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現在 神様の街の異変 pt.9 ~~ヴァルモア~~

「ちゃんとネズミを退治したか?」銀髪の頭に角が生えた魔族は聞いた。


「教会全部を探していましたが、まだ見つかっておりません。もう教会からでていたかと思いま・・・うっ!」灰色の肌をした魔族は答えかけて、いきなり苦痛を感じて苦々しい顔をして倒れた。


「おまえは本当に度胸あるね〜見つからないというのに、よくも私に対して堂々としているんだね〜せっかく魔族のことを今まで隠してきたのに、バレてしまったんじゃないか」銀髪の男は微笑みながら言った。


「うっ!も、申し訳ございません。ゆ、ゆるしてください」


「まあいい。ネズミどもは魔族がいると知って、尻に火が付いたみたいにさっさと逃げたんだから、大したやつじゃないだろうからね〜」


「は、はい」


「アレクラス教会に行った人間はどうだった?」


「何度も通信魔石に連絡しても応答ありませんでした。いま使いの者が確認しに行っています」


「そうか。まああいつにはただ人間の観察だけやらせたから、大したことではない。戻ってきたら適当に処分してよい。どうせ近いうちに人間がいなくなるから」


「承知いたしました」



 銀髪の頭に角が生えたこの魔族は魔王軍の四天王の一角『ヴァルモア』だ。ヴァルモアはゆっくりと事務机に座っている主教のマッテオに近づいた。マッテオをみると、目がうつろで、肌が灰色に変わり、口を半分開けてよだれが垂れていて、わずか息をしている。ヴァルモアはマッテオを見てニタっと笑った。


(この男もそろそろ処分してもいいよね〜この街はもう魔族に言いなりになったから、こいつをここに置いてもただの邪魔だしね〜)ヴァルモアは窓際まで歩いて外を眺めた。


(こんな無能な男でも意外と使えるんだね〜こいつの命令だといえば、教会の人間たちが従ってしまう。人間がなぜこんな無能で愚かで力のない者に従順なのか理解できないが、おかげで派手に人間を殺せずに済むから人間のことなんかどうでもいっか。魔王様の計画は順調に進んでいる)ヴァルモアは満足そうに微笑んだ。


(あと何年もすれば魔王様はこの世界を魔族の世界にしてくださる。不要な人間を滅亡させる。ワクワクするよね〜)ヴァルモアは目を閉じて、魔族の将来のあるべき姿を想像している。


(魔王様のような偉大な方がこの世界を魔族の世界にするには、私たちは人間にここにいることを知られてはいけない。でなければそのとき人間たちを派手に殺さないといけなくなってしまう。そんなことは魔王様の計画に支障が出るかもしれない。私たちは冷静にゆっくりと計画を進めないといけない)


(この街の人を今すぐでも一掃してしまいたい気持ちだが、外の街の人間が邪魔してくるかもしれない。ゆっくりと徐々に人間の集団に侵食していってもいいだろう。魔族が完全にこの世界を侵食するまで気長に冷静に計画を進めよう。私は四百年も生きているから、あと十年二十年ぐらい待っても大したことじゃない。他の場所は他の四天王に任せて、私は私でここでゆっくりして楽しもうじゃないか)ヴァルモアはまた目を閉じて、この人間の世界が魔族の世界になった後のことをを想像し始めた。


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