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僕の中の悪魔を殺してください  作者: あまね
ダンジョン編
50/61

現在 シーデンの森 pt.9

 僕たちは休憩所でしばらく休んだ後、6階層を降りた。ここも森だった。一発目の魔物はビッグワームだった。


「きゃっ!あ、あ、あ、あれが魔物?き、き、き、気持ちが悪いよ~無理無理無理!セシル、風魔法を!」アニーはビッグワームを見た途端、悲鳴をあげた。


「うぅぅぅぅ〜鳥肌が立ったわ。無理!パスカル!何とかして!」こんなセシルを初めて見た。


「私にはそんなことができるわけないじゃないですか。フィル、退治お願いします」パスカルは相変わらず落ち着いている。さすがの貫禄だ。


「うぇぇぇぇぇっーーーーお、俺、虫きらい・・・」フィルは予想通りの状態になった。


「はぁ・・・」僕もこいつが好きじゃないから、これ以上こいつを見たくない。僕はさっさとファイアストームでビッグワームを燃やした。ビッグワームの素材は繭だった。マントや服の強度を上げるための材料だ。ビッグワームはあまり強いとは言えない魔物だけど、素材はまあまあの報酬をもらえる。


「君たち、大丈夫?次行くぞ」


「今日の夢まで出てしまいそうなの~いやなの~」


「あれじゃなかったら私だって倒せるわよ・・」


「さすがビアンコですね~」


「うぇぇぇぇぇっーーー」




 ビッグワームのところから再出発して、10匹のワイルドバットに遭った。


「きゃっ!」アニーがワイルドバットに攻撃されて、すぐに攻撃魔法で反撃したけど、外した。


「ワイルドバットだわ。数が多いね」セシルは風魔法を使おうとした。


「みなさん、頑張ってくださいよ」


「俺に任せろ!」


 フィルは珍しく頼もしく言って、水魔法でウォーターボールを作って10匹のワイルドバットの顔を包み、溺水させた。


「「「「おぉぉーー!」」」」


「フィル、意外とすごいね~」


「ちょっと見直しちゃったわ」


「フィルなのに、見直しましたよ」


「急にどうしたんだ?何かあったのか?」


「お、おまえたち・・・ヒドイ・・・褒めているように見えるけど、まったく俺を褒めていないんだな」フィルはぶつぶつ言いながら、ワイルドバットの素材の翼を集めた。ワイルドバットの翼は回復薬の材料になる。



 森の奥へ進む途中、またビッグワームとワイルドバットに遭った。みんなまたビッグワームに悲鳴をあげ、僕はさっさと火魔法でビッグワームを燃やしていく。ビッグワームはマジで気持ち悪い。これ以上見たくない。もう出て来るなよ。


 ワイルドバットに遭うと僕を含め、みんなはフィルに任せた。フィルはしぶしぶとさっきみたいに水魔法でワイルドバットの顔を包み、溺水させ、退治した。



 次はマンティスに遭った。通常の大きさのマンティスではなく木一本の大きさのマンティスだった。こんな大きいマンティスを見たことがないが、確かヘルマンティスという名前のような気がする。これも予想通り、アニー、セシルとフィルはさっそくノックアウトした。みんな虫嫌いだな。僕もなんだが・・


 ヘルマンティスたちはすぐ僕たちを前足で攻撃してきた。アニーは何とか防御魔法をみんなにかけたが、反撃する気力がないようだ。


 僕たちがヘルマンティスの攻撃をバラバラで逃げ回りながら、僕はたくさんのファイアランスをヘルマンティスたちに直撃し退治した。でもまだまだ終わらない。ヘルマンティスがたくさんいるから。僕、フィル、セシルは何とかヘルマンティスの気持ち悪さに耐え、反撃して前へ進む。パスカルは素材を拾っていく。アニーは・・・まあ、さっきのビッグワームの時から、アニーが気絶しないだけでえらいと思う。ヘルマンティスの素材は羽だった。武器の素材になる。


 僕、フィル、セシルはヘルマンティスを退治していき、やっと全部倒した。宝箱を見つけ、開けてみると神聖杖を入手した。冬の精霊の中で、神聖杖を使いこなせそうなのはアニー以外、他にいないからメンバー全員の合意でこの申請杖はアニーにあげることにした。


「あたしは何もしていないのに、なんかごめんね~」アニーは大人しく杖を取った。


「マントのときみたいにここで使うかもしれないから、その時は頼むぞ」


「了解~」


 宝箱から離れ、森の方へ進むと休憩所を見つけ、今日ここに泊まることにした。




 翌朝、七階層に降りると暗闇の世界に入った。アニーがすぐ灯りの魔法を照らし、僕たちが地下牢に入ったとわかった。この地下牢の両側はたくさん牢屋が並んでいて、真ん中に通路がある。アニーの魔法の灯りで地下牢を照らしても地下牢の通路の奥がまったく見えず、この通路は地獄への道のように見えてしまう。


