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現在 神様の街の異変 pt.3

 僕は歩きながら、教会であったことを考えた。もしかしてこの街は魔族に潜り込まれていて、何らかの理由で教会も魔族に協力しているのかもしれない。他のメンバーとの約束の時間までまだ余裕があるから、僕はとりあえず他の教会に行ってみることにした。この中央街にはもう二か所の教会があると知っていたけど、僕はその二か所の教会に行ったことがなかった。中央街にある教会だから、もしかするとアレクラス教会と同じぐらいの規模の教会かもしれないと考えた。でも僕はその二か所に実際に行ってみると、思ったほど大きい教会ではなかった。二か所とも小さくて小ぢんまりな教会だった。教会の中に案の定街の人が一人もいなくて、司祭もいなかった。教会の事務室まで調べてみたが、アレクラス教会みたいに魔族も司祭もいなかった。僕はその二か所の教会にまた人間がいるかもしれないと心のどこかで密かに期待していたから、誰もいなかったとわかると、ついため息をついてしまった。本当にがっかりした。


(まあ、さっきのは本当に幸運だった。幸運はそんなに頻繁に訪れるものじゃないから、仕方がないか)


 僕は全部で三か所の教会を調べた。もっと他の教会も見て回りたかったけど、残りの四か所の教会は中央街ではなく、街の他の方面にある。『冬の精霊』のメンバーの担当の区域だし、そろそろ約束の時間だから、他の方面の教会を調べるのはやめた。


 さっきの司祭が言っていた『デュトラス教会』は街の北のほうにある一番大きい教会で一番権力を持っている教会だと、昔ミハイルさんから聞いたことがある。表面上では教会が神様の信仰の場所で、教会が神様のためだけに存在して、世の中に関わらないという立場だと街の人や国に見せかけるけど、実際は裏で役所にケルレナ街の経済政策の訂正願いを出したり、商人ギルドへの口出ししたり、教会との取引が極端に低い値段で値引き要請したり、陰で街の人と役所を支配していると。


 ミハイルさん曰く「さすがに冒険者ギルドには手出しできないみたいだけどね」と言っていた。


(神様の使いなのに私利私欲な人が多いよね。時々僕に優しい神様のためにそんな人間を掃討処分してあげたいよな)



 アレクラス教会の魔族とあの司祭を見ると、魔族がそんなデュトラス教会を拠点として人間の街に侵入していて、人間を支配している可能性が高い。もし魔族がデュトラス教会の司祭を通して、街の人にあれこれを命令していたら、役所も街の人も教会に抵抗できないはずだ。もしかして役所と街の人はすでに教会に・・いや、魔族に支配されているかもしれない。


 この街には教会が七か所あるから、デュトラス教会と中央街にある教会を除いて、あと三か所の教会は規模的に小さく、それぞれ街の東・西・南にあると記憶がある。この三か所の教会はおそらく中央街の小さい教会と同じく魔族も司祭もいないんだろう。


(でもあのデュトラス教会は街の北側にある・・北側の聞き込みの担当はアニーだ・・大丈夫かな。なんかすごく嫌な予感がする)


 僕は今すぐデュトラス教会に行ってみたかったけど、もう約束の時間になったから、とりあえず宿に戻って他のメンバーに教会と魔族のことを話そうと決めた。


(他のメンバーは僕みたいに一人で魔族に遭遇していなかったらいいだが、なんか心配だな)


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