現在 神様の街の異変 pt.4 ~~アニー~~
ケルレナ街の北側
アニーは『冬の精霊』と別れて、自分の担当区域の北側に向かった。
(ケルレナ街って、本当に変わったね〜。八年前に来たとき、もっともっと活気がある街だったのに〜なんだか悲しいね〜)アニーは昔この街に来たときのことを思い出しながら、街を見回った。
(それにしてもお菓子の店があまりないね〜昔はたくさんお菓子の店があったのに~ちょっと小腹がすいちゃったよ〜」アニーはお菓子に目がないのだ。
(あっ!あそこにお菓子の屋台があるじゃん〜、食べながら情報を収集しよう〜)アニーはお菓子の屋台に向かって歩いた。
「すみません、このお菓子五個ください〜」アニーは元気よく店の人に話した。
「一個で銅貨五枚。全部で銅貨二十五枚だ」対照的に店の男が元気なく値段を教えた。
「・・・えっ!こ、これが1個で銅貨五枚も!?えっ!」アニーは値段を聞いて、目を瞠って驚いた。
「あー、この街はなにもかも高いよ。嘘だと思ったら、あの店にも聞いてもいいぞ」
「い、いや、そういうわけじゃ・・・」アニーは狼狽した。
「あんたはこの街に初めてなのか?」
「えーと、八年前に来たことがあったけど、あのときはこのお菓子は五個で銅貨1枚だったんだけど・・」
「そうか・・世の中いろいろ物価が高くなったから、このお菓子もその分高くなったけどさ。一年前まではこのお菓子、四個で銅貨一枚だった」
「い、一年でこんなに高くなったんですか!?」アニーはこの街の異変についてまずこの店の男から始めようと決めた。
「あー、一年前から商人がほとんどこの街に来なくなったから、原材料とか食料とかはほとんどこの街に入ってこなくなったんだ」
「じゃ、このお菓子の材料はどこから?」
「教会が認める商人の品物だけこの街に流通できる。んでこのお菓子の材料は教会を通して仕入れたんだが、前の値段より何十倍も高くなった。だからこんな段になったんだよ。俺は別にあんたが観光客だから、ぽったくりしようなんて考えてないからな」
「教会とは?」
「あの大きな教会が見えるんだろう。あれはデュトラス教会だ。この街は一年前から何もかもあの教会を通して仕入れをしないといけなくなったんだ」
(あーあの教会か~ちょっとだけ覚えている~)
「一年前からですか?どうして急にそんなに変わったんですか」
店の男の話によると、デュトラス教会はこの街で一番大きい教会で、一番力のある教会で、一番人気のある教会らしい。一年前から神様の信仰を全面的に禁止したと発表したみたい。ケルレナ街は神様の信仰が強い街だから、街の人がデュトラス教会に出向けて抗議をしたけど、司祭にあしらわれて、次第に魔法まで使われて追っ払われてしまったと。
そのあとも、街を正しく運営するためだと言って、商人ギルドに商品の卸はすべて教会に卸すように命令した。もちろん商人ギルドは教会の命令に全面的に拒否をしたけど、なぜか知らないけど結局その話がそのまま進んでいつのまにか決定されてしまった。街の人がすべての材料を購入するのに、教会を通さなければならなくなった。昔の数十倍の価格で。だからこの街の何もかも高くなったと。
(そ、そんな教会が実際にあるの?ってことは元凶はデュトラス教会ってことね。あの教会に行ってみよう!)
「一年前からそんなことが起きたんだね・・お兄さん、このお菓子を三個ください」お菓子は違法レベルで高いけど、アニーのお菓子に対する愛は止められなかった。
アニーはデュトラス教会に向かう途中に、焼き鳥の屋台を見つけ、その店で焼き鳥を買ってついでに情報収集しようと決めた。
「すみません〜焼き鳥三本ください〜」アニーは元気よく店の人に話した。
「一本で銅貨六枚よ。全部で銅貨十八枚ね」
「・・・えっ!こ、これが一本で銅貨六枚も!?えっ!」またさっきの店の会話を繰り返した。
アニーはお菓子で街の異変のことを少しの間忘れてしまっていたけど、この焼き鳥の屋台のおかげでまた思い出した。そしてこの店のおばさんにデュトラス教会について聞き出した。
さっきの店の男が言ったことと同じ話だった。一年前からデュトラス教会の一方的な命令で街のすべてのものが高くなった。いつの間にか他の街の商人がこの街にほとんど来なくなった。すべての材料の仕入れは教会を通さなければならなくなった。そして教会に対する抗議活動はこの街の教会の司祭に魔法で追い払われた。そのせいで行方不明になった街の人がたくさんいた。
(行方不明者がたくさんいた・・?も、もしかしてその人たちは教会に・・・?ま、まさかね~)
アニーはだんだん嫌な予感がしてきた。この店の焼き鳥を三本買って、十八枚の銅貨を支払った後、また教会に向かって、歩き出した。
焼き鳥を三本食べ終わった頃、ちょうどデュトラス教会に辿り着いた。神様への信仰が強いこの街の一番大きい教会と聞いたから、つい賑やかな雰囲気だと想像していたけど、まったくそうではなかった。正門が閉まっていて人気が全くなかった。
(場所が間違っているかな~)
アニーはデュトラス教会であろう建物を一周ぐるっと回ると案内看板を見つけた。やはり案内看板には『デュトラス教会』と書いてあった。
(うーん、入っても大丈夫かな〜?うーん、でもちゃんとした情報を手に入れないと『冬の精霊』のメンバーに申し訳ないよね~みんな今も頑張って情報を収集しているでしょうから~)
(よし!入ろう!元凶はこの教会みたいだから、中を確かめないと情報収集したと胸を張って言い切れないじゃないの!)
アニーが正門を押してみると、『ギィィィ』と正門が簡単に開いた。鍵がかかっていなかったんだ。
アニーはそのまま正門を潜って、道通りに進んで教会の扉まで歩いた。
そして教会の扉を開いた。




