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ビアンコ17歳 神様の街の観光 pt.3

 自由行動は五日間もあるから、僕は一日一区画を探索することにした。ミハイルさんたちが言うにはこの街の名所は教会だから、僕はまず教会から始めようと決めた。自由行動の一日目に東町の教会に行って、東町の街散策する予定だった。


 僕は泊っている中央街にある宿から出発して東町に向かった。ケルレナ街は広いし大きいから、僕はいつの間にか迷子になってしまい、自力で行けなくなってしまった。僕は道を歩いている街の人に東町まで行く方法を聞きながら、何とか東町に辿り着いた。


 そして僕が東町に到着するとちょっとがっかりした。中央街と北町はあんなに盛んでいるから、東町もそうだろうと思い込んでいた。実際に見ると東町は教会以外何もなかった。この区画は住宅街だった。そもそも東町の教会もデュトラス教会とアレクラス教会と比べると小さい教会だった。一日一区画ということにしたけど、この東町では半実もあれば十分だろう。でも僕はこの街で特にすることがないから、僕は東町の辺境地までぶらぶらして時間を潰すことにした。


 家はたくさん並んでいるけど、食堂や売店はあまりなかった。全部中央街と北町のデュトラス教会に集まっているのだろうか。僕はあちこちの裏道をぶらぶらと歩いていると、ある一軒家の玄関から出てきた女を見かけた。その女は注意深く周りを見たから、僕は思わず身を隠してしまった。女はその一軒家から離れて、僕が今向かおうとしている裏道を進み、僕はその女の行動が気になって、特にやることもないから後ろから付いて行くことにした。


 その女は腰に剣を下げていて、鞄を背中に背負っている。


(冒険者?・・じゃないかもな)


 僕がしばらくその女について行くと、その女は別の家の近くでまた周りを注意深く見回ってから、その家の玄関に向かった。そして女は玄関の扉を何か弄ってから扉を開け、中へ入っていった。


(なるほど、泥棒ね。しかもこんな明るいときに正々堂々と玄関から出入りするなんて結構この辺りが詳しいんじゃないかな?これ、いい時間つぶしになるな。おもしろそうだ)


 僕はその女がその家から出るまで待った。少し待っているとその女が玄関の扉を少し開け、注意深く外を確認すると玄関から出て先の道を進んだ。僕はまたその女について行った。


 その女は裏道にある小さな小屋に入った。僕は少し離れたところでその女を待っていたけど、出てこなかった。おそらくここは盗み対象の家ではなく、その女の家かもしれない。僕がその小屋に近づけると小屋から話し声が聞こえた。


「言い訳するな!この無能が!これしか持って来れねぇなら、おまえが飲み屋でも働け!おまえの顔でならこんなちっぽけな金よりもらえるんだろうよ!ささっと出ていけ!今度は金貨五十枚まで稼げなかったら、帰ってくんなよ」男は怒鳴った。


「ご、ごめんなさい・・許して・・今度はもっと・・もっと持ってくるから・・」女はすする泣いた。


「ぎゃあーー!ご、ごめんなさっ!許してっ!もう叩かないで!」女は咽び泣きながら、許しを請うた。



(なるほどね、想像とは違う展開だったけど、これはこれでおもしろいね~)


 僕はそんなことを考えていると、また男の怒鳴り声が聞こえた。



「ささっと出ていけ!金貨五十枚を持って来なかったら今度は飲み屋に放り込んでやる。ちゃんと働けよ。出て行け!」その女は泣きながら、小屋から急いで出てきた。その女はさっきまできれいな身なりだったのに、今はさっきと違って顔に痣ができていて、口に血がついていて、髪の毛がボサボサで、服が乱れていて、服にも血がついている。小屋の中の男に殴られていたんだな。その女はさっき来た道に戻って走って行った。


(ふーん、神様の街なのにこんなことがあるんだね〜神様って全く使えないんじゃないかな?あの女は可哀そうだな。僕は神様の代わりにあの女を解放してあげよう)


 僕は小屋の扉を開けて中に入り、扉を閉じた。見た目はボロボロな小屋に見えたけど、小屋の中は装飾品や家具などが揃っている。盗みから稼いだお金のおかげかな。小屋の真ん中に長椅子があって、一人の大柄な男がその長椅子で寛いでいる。男は僕を見ると、驚いて長椅子から立ち上がった。


