現在 シーデンの森 pt.8
僕たちはしばらく休憩すると、四階層に降りる。ここは気持ちよさそうな高原だった。よかった。
最初の魔物はワイバーン四頭のワイバーンだった。僕は三階層で習得した新しい魔法を土魔法で試すことにした。一回目は土魔法でたくさんの槍を作り、ワイバーンを滅多刺しにした。ファイアランスとアースランスはかなり優秀な魔法だな。僕は他のメンバーを見ると、アニーはちょうど攻撃魔法で退治が終わったところだった。フィルとセシルはまだ戦っている。セシルは槍の形をした風魔法を作ってワイバーンを攻撃していて、そして退治完了した。フィルも同じく水魔法で槍を作ってワイバーンを攻撃して殺した。
ワイバーンの素材を拾ったあと、前へ進む。次はリザードの群れだった。今度は僕はたくさんのウィンドランスでザードの群れをめった刺しにした。ウィンドランスも優秀な魔法だ。
高原の先へ進むと、またワイバーンとリザードに遭った。メンバーはそれぞれ退治して、素材を拾い、前へ進む。そして次はバジリスクに遭った。バジリスクの尻尾に猛毒があるから、俺はたくさんの風刃を放ってひとまずバジリスクの尻尾を斬った。『ウォッーーーー』とバジリスクが苦しそうにしている間に、セシルもフィルもアニーも参戦してくれて、バジリスクを退治できた。バジリスクの素材は牙だった。
高原をさらに進むと扉を見つけた。僕がゆっくり扉を開けると、案の定ここは休憩所だった。休憩所の奥には宝箱がある。いつも通り、僕、フィルとアニーがセシルを守りながら、セシルが宝箱を開ける。丸形の石板がある。僕はセシルからその石板をもらい、調べた。
「何か書いてあるよ。えーと、千年前の日付が書かれているよ。アライヴァラ城、エルシリアの街とも書かれている。これ、何かわかる?」僕はパスカルのほうを向いて聞いた。
「アライヴァラ城は現在の魔王城のことでしょうか。エルシリアの街はどうでしょうか?昔の街かもしれませんし、現在のどこかの街かもしれませんね。聞いたことがないのですが」
「これはこのシーデンの森の遺物かしら。千年以上前の歴史は私たちにもう関係ないことでしょうけど」
「まあそうだな。とりあえずもらっておこう。次の階層行こうか」
「なんかつまらない宝だったね。なんか神薬とか秘薬とかだったらいいのにね。せめてお金でもいいからさ」
「そうだね〜。千年前の遺物はあたしたちに何か使えるのかな~」
僕たちは四階層の休憩所で昼ご飯を作りながら、パスカルに回復魔法をかけられ、昼ごはんを食べて、しばらくゆっくりすると再出発した。五階層に降りると、ここは森だった。
「五階層は森なんだね。一瞬シーデンの森にでちゃったのかと思っちゃった~」
「まあ、今朝雪山に出たし、さっきも居心地のいい高原だったし、もう驚くことはないわね」
「ここも空気のいい階層ですね。よかったです。どんな魔物が出るでしょうかね」
「よし俺たち、早く行こうぜ!」
僕たちは前に進んでしばらく歩く。しかしいくら歩いても前に進んでいない気がしてくる。もしかしてこれ・・・
「ね~ここ、さっきも通ったと思わない?」
「や、やっぱり?私もなんか見覚えあるなと思っていたわ・・」
「私たちは前に進んでいるでしょうか?それとも同じところで歩いているんでしょうか?」
「全然出口が見えない・・疲れてきた」
「この階層は敵を疲れさせて弱ったところで襲ってくる魔物の階層かもな」
僕はそう話しながら、僕たちを囲んだこの森にファイアストームを放った。
『ギィィィィィィィィーー!』
「い、今の音は何なの?」
「あそこ、何か動いているわよ!」
僕はセシルが指さしたところに向けてファイアボールを撃ちはなった。
「あそこだ」僕は魔物の姿を見つけた。あの魔物は大きな木の姿をした魔物だった。あの魔物は苦しそうに動いていて、僕はファイアランスで追撃した。
「こ、これは何の魔物なの?初めて見た~」
「わ、私もだわ。敵に幻想を見せる魔物だよね?外にあまりないんじゃないかしら。じゃないと人間にとって危険すぎるよね?」
「これは夢幻の木と言います。セシルの言う通り敵に幻想を見せる魔物です。攻撃力があまりないと言われているんですが、人間はこの魔物に幻想を見せられていると気づく前にこの魔物の幻想でやられてしまうといわれています。確かに外ではあまり見かけませんね。私も遭ったことがありません。本からこの魔物の存在を知ったんです。特定な場所にしか存在しないかもしれませんね」
「さっきビアンコがファイアストームを使わなかったら、俺たちもやられていたんじゃないか?」
「あまり攻撃力がないのは助かった。まだ何とか対策できる可能性があるかもしれない」
