ビアンコ17歳 神様の街の観光 pt.1
僕は17歳のとき、アイアンナイトと一緒にケルレナ街に来たことがあった。アイアンナイトは特にケルレナ街に何かの依頼で来たのではなく、ただアイアンナイトのみなさんが旅行の話をして、ケルレナ街に来る流れになっただけだった。
その話が出たのは僕たちはヴェリアナ街を出て、隣国のアルギーザ街という街に長期間滞在した時だった。アルギーザ街は東方の国と北方の地の境界線があるから、商人たちや観光客、冒険者がたくさん流れ込んできて、そして流れて出ていく街だった。僕たちは商人の護衛の依頼を何件も受けて東方の国とこの街を何度も行き来していて、ほとんどゆっくりできなかった。そんな僕たちは、ある日どこかの街に旅行しようという話が出た。
「なあ、俺たち、最近依頼ばかり受けて随行していたから、ほとんど休んでいないんじゃん?ちょっとぐらい依頼を受けずに、たまにただただ旅をしてもいいんじゃないかな思うけど、おまえたちはどう思う?」ミハイルさんは急にその話を切り出した。
「旅行ですか!?いいですね〜俺は賛成です!どこに行くんですか?」ケリーさんはすぐミハイルさんの話に食いついた。
「俺もさんせいっす!最近護衛ばかりでへとへとっすよね~できれば行ったことがない街がいいですね~」
「いいですね。僕も旅行したいです。アルギーザ街からだと東方の地が一番行きやすいですけど、何週間もずっと行き来していたから、もう飽きましたね。オリヴェル国はどうですか?僕たちはあまり行かない国だし」
「オリヴェル国!いいね、ビアンコ!あの国は観光地が多いしいいじゃないか!?おまえもそう思うだろう、ブライアン?」
「そうね〜オリヴェル国だと・・えーと、ケルルンナ街?だっけ?あの教会が多いところ。あの街は確か有名っすよね、リーダー?」
「ケルレナ街だ。ケルレナ街がいいんだな?じゃケルレナ街を目指して、明後日俺たち出発しよう!」
「やった〜旅行!旅行!本当は俺、護衛依頼なんかもう飽き飽きでしたよ~」
「ワクワクしますね!僕、ケルレナ街に行ったことないです!楽しみです!」
「結構いい街だぞ!きれいだし、大きいし、ご飯がおいしいし!」
「でもここからだとかなり遠いから、二週間はかかるんだろうな。おまえたちしっかり準備しろよ」
「「「はい!」」」
でも結局、僕たちは二ヶ月もかけて漸くケルレナ街に辿り着いた。アルギーザ街からケルレナ街までかなり遠いけど、だいたい十日から二週間はかかる。でも僕たちはまっすぐケルレナ街に向かうのではなく、途中の街にもよって観光していた。時々途中の街の冒険者ギルドに寄って、アイアンナイトの誰かが面白そうな魔物討伐の依頼を見つけると、うっかりその魔物討伐の依頼を受けたりもしていた。だから思ったより時間が二ヶ月もかかってしまった。
「はぁ、やっとケルレナ街につきましたね〜遠い遠い道のりでした」僕はケルレナ街の正門に到着すると、ため息をついてみんなに話した。
「マジで疲れた・・旅行のつもりだったのに、依頼も受けていたから、これいつもと変わらないんじゃないかな」
「アルギーザ街からここまで二ヶ月もかかると思わなかったっす・・もう休みたいっす!」
「それはたぶんブライアンさんが他の冒険者パーティーとの共同の魔物討伐の依頼をうっかり受けてしまったからだと思いますよ。あの大量の魔物の討伐作業は二週間もかかりましたね〜。おかげ様で僕は実際にこの目でガルーダを拝見することができましたけど」
「そうだよ!そもそもこれは全部おまえのせいだ、ブライアン!反省しろ!」
「お、俺はただ『いいじゃないかな』って呟いただけだぞ!俺はまったくその依頼を受けるつもりはなかったぞ!あのギルドマスターは勝手に話を進めただけだぞ!」
「あの街の周辺にたくさんの魔物が出没したから、ギルドマスターはかなり困っていたんだ。だからギルドマスターはめちゃくちゃ魔物の出没を終わらせたくて、たくさんの冒険者を派遣していたんだよ。そんな軽々しく返事しちまったら、相手の狙い通りだぞ、ブライアン。今後気をつけろ。ちゃんとメンバーと相談してからにしないとダメだ。俺たちはあのガルーダに殺されるところだったぞ」
「そうですね〜僕たちは一生ケルレナ街に辿り着かないところでしたね。生き延びることができて、僕は本当に神様に感謝しています」
「ちゃんと反省しろよ、ブライアン」
「今後、冒険者ギルドにいるときはブライアンさんに『発言禁止』というルールを作ったらどうでしょうか。ミハイルさん、ケリーさん」
「おっ!やっぱおまえは頭がいいよな、ビアンコ。俺は賛成だ」
「俺も賛成~早速この瞬間からそのルールを執行しよう!」
「うぅぅぅぅっ・・すみません・・」
「途中の街の冒険者ギルドで魔物討伐の依頼を見つけては、看板からその依頼を取った人もいましたね~あの数々の魔物討伐の依頼もかなり時間を潰されましたね~」
「あぁ、それを思い出すだけで頭に来たわ〜。ブライアン、てめぇ、この街の教会の告解室でも自分の罪を告白して反省して来い!もう観光なんかするんじゃねぇぞ」
「じゃ俺たちはブライアンを告解室まで送って行こう。その後俺らだけで飯でも食いに行こうか」
「「賛成です!」」
「うぅぅぅぅっ・・ごめんなさいっす・・許してくださいっす」
僕たちはそれぐらいブライアンさんを責め立てると、ケルレナ街の正門に潜った。




