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現在 神様の街の異変 pt.14

 僕たちは司祭平服を着た男を浮遊魔法で連れて冒険者ギルドに行った。ギルドマスターが冒険者ギルドの入り口で行ったり来たり歩き回っている。


「ギルドマスター、終わりましたよ」僕はそんなギルドマスターに声をかけた。


「おーー、おまえたち、大丈夫だったのか?よかった!魔族はもう討伐したのか!?」


「はい、魔族討伐は終わりました。この男お願いできますか。精神支配魔法をかけられて、長い間食べ物を何も口にしていないみたいでかなり重症です。パスカルができるだけ治療しましたけど」


「この男、主教のマッテオだ。そうか、精神支配魔法をかけられていたのか。わかった。冒険者にこの街の診療所に連れて行ってもらうよ」


「あと、デュトラス教会もその周辺の家々もかなりやばい状態です。建て直すのに時間がかかると思います」


「あー、ここまで音が聞こえたよ。その周辺は結構な状態になったんだろうな。街の人も覚悟していたはずだ。いやぁー、本当にひやひやしていたわ。おまえたちが無事でしかも魔族討伐できたことは朗報だ。すぐ街の人に知らせなければならん。ずっと不安しているからな」


「ちなみに、いまどこかで飯を食えるところありますか。僕たちは体力をつけたいんですけど」


「南側の避難所に食べ物を準備してあるよ。もともと避難民に出したものなんだが。申し訳ないがとりあえずその料理で我慢してくれ。それに今おまえたちが避難所に行ってくれたら、街の人が喜ぶだろうな。おまえたちは体を張って魔族討伐してくれたんだから、みんなおまえたちにたくさんご飯を食べてもらいたいだろうよ」



 そして冒険者ギルドのギルドマスターは僕たちを南側の避難所にまで連れて行った。歩いている間についでにいろいろ報告しておいた。冒険者ギルドの本部まで報告する必要があるだろうから。


「し、四天王!?マジか!?魔王軍の四天王がずっとこの街にいたのか!?その四天王をおまえが倒した!?」ギルドマスターは目が飛び出るほど驚いた。魔王軍の四天王が一年も身近にいたんだから、こういう反応になるよな。


「はい、魔王がいろんなところの人間の街を魔王軍の拠点にしようとしているみたいです」僕は落ち着いた声で話した。


「他の街もすでに潜り込まれているかもしれないわね」セシルは眉間に皺を寄せながら話した。


「ほ、本当か?こ、これは一大事だ。すぐに冒険者ギルドの本部に報告しなければならん。他に情報がないか?」


「うーん、去年のテロウ山間部の事件であの長老が話した『消滅魔法』の話があるよね〜」アニーはギルドマスターに消滅魔法のことを教えた。


「そうですね。『消滅魔法』で人間を滅亡させるとか魔族が言っていたみたいです」


「しょ、消滅魔法?なんだその魔法は?聞いたことないな」冒険者ギルドのギルドマスターでも聞いたことがない魔法なのか。


「魔王はその魔法が詳しくてその魔法で人類を滅亡させたがっているみたいです」


「ほ、本当なのか?魔王が消滅魔法とやらで人類を滅亡させる、か。これも早急に冒険者ギルドの本部に報告しないといけないな。貴重な情報ありがとうよ」


「ねぇ、ギルドマスター、私たちはこの街のために魔族を討伐したのだから、もちろん報酬はありますよね?」セシルはちゃんと報酬のことを覚えていたんだ。


「あー、冒険者ギルドの本部に言いつけよう」ギルドマスターは即答した。


「「「「やった!」」」」そしてみんな喜んだ。


 ただ働きにならなくてよかった。これで僕たちの仕事はもう終わった。




 僕たちはしばらく歩くと街の南側の『イグナス教会』に着いた。僕たちと冒険者ギルドのギルドマスターは街の人の避難所をどこにするかの話し合いで、アダムがイグナス教会はどうだと提案した。イグナス教会はデュトラス教会の反対側の南側で、デュトラス教会とアレクラス教会と比べると規模が小さい教会だけど北側の人たちを収容できる広さで北側から離れていて一番適切だから、イグナス教会を一時の避難所にすることになった。


「みなさん、落ち着いて聞いてください!この五人の冒険者パーティー『冬の精霊』が魔王軍の四天王及び魔族どもを討伐に成功した!これでこのケルレナ街は平和になったのだ!魔族はもうこの街にいないのだ!」冒険者ギルドのギルドマスターは大きな声でイグナス教会の礼拝堂の中で街の人の前で勝利の宣言をした。


「ほ、本当ですか、ギルドマスター!?」


「ま、魔王軍の四天王!?四天王がこの街にいたのか!?」


「じゃこの街に魔族がもういないんですよね!?」


「よ、よかった!」


「これで俺たちはこれから平穏にすごせるよね!?」


「ゆ、勇者様だ!」


「「「「「「勇者様だ!」」」」」


(はぁやはりこんな展開になるよな。勘弁してほしいものだ)


 街の人は僕たちにたくさんご飯を持ってきてくれた。僕はご飯を食べながら、相変わらず微笑んで街の人の賞賛を聞いていた。『冬の精霊』のメンバーはというと、みんな楽しそうに街の人と話していて、嬉しそうに手を振っていて、街の人の話を聞いて笑っている。

(まあいっか)



「ビアンコ、あたしたち、いつこの街に出ると考えているの~?」


「そうだな、この街でもうやることがないし、明日にしようか?」僕は自分の考えをそのままアニーに答えた。


「えっ!で、でもあたしたちはそんなに急いでいないんじゃない?街がまだ大変なときだし、あたしたち勇者一行がすぐいなくなったら、街の人が不安になると思うよ〜」アニーは僕の回答がこんな回答だと思わなかったようで、少し焦り気味だった。


「そうね。そんなに急いでいないし、一週間ぐらいいたらどうかしら?」


「そうですね。出発までの間私は街の人になにかを手伝えるかもしれませんから」


「俺も一週間後がいいと思う!俺、まだ腕の噂を訂正できていないんだった!」


「そうか。じゃ一週間後に出発しよう」僕たちがこの街を出ることでなぜ街の人が不安なのかよくわからない。フィルの目標もよくわからないけど、成功してほしいと思った。


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