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現在 神様の街の異変 pt.13

「こ、これでもう勝ったかな~」


「もう他に魔族がいないみたいだね」


「皆さん、お疲れ様でした!皆さんすごかったです!」


「俺、なんか疲れてきちゃった・・あちこち走りすぎてお腹すいちゃったけど・・」


「フィル、もうちょっと我慢してくれ。セシルたちと一緒に教会を調べてくれ。僕は二階を調べる。全部調べ終わったら、飯を食べにいこう」


「わ、分かった・・・我慢する・・・」


「セシル、アニー、パスカル、一階を調べてくれないか?」


「「「了解(~)(です)」」」



 デュトラス教会はさっきの戦いでヴァルモアの攻撃魔法とアニーの攻撃魔法で何回も当たっていて、崩れ落ち掛けた状態になった。階段はまだ使えるみたいだから、僕は二階に上がった。二階の壁にもヴァルモアの攻撃魔法で何か所かの大穴が開いていた。僕は廊下を進み、一つ一つの部屋の扉を開けて中を覗いた。二階には集会室、会議室、事務室、休憩室、図書室、寝室、物置があった。魔族もなくて、魔族の痕跡もなかった。廊下の突き当りまで歩くと、三階に上がる階段が見つかって、僕はその階段に上がった。ここは塔だった。


 塔には司祭平服を着た男が倒れていて、他に何もない。近くで見ると男はうつろな目をしていて、口が半分開いてよだれが垂れていて、肌が灰色になっていた。死んだと思っていたが、わずかに息しているのに気付いた。


(もう無理だなこれ〜。でも大丈夫だ。僕はおまえを楽にしてあげる~)


 僕はニタっと笑ってオリハルコンの短剣を抜いた。短剣でこの男の心臓辺りを軽く突き、そして短剣をこの男の心臓部まで突き刺すために力を込めようとした。



「ビアンコ〜、どこ〜?一階は終わったよ〜」

 アニーの声が聞こえた。アニーは二階に上がってきているみたい。



 僕は止まって、短剣を下ろした。

(時間切れか・・)


「アニー、パスカルを呼んでくれ。重症の人間を見つけた」僕は仕方なく、パスカルにこの男を治してもらうことにした。


(はぁぁ・・・本当に残念だ)



 パスカルは三階に上がり、この男を治療した。


「この男は、精神支配魔法をかけられていますね。初期段階だったら、その精神支配魔法を無効化すれば大丈夫ですが、この男は長い間ずっとこのままですから、完全に治るまで時間がかかると思います」


「精神支配魔法?そんな魔法があるのか?」


「えぇ、黒魔術の一つですね。人の心を操る魔法ですから、ほとんどの国で禁止されているでしょうが、この魔法を使ったのは魔族ですからね。人間の法律なんか関係ありませんから」


「そうか。この服だとここの司祭かもね。もしかしてアダムが言っていた主教かもしれない。とりあえず冒険者ギルドまで連れて行って、ギルドマスターに引き渡そう」


「そうですね。それしかないですね」


「アニー、浮遊魔法でこの男を冒険者ギルドまで連れて行ってくれない?」


「いいよ~」



 アニーが浮遊魔法を使ってこの男を一階まで運んでくれた。この男は精神支配魔法にかけられていて、パスカルはその精神支配魔法を無効化にし、回復魔法と治癒魔法を掛けた。ただ長い間食べ物と飲み物を口にしていないみたいだから、体がかなり衰弱している。長い期間養生が必要だとパスカルは言っていた。僕にとってこの男は死んでも生きてもどうでもいいけど、でもどっちかというとむしろ楽にしてあげたかった。


(はぁぁ・・・あと少しだったのに・・・本当に残念なことだった)


「セシルたちが一階で調べるの早かったな。魔族に関する情報とか痕跡とか何もなかったのか?」僕は他のメンバーに聞いた。


「もうご覧の通り、こんなざまになっちゃったから、調べられるところはあまりないわ。全然何も見つからなかったの。二階は?」


「同じく何もなかった。ここにはもうやることがないみたいだから、僕たちは冒険者ギルドへ行って、ギルドマスターに報告しよう」


「そうですね。街の人は今も不安でしょう」


「ちょ、ちょっとビアンコ、飯は?俺、マジでお腹が減っていて倒れそうだけど・・」


「フィル様が魔族と戦って餓死したと噂されたくなかったら、もうちょっと我慢してね、フィル」


「うっ、た、確かに。うん、わかった。マジで我慢するマジで」


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