僕は夢幻の木が現れたところに行き、一本の枝の素材の枝を見つけた。魔法の杖の素材になるらしい。
僕たちはまた道を進む。
「ねぇ、あの大きい木についている大きい花・・人間を食べたりしそうじゃないかな?余裕であたしたちを食べられそうな大きさだと思わない・・?」アニーは不安げにみんなに話した。
「あれはマンイーターだわ。マンイーターは起きていると厄介だから寝ているときに狙うべきだよ」セシルはアニーに答えながら、風刃でそのマンイーターの根っこを斬って、一瞬でマンイーターを退治した。僕はまだ何かやろうとしていなかったのに、早いな・・・
「弱いんじゃないか?あいつ、起きているとどうなるんだ?」フィルはセシルに聞いた。
「マンイーターの枝がいっぱいあるのが見えるでしょう?マンイーターは起きているとあの数えきれない枝で獲物を捕らえるの。それで獲物を縛って、あの大きい花に入れて食べて、少しずつ獲物を消化するの。枝がたくさんあるから、全部斬り倒すのは厄介なのよ。いくら斬っても全然減らないんだから」セシルは話しながら、マンイーターのところに歩き、マンイーターの素材を拾った。
「だから根っこを斬ったのか?花の部分で人間を食べるから、倒すのは花の部分だと思ったんだけど、違うのか?」僕はセシルに聞いた。
「マンイーターが起きているときは花の部分も開くから、その時は花の中心部を狙ってぶっ飛ばせばいいよ。でもさっきマンイーターが寝ていたから、花の部分が閉じていたんじゃない?あの花びらは貧弱そうに見えるけど、意外と頑丈だから、攻撃が中心部まで行かないこともあるわ。だからまとめて根っこの部分を斬っちゃえば、簡単に退治できるってわけよ。もちろん起きているときも根っこをぶっ倒してもいいのよ」
「そうなんだ。昔僕はあったことがあったけど、花の部分が開いていたから、花の部分を何とか退治していた」
「セシルもマンイーターに遭ったことがあったのか?」フィルはセシルに聞いた。
「えぇ、前のパーティーにいたとき、東方の南部で一回だけ遭ったわ。あの時はマンイーターが起きていたから、散々な目に遭ったのよ。いくら枝を斬っても斬ってもまったく終わりが見えなかったわ。その時パーティーのアタッカーが火魔法を使って、偶然マンイーターの根っこに当たったの。そしたらマンイーターがすぐ死んじゃったから、根っこが弱点だってわかったんだよ」
「そうなんだね。運がよかったんだな」
「本当に運がよかったよ!あれ、危機一髪だったわ。あの時はあと少しでパーティーが全滅するところだったのよ」
「セシル、マンイーターの素材はどんなものですか」
「これはマンイーターの枝だわ。これも魔法杖の素材に使えるよ。確か魔法杖の攻撃力を増加させるとか聞いたことがあるの。マンイーター自体はあまり見かけない魔物だから、少し高めで買い取ってもらえるはずよ」僕はセシルからマンイーターの枝をもらい、回収専用のマジックバッグに入れた。
僕たちは更に森に進むギガネペンテスに遭った。そのギガネペンテスは根っこ部分が土の下に埋まっているが、土からギガネペンテスの天辺までの高さは三階建ての建物ぐらいだった。
「「「「「・・・・・」」」」」
僕たちがギガネペンテスの巨体に驚愕している間、ギガネペンテスがすぐ僕たちを攻撃した。ギガネペンテスの枝は長く、僕たちが逃げてもそのまま追撃してくるから、長さが無限なんじゃないかと思ってしまう。僕たちはばらばら逃げ、僕は風刃でギガネペンテスの枝を斬り、フィルはウォーターランス、セシルはウィンドランス、アニーは攻撃魔法を使い、ギガネペンテスの本体に反撃する。
ギガネペンテスが4人の攻撃を食らっても、あまりダメージがなかった。僕は雪山で使ったマグマを思い出し、ギガネペンテスの根っこにマグマを吹き出し、徐々にギガネペンテスを溶かしていく。でもギガネペンテスは3階建て程の大きさだから、時間がかかる。僕たちとギガネペンテスが攻撃を交わしているうちにマグマがやっとギガネペンテスの天辺を溶かし始め、僕たちとギガネペンテスの戦いが終わった。
「あ、あんな大きい魔物を見たことがないような気がするよ~」
「何とか勝ったけど、でも結局私のウィンドランスがほぼ効果がなかったわね・・」
「みなさんはとても勇敢でしたよ。回復魔法をかけますね」
「俺のウォーターランスもあまり効果がなかった・・・」
「マグマは優秀な魔法だね。雪山のおかげだ」
僕はギガネペンテスの素材の葉っぱを拾った。何に使うのか知らない。更に森を進むと扉を見つけ、中に入った。ここの宝箱には五つの謎の透明な魔石があった。
「こんな透明な魔石は見たことないな。誰かこれ知っている?」僕はみんなに聞いてみた。
「「「「さあ・・・」」」」まさか、パスカルでも知らないとは・・