「こんにちは〜お邪魔します〜」僕はニコニコして礼儀正しく挨拶した。


「てめぇ、誰だ!勝手に人の家に入るな!死にたくなかったら出ていけ!」


「へぇ~よくそんな言葉を言えますね~あなたはあなたのお友達を人の家に勝手に入らせているのに」


「て、てめぇ、誰だ!」男は低い声で言いながら、長椅子の横に置いてある剣を取り出した。


「俺はCランクの冒険者だ。てめぇ、死ね!」男は剣を持って僕に斬りかかってきた。僕は避けて、思いっきりこの男を蹴り飛ばして、男は壁に沿って並んでいる棚にぶつかって床に倒れこんだ。


「うぅぅっ!」


「ふーん、あなたはCランクの冒険者ですか。大したことではないですね。冒険者なら泥棒活動ではなく、もっと冒険者らしくしてほしいですね」


「うぅぅっ、て、てめぇ、だ、誰だ!」


「僕はただのBランクの冒険者です」


「な、なんだと・・Bランク!?」


「んであなたとさっきの女はどういう関係で?」


「あ、あいつは俺の妻だ!俺があいつに何をしようと俺の勝手だろう!あいつは俺の妻だからな!」


「ふーん、なるほどですね〜わかりました〜」僕は微笑んで話しながら、短剣を取り出した。ゆっくりと男に近づく。


「く、来るな!おまえは冒険者だろう!?冒険者ギルドにバレたらおまえが終わりだぞ!」


「心配してくれているんですか?優しいですね。でも安心してください。僕は僕のこともあなたのことも冒険者ギルドにバレないようにしますから」僕は男に近づくともう一度男の顔面を思いっきり蹴りつけた。


「うぅぅっ!」僕は心臓がバクバクしていて、男の喚き声が聞こえないぐらい心臓の音がうるさかった。


「ふふふふふふふ」僕は笑いながら、短剣を大きく上げて、そして男の心臓を突き刺した。


 男は痙攣した後、もう動かなくなった。僕はしばらく小屋の中で高揚していた。僕の心臓が鎮まると、僕は小屋を出て、少し離れたところに座り込んで、短剣が男の心臓を通った瞬間の感覚を思いに浸りながら、ぼーっとした。これで人間を殺したのは今の男が3人目になった。やはり人間を殺した瞬間の気持ちが最高だった。癖になりそうだ。僕はその気持ちを一生忘れることはないだろう。


(ふふふふはははは!さすが神様の街だな〜。神様はいつも僕についてくれている。本当に感謝しますよはははははははは!)


(はぁ~もっともっと人間を殺したいな~)


「きゃあっーー!」女の悲鳴が聞こえた。僕が声をするほうを見ると、さっきの女が小屋に戻ってきていたのが見えた。僕はそんなに長くここに座っていたのか。僕は立ち上がって、静かに小屋に向かった。


「えっ、ど、どうしてマイケルが死んでいるの?だ、誰がやったの?どうしよう」女は混乱している。


「も、もしかして神様が私を助けてくれたの?か、神様!あ、ありがとうございます!本当にありがとうございます!あぁ神様!感謝します!や、やっと!やっと自由になれるわ!あぁ神様!よかった!本当によかった!」僕が小屋を覗くと、女は男の近くに座っていて、歓喜している。


 僕はその場から離れた。


 これからその女がどうなるのか僕の知ったことじゃない。




 僕はその小屋の近くでかなり時間を費やした。僕は中央街の宿を目指してその小屋から離れたとき、日が傾き始めたからそろそろ宿に戻ろうと思った。僕はなんとか中央街と東町の構造がわかってきたから、帰りは誰かに道を聞くこともなく、難なく宿まで辿り着くと、ミハイルさんたちはちょうど宿の前に立っていた。


「おー、ビアンコ、ちょうどよかった。今から晩飯を食べに行くんだけど、おまえも行くか?」


「はい、行きます!僕、もうお腹ペコペコです」


「こんな時間までどこまで行ったんだ?」


「ずっと東町にいましたよ。中央街と北町はあんなに盛んでいるのに、東町は何もなかったんですね。びっくりしました」


「あそこは確か住宅街だよな。あんな何もないところでこんな時間まで?何をしていたんだ?」


「何もしていなかったんですね~辺境地まで行ってそこでぼーっとしていました。気付いたらこんな時間になりましたね~」


「マジかよ。まあ、おまえはうるさい中央街より、あっちのほうが好きなんだろうな。静かだから」


「そうなんですよ~」


 僕は平然とニコニコしてミハイルさんたちと話した。

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