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現在 神様の街の異変 pt.6

 僕は剣を持って外に出て、魔族の声があったほうへ更に教会の中に進むと、礼拝堂へつながる扉を見つけた。その扉を開けて中に入ると魔族が3体いて、礼拝堂の真ん中に立っていた。


「人間だ!殺せ!」魔族が僕に斬りかかろうと、僕のほうに飛び込んできたけど、僕が低級魔族に後れを取るわけがないから、剣を振るって全部殺した。


「ひっーーー!」と声が聞こえた。声のもとは祭壇の方から聞こえたから、行ってみると祭壇の下に隠れている司祭を見つけた。


(神様は僕に一日で二人もくれたのか~感謝しかないんだな~)


「ねぇ〜あなたは誰ですか?どうしてこんなところで魔族と仲良しごっこしてるのですか?」僕は相変わらずニコニコしてその司祭に聞いた。


「た、助けてください!ここには魔族ばかりです!」男は必死で訴えてきた。


「へぇ~じゃ魔族たちはどうやって教会に自由に出入りできるですか?」


「あ、あいつらは一年前から突然やってきたんです。なぜか知りませんが、主教も魔族に従ってしまったんです!助けてください!お願いします!」


「主教は今どこに?」


「マッテオ様はずっと事務室に魔族のヴァルモアという魔族と一緒にいるんです。でも私は一年前からマッテオ様にほとんど会っていません。マッテオ様の指令はいつも魔族から聞いたんです」


「なるほどですね~ヴァルモアっていう魔族にあったことは?」


「一年前に一度だけ、あいつがこの教会に現れたときです」


「どういう存在ですか?」


「わ、私はよくわかりませんが、で、でも他の魔族はあいつの指示に絶対に逆らわないんです」


「へぇ~それでなぜ今あなたがここにいるんですか?」


「わ、私は他の司祭の観察の報告でここに来たんです。あいつらは司祭が街の人に魔族のことを漏らさないようにお互い監視させているんです」


「そうなんですね〜」僕は無意識に剣を強く握っていた。僕がこの男と話している間、僕の本能はずっとこの男を殺せと訴えてきた。この男からもっと情報を聞けるかもしれないと思ったから、僕はずっと自分の本能に逆らえようとした。そして僕はやっとその本能を逆らえることができた。この男は本当に命拾いできたな。これも神様の仕業か。


「お、お願いします!助けてください!この街は魔族ばかりです!」


 この男を宿に連れ帰ってから、もっと情報を聞くことにしよう。ずっとここで話していたら、あのヴァルモアが出てきたら危ない。魔族が従順にあのヴァルモアの指示に絶対に従っているなら、かなり上級の魔族に違いない。


「わかりました。あなたをここから連れ出します。静かにしておとなしくついてきてください。少しでも変な動きでもしたりしたら、人間でも僕は容赦しませんからね」


「は、はい!ありがとうございます!」



 僕は裏口に向かった。この廊下の最奥の部屋から強い魔力を感じた。ヴァルモアってやつかもしれない。僕はこの男を連れて裏口に向かった。教会を出る前に聖具室を覗いてみたが、パスカルとアニーはもういなかった。


(二人とも無事に出れたみたい。よかった)


 僕はこの魔力の持ち主の魔族に遭う前に、男を連れて急いで裏口から教会を出た。僕は十六歳のときまでずっと自分が強いとうぬぼれていた。大怪我して死ぬ寸前の経験をしたから、それ以来自分が強いなんて思わなくなった。僕はただあまり自分より強いものに会う機会がなかっただけだ。僕は簡単に中級魔族と低級魔族を殺せるけど、ここまで強い魔力持ちの魔族だと僕一人だと危険かもしれない。一旦ここを出て『冬の精霊』と話し合ってからまた来ても遅くない。



 僕が宿に着くと、『冬の精霊』全員がいた。アニーがベッドに座っている。顔色がまだ悪いがもう大丈夫そうだ。


「アニー、もう大丈夫なのか?何があったんだ?」


「ビアンコ、心配かけてごめんね。助けてくれてありがとう」


「気にするな。無事でよかったよ」


「ありがとう。あたしね、屋台の人たちからいろいろ聞いたの。みんなあの教会が一年前から乱暴で一方的なやり方で街の人を支配しようって言っていたの。教会に対して反対的な行動をした人がいつの間にかいなくなっちゃったみたいで。だからあの教会に行って司祭とか教会の人に何か聞けたらなと思ってあの教会に行ったの・・でも中には誰もいなくて、どうするか迷っているときに魔族が突然入り口から入ってきて・・出口が塞がれちゃっていて、すぐに魔族に攻撃魔法を使ったけど、魔族も私に魔法をかけてきて、避けきれなくて、足に怪我しちゃって・・・」


(確かに礼拝堂に魔法の痕跡があった。あれはアニーの攻撃魔法だったんだ)


「それで教会の中に逃げて、あの部屋の入ったんだね?」


「うん。あたしもう一回魔族に攻撃魔法をかけたら、すぐに礼拝堂の奥の扉を出たの。裏口を探してそこから外に投げようと思って・・・でもあの広さじゃん?足も怪我したから、思い通りにあまり走れなくて・・だから適当に近くの扉を開けてみたら、あの部屋にいろいろ置かれていて、しばらく隠れると思ったの。パスカルありがとうね」アニーは泣きそうな顔をした。


「いいえ、無事で何よりです。気にしないでください。数日静養すればまた元気になりますから」


「そうだよ、アニー。もう少し休んでね。私は傍にいるから」


「セシル、ありがとう。ビアンコ、あの男は?あの教会の司祭なの?」あっ、この男の存在を忘れてしまった。


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