現在 神様の街の異変 pt.10
僕たちは五日後にデュトラス教会に乗り込むことにした。アニーの容態がまだ心配だし、今すぐに行かないといけない状態でもない。もう一年以上この状態だから、いきなり激変したりしないだろう。ヴァルモアが本当に強い魔族だったら、人間がデュトラス教会に侵入していたことなんて興味がないんだろうから。
僕たち『冬の精霊』がデュトラス教会に侵入する日まで、いろいろやるべきことがある。僕たちは話し合った後、冒険者ギルドのギルドマスターに何を依頼して何をやってもらうか決めた。『冬の精霊』のメンバーは僕以外みんな優しいひとばかりだから、ちゃんと街のことと今後の街のことを考えて行動した。僕と違って。
四日目の朝に、
「アニー~~~復かーーーーつっ!」アニーはものすごく元気そうに宿の食堂で僕たちに挨拶した。
「アニー、もう大丈夫なのか?足がもう治ったのか?」僕は正直アニーの元気ない時と元気ある時をあまり見分けられないのだ。
「ビアンコ〜、おはよう〜。みんな〜おはよう〜。あたしもう大丈夫だよ!むしろ絶好調なの!いつでも行けるよ!今でも行けるよ!足も完全に治った!魔王城まで走れる気がする!」アニーは話しながら、椅子に座って宿の女将に朝ごはんを注文した。
「「「おはよう(ございます)、アニー」」」
「魔王城まで走って行くのは無理だと思うけど、でももう元気でよかった。これで計画通り明日デュトラス教会に行こうじゃないか」
「「「「おっ!」」」」
翌日、僕たちはデュトラス教会に向かった。デュトラス教会の裏口に着くと、僕はアニーに事前に身体強化魔法、魔力強化魔法、防御魔法をアニーにかけてもらった。僕には魔法の首飾りと魔法の腕輪があるから、高い威力の魔法を使えるけど、さらに魔力強化魔法をかけてくれても悪いことではない。
相手が魔族だから、僕たちは正直に真面目に真正面から入る必要なんかないから、僕は剣を取り出し、握りしめ、そして裏口からデュトラス教会に入った。アニーを助けるために来たとき、廊下の最奥の部屋から強い魔力を感じた。だから、僕は教会の廊下の最奥にある部屋に向かってゆっくり進んだ。
やはり強い魔力は奥の部屋から出ているのがわかった。『冬の精霊』のメンバーも強い魔力を感じたようで、フィルも剣を出し、セシルも短剣を出していつでも戦闘開始できるように持ち、アニーも魔法杖をしっかりをもっていた。みんな険しい顔をして慎重に最奥の部屋に向かって進んだ。突然魔族が礼拝堂から3体と二階につながる階段から降りて僕たちのところに走ってきて、襲おうとした。
「やはり人間がいたのか、死ね!」3体の魔族が同時に僕たちに斬りかかってきて、僕は避けて魔族を斬撃した。フィルとセシルも同じく魔族を殺した。更に廊下を進み、また魔族に襲われてきて、僕たちは魔族を全部殺した。そして教会の奥の部屋につき、ゆっくりと扉を開けた。
「ふふふ、まさか戻ってくると思わなかったよ、人間。お帰り〜」銀髪の魔族が一人で事務室にいた。
「おまえはヴァルモアか?」
「えぇ、初めまして、魔王軍の四天王の一角、ヴァルモアだ。この私に会えるなんて光栄に思うがいいぞ」
「おまえに会うのはどうでもいいことだ」僕は言った途端、ヴァルモアに飛び込んで炎に包まれた剣を下ろした。が、避けられた。ヴァルモアが至近距離で僕に攻撃魔法を放ち、僕は瞬発で避けた。攻撃魔法が教会の壁に当たり、『ズドン!』教会の壁が崩れた。僕は壁の崩壊を気にせず、すぐヴァルモアにファイアボールを放って、ヴァルモアが避けて崩壊した壁から外に出て、僕もすぐヴァルモアに付いて壁の大穴から外に出た。
教会の周りの家々には誰もいない。外には街の人は一人もいない。僕たちがこの教会に侵入する前に冒険者ギルドのギルドマスターにデュトラス教会の周辺に住んでいる街の人を事前に避難してほしいと頼んで、ギルドマスターが何人もの冒険者に依頼した。僕たちと他の冒険者はこっそり静かに街の人をこの教会の街の反対側の南側区画に避難させていた。
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「ビアンコ、私たちがデュトラス教会で魔族とやり合う時、周りの街の人が巻き込まれるかもしれませんから、事前に街の人を避難させるのはどうでしょうか」パスカルはいつも正しいことを言うから、僕は反論できない。今回もそうだった。
「そうだね。教会の周りに結構人が住んでいるだろうから、冒険者ギルドのギルドマスターにお願いしよう」僕はパスカルの意見に賛成するしかなかった。本当は街の人がどうなるか全く興味がなくて、避難のことさえこれっぽちも考えていなかったのだ。
「じゃ、私たちも避難作業を手伝おうよ!」
「俺も賛成!」
僕は冒険者ギルドのギルドマスターに街の人の避難のことを伝えた。結局僕も街の人の避難を手伝うことになった。僕はいつもこの優しいメンバーたちが誰かのために助けることに巻き込まれる。
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