現在 神様の街の異変 pt.12 ~~セシル~~
セシルはいまアニーとパスカルと一緒に事務室にいて、壁の外にいるビアンコと魔王軍の四天王のヴァルモアの戦いを見ている。アニーは常に防御魔法と補助魔法をビアンコにかけていて、パスカルは回復魔法をビアンコにかけている。セシルはその二人が危険な目に遭わないように守っている。
(ビアンコは剣術が高レベルだし、魔法も高レベルだけど、相手が四天王だから心配だわ)
セシルはそんなことを考えながら、事務室に入り込んできた魔族を斬り倒していく。
『ネズミのくせにしつこい!おまえらはさっさとネズミを退治しろ!』ヴァルモアの叫び声が聞こえた。
ヴァルモアが叫んだあと、さっき教会に乗り込んだときは魔族をあまり見かけなかったのに、今は魔族がどんどん事務室に入ってくる。
(さっきまであまりいなかったのに、どこから湧いてくるのかしら)
セシルは一人で対処できるのかと考えながら、短剣で魔族を斬撃していくと、セシルの後ろに攻撃魔法が通り過ぎて、魔族を倒した。
「アニー、助かったわ」
「あたしがサポートするよ!」アニーがそう言ってまた魔族に攻撃魔法を放った。
「フィル様、参上!」フィルは叫びながら、事務室に飛んできて、どんどん事務室に入ってきた魔族をどんどん斬り倒していく。フィルも剣術が高レベルだ。
(性格がビアンコの半分ぐらいでもいいからもっと大人だったら、もっと頼もしく見えるけど。まあこれはフィルのご愛嬌だわね)
「フィル、ビアンコは一人で大丈夫なの?」
「今のところ大丈夫。とりあえずアニーたちを守るようにってさ。ビアンコがダメそうになったら行くよ」フィルは呑気に言った。
『うっ!』ビアンコが倒れたのが目に入った。
「ちょっとフィル!ビアンコが倒れてんじゃないの!?」
「セシル、心配しないでください。私が治癒魔法をかけました」パスカルは言った。やはり仕事が早くて頼もしいわ。
セシルがまたビアンコのほうをちらっと見たら、ビアンコが火の剣でヴァルモアの攻撃魔法を斬撃したのが目に映った。
(えっ!ビアンコはあの攻撃魔法を斬っちゃう?って斬っちゃったけど?ビアンコは本当に強いわね。普通あれは誰でも無理よ!)
セシルはまた事務室に流れ込んできた魔族に集中して斬り殺していった。時々ビアンコの様子をちらっと見ながら魔族を倒していった。ヴァルモアがビアンコの全方面攻撃魔法を連射しているのが見えて、そしてビアンコの周りにはバリアがたくさん張られているのも見えた。
(アニーの防御魔法だわ)
「あっ!ビアンコのとこに魔族が近づいてきた。俺、そっち行くね!」フィルは去って行った。フィルは臨機応変の対応がいいわね。
セシルは一人でたくさんの魔族を相手にしているからだんだんきつくなってきた。セシルのスピードで魔族を不意打ちできるが、数が多いから疲弊してきた。パスカルはセシルに回復魔法をかけてくれて、アニーは強化魔法と防御魔法をセシルにかけてくれた。
「二人ともありがとう~助かったー」
アニーがたくさんの方面から魔族たちに向けて攻撃魔法を掛けようとしたのが目に入った。セシルは攻撃魔法の範囲から逃げ出した。アニーの攻撃魔法は一度に複数の魔族を排除してくれた。
(た、助かったー)
「うっ!この虫けらがよくもっ!」またヴァルモアが叫んだのが聞こえてきた。セシルがビアンコの方を見ると、ビアンコは魔族の体を真っ二つに斬り落したのが目に飛び込んだ。
(よし!これで勝っ・・・・てない?あのヴォルモアはしぶとすぎない?普通死んでいるわよ!?)
「「「ヴァルモア様」」」魔族たちは自分の上司がやられたのを見て動揺し始めた。
「「「「てめぇぇぇ、人間どもっ!!」」」」魔族たちはまた叫びだして、セシルたちに斬りかかろうとした。
アニーはまた攻撃魔法を放ってくれた。
「あぁぅぅ!」またヴァルモアが叫んだのが聞こえた。今度はビアンコがヴァルモアの首を斬り落としたのが目に飛び込んだ。そしてヴァルモアがだんだん灰になって消えていった。
(ひ、一人で四天王を倒したなんて、ビアンコは本当に強すぎるわね。頼もしすぎるリーダーだわ)
「ヴァ、ヴァルモア様!」
「キサマっ!」
「人間死ね!」
「よくもっ!」
と残りの魔族は叫んでビアンコのところに飛び込もうとしたけど、セシルとフィルはどんどん斬撃して言って、アニーも攻撃魔法を放っていって、あとでビアンコも加勢してくれたから、残りの魔族を全部殺した。
(はぁぁぁ、やっと魔族討伐が終わった~)
セシルは歓喜しながらビアンコを見た。ビアンコは勇者だと称えられても、まったく喜んでいない上に、悲しそうな目をする。
(なぜかしら。勇者と言われて悲しい気持ちになるのかな?それとも気のせいかしら?)
ビアンコがもともと目立ちたがらない性格だとセシルは知っている。
ビアンコがいつも何か抱え込んでいるのにセシルは気付いていた。
でも本人が全く話そうとしないから入り込めない。
(はぁぁ、大人すぎる弟を持つとそれなりに心配になっちゃうわね)