「す、すごいね〜昨日まで森とか雪山とかだったのにね〜ここは暗いね〜」


「牢屋の中に・・だ、誰かいると思わない?な、なんか影を見た気がするわ・・・幽霊が出て来るかしら・・いやだわ・・」


「私は牢獄に入ったことがありませんから、これはすごくいい経験ですね。牢獄はこんな雰囲気なんですね。興味深いです」


「ゆ、幽霊が出てきそう・・・俺、幽霊とか虫とか・・嫌い・・・このダンジョン・・マジ嫌い・・・」


「・・・・」僕は幽霊を見たことがないけど、見たいと思ったことがない。出て来るなよ・・・



『ごちゃごちゃごちゃごちゃ』両側の牢屋から物音が聞こえた。


「「「きゃぁっーーー!」」」アニーとセシルとフィルは同時に悲鳴をあげた。アニーとセシルはお互い抱きついていて、フィルは僕に抱きついてきた。


「ほぉ〜、私たちは初めて幽霊を見れるかもしれませんね!ワクワクしますね!幽霊さんたち~出て来い!」パスカルだけが楽しそうだ。昔から知っていたんだけど、パスカルは本当に本当に幽霊が好きなんだよな。


「・・・・」僕はフィルと同じ気持ち、このダンジョン、マジで嫌い・・・虫とか幽霊とか勘弁しろよ。僕はフィルに抱きつかれたまま、そんなことを考えて、前へ進む。



 そして、各牢屋からアンデッドがたくさん出てきた。


「「「きゃぁっーーー!」」」アニーとセシルとフィルはまた同時に悲鳴をあげた。


「ほぉ〜、アンデッドですか。へぇ〜、ではみなさん、頑張ってくださいね〜。回復魔法をかけますからね〜」パスカルだけが楽しそうだった。


 僕は風刃を飛ばした。でも全然効果がなかった。風刃はちゃんとアンデッドに当たったけど、アンデッドの動きが少しの間止まっただけで、死なない・・・まあ、すでに死んでいるからか・・困ったものだ。


「アニー、昨日の神聖杖を使ってみてくれ」


「ふぇ!?あ、あぁ・・・つ、つまりここはあたしの出番なのね・・・最悪・・・」アニーはいやいやと神聖杖を出して、攻撃魔法をかけた。一発でアンデッドがたくさん消えた。


「「「「・・・・・」」」」


「では、アニー頑張ってね〜」セシルは微笑んでアニーを応援した。


「私はしっかりと回復魔法をかけますから、思う存分やっちゃってください」パスカルは他人事のように微笑んだ。


「ふぅ~~~俺じゃなくてよかった」フィルはやっと笑顔になった。


「この階層、めちゃ余裕だね。おまけ階層みたいでよかった」昨日魔法杖を見つけてよかったな。僕はこの階層でやることがなさそうだ。


「みんな・・・あたしに丸投げしないで〜」アニーは泣きそうな顔をしながら、アンデッドに攻撃した。しかたがないことだ。



 アニーの神聖杖のおかげで、僕たちはスムーズに前へ進んだ。アニーは先頭に立ってアンデッドに攻撃魔法をかけ、僕たち四人はアニーの後について行くだけだった。アンデッドには素材がないから、拾う作業もなかった。この階層はマジで楽だ。


 しばらく地下牢の通路を歩くと、地下牢のだだっ広い空間に出た。そしてワイトがたくさん出てきた。アニーはまた神聖杖で攻撃魔法をかけ、退治していく。


「もうっーーー!なんでこんなのばかりなのよ!?」アニーはぶつぶつ言いながらも、ちゃんとワイトに攻撃していく。ワイトにもアンデッドと同じく、なんの素材もない。アニー以外のメンバーは楽々と前へ進む。


 ワイトの次はデュラハンだった。デュラハンも神聖杖に弱いようで、アニーが攻撃魔法をかけたら、すぐ消えた。デュラハンから魔鉄が落ちた。僕たちはそれを拾い、アニーの後ろについて行く。


 デュラハンがまた出てきた。僕はこんな魔物に実際に遭うのは初めてだった。まったくうれしくない。しかし、パスカルはすごくイキイキしていてアニーに回復魔法をかけている。こんなに嬉しそうに楽しんでいるパスカルも初めてだ。


「ふふふっ、この階層はいいですね〜。出口についたらまた入り口のほうに戻りましょう!」パスカルはとんでもない提案をしてきた。


「神聖杖を貸してあげるから、パスカルは一人で行ってきてね~」


「私たちが8階層で待っているから、一人で行きなさい」


「パスカル、8階層で会おうな!」


「さよなら」


「そ、そんな。こんな機会はもう二度とないですよ!外にこんな素晴らしいところはもうないですよ!入り口にもう一回戻りましょうよ!」メンバー全員はパスカルのそんなバカな訴えを無視した。



 デュラハンの次はリッチだった。アニーはすぐに攻撃魔法をかけた。神聖杖のおかげですぐ退治できた。リッチからエメラルドの指輪が落ちた。さすがリッチだ。


「この階層は大したことないわね」


「楽勝すぎてただの散歩みたいですね」


「余裕だな。まったく俺の出番がないんじゃないか」


「進もう。アニー、先にどうぞ」


「・・・みんな、ひどい・・・」



 僕たちはアニーの後ろについて行き、漸く地下牢の奥に辿り着いた。地下牢の宝物は魔法薬だった。


「ビアンコ、これも薬なの?どんな薬?」セシルは僕に薬の瓶を僕に渡しながら聞いた。


「あっこれ!魔法薬だよ〜。なんか久しぶりだね〜。いつか役に立つんじゃないかな〜」アニーは嬉しそうに話した。


「これは万物の病を治す薬だ。売ったら大金をもらえるけど、僕たちで取っておこう。いつか役に立つと思う」僕はセシルに答えながら、魔法薬をマジックバッグに入れた。


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