効果なし。
僕はもう一回ファイアランスをベヒモスの一番弱そうなところ、頭にかけてみると、『ウォーーーーーッ』ベヒモスが咆哮して、僕に突進して、僕は死に物狂いで逃げた。
さっきよりご機嫌が悪くなったみたいだ。
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい
剣はおそらく効果がない。そもそもあいつに近づけない気がする。
フィル、セシル、アニーはベヒモスの顔、足、尻尾を狙い、連続攻撃している。
『ウォーーーーーッ』ベヒモスが痛そうに咆哮しているけど、たぶんほとんどダメージを与えられていない。
ベヒモスはフィルに突進している。
「きゃっーーーー!助けてっーーーー!」ベヒモスはフィルにアタックし、フィルは壁に飛んで行った。
パスカルはすぐフィルに治癒魔法をかけた。
「いまの、マジいてぇ!」フィルはすぐ復活した。
僕、セシル、アニーはベヒモスに魔法をかける。
「ビアンコ!この階層を出よう!?無理だよ、これ!」セシルは魔法をかけながら、叫んで僕に聞いた。
「ビアンコ、出よう!」アニーも僕に言ってきた。
「フィル!この階を出るぞ!」僕はフィルに叫び、撤退の指示をしようとした。
「いいえ!みなさん、さっき私たちが出た扉はもう開きません!」パスカルは残酷な事実を僕たちに教えた。
「「「「えっ・・・」」」」
「う、うそでしょう・・・」
「これ、マジ無理だよ!私たちマジで死ぬよ!」
「どどど、どうやって倒すっていうんだ、こりゃ!」
「・・・・」僕たちは死ぬのか、ここで・・・。僕はいまこのダンジョンに来たことを後悔した。
来なきゃよかった・・・
そんな戸惑っている僕たちにベヒモスは容赦なく、僕に突進してくる。フィル、セシル、アニーと僕はすぐ魔法をかけたが、ベヒモスの勢いはまったく緩めることなく、そのまま僕に走ってくる。僕は腰に掛けた剣を抜き、ベヒモスから避け、ベヒモスの顔を狙って剣を降ろし・・・僕の剣は折れた・・・最悪だ・・・
僕はまた死に物狂いでベヒモスから逃げ、他のメンバーはまた魔法をかけた。
(ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい魔法も通じない剣も折れたヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい)
僕はベヒモスにマグマをかけた。マグマはかなり攻撃力が高いから効果が・・・ベヒモスはすぐ僕のマグマから避けた。僕がもう一回マグマをかけようとする前、ベヒモスはすぐ僕に突進してきた・・・こいつ強いうえに、速い上に、頭がいいかよ。
僕たちは逃げながら、まったく効果のない魔法をベヒモスにかけ続け、ベヒモスは僕たちに突進してきて、僕たちは死に物狂いで逃げる。ずっとこのままだと僕たちは確実に死ぬ。どうすれば・・・
あっ、僕にはもう一本の剣を持っているんじゃないか!?あの剣なら、使えるじゃないか!?
僕は自分のマジックバッグの一つを手に入れ、一本の剣を出した。
お願いだから、こいつの体を貫けよ。
僕はアニーを狙っているベヒモスにファイアランスをかけ、ベヒモスはすぐ僕に矛先を向けた。
ベヒモスは僕に突進してくる。僕はギリギリでベヒモスから避け、ベヒモスの体に剣を刺した。
『シュッー!』剣はベヒモスの体にスーッと刺せた。
『ウォーーーーーッ』ベヒモスは苦しそうに動き咆哮する。僕は剣を大きく上げ、ベヒモスに降ろした。でもベヒモスの勢いは強いから、僕はベヒモスの急所を狙えず、適当に胴体に刺した。
『ウォーーーーーッ』ベヒモスはまた苦しそうに咆哮した。でもベヒモスの動きがさっきより遅くなったから、僕はベヒモスの顔を狙い、剣を大きく上げ、そしてベヒモスの顔に全力で刺した。
『シュッー!』僕はもう一度ベヒモスの顔に刺して、剣を捻った。そして、剣をベヒモスの顔から出して、もう一回刺した。その攻撃を何回かやり直しているうちに、ベヒモスの動きが止まり、徐々に消えていく。
「「「「「・・・・・」」」」」
「え、あ、え、、びあんこ、、えっ?」
「あ、あ、ああの剣は・・・なに?」
「べべ、べひもす・・を・・・」
「と、と、とりあえず・・・たすかった・・・」
「・・・・はぁ・・・」死ぬかと思った。僕はホッとしてその場で倒れこんで大の字で寝た。




