現在 神様の街の異変 pt.2
僕はアレクラス教会を調べることにした。礼拝堂の奥まで歩いていくと、告解室を見つけた。中を確認したら、やはりここにも誰もいなかった。僕は礼拝堂の奥にある扉に入って、更に教会の裏側の方に進んだ。アレクラス教会はそこそこ広くて大きい教会だから、礼拝堂奥の扉を通って入ってみるとたくさんの部屋の扉が並んでいた。そしてわずかだけど、廊下の奥から魔族の気配を感じた。
僕は剣を抜き、また奥へ進み、途中にあった扉を開いてみたけど、聖具室や物置や祈りの部屋など、特に気になるようなものはなかった。僕は廊下の奥まで進み最後の扉に近づけば近づくほど、魔族の気配を強く感じてくる。
(魔族が廊下の最奥のあの扉の中にいるんだな)
僕はしっかりと剣を握り、扉を開けようとしたとき、中の話し声が聞こえた。
「・・・これは・・様の指示だ・・・」
「・・俺たちのこと・・・・したら・・・・命はない・・・」
僕がそのまま扉を開けると、この部屋は事務室だった。扉の反対側に窓があって、窓の前に事務机があった。その事務机の隣に魔族2体と司祭の服を着たガタイのいい男が立っていた。あの司祭の服を着た男は人間だった。僕はためらうことなく、素早く魔族に飛び込んで、2体の魔族を斬撃した。そして魔族が灰になって消えた。
「お、お前は誰だ!なんてことしやがったんだ!?」司祭の服を着た男はいきなり怒鳴った。こいつうるさいな。
「あなたは人間ですよね?この服は司祭でしょう?なぜ司祭が教会で魔族と仲良しごっこしているんですか?」僕はこの男の言ったことをガン無視して、ニコニコして質問し返した。
「お前に関係ないことだ!まあいい、もうバレたなら、お前に死んでもらうよ」男は言いながら、反対側の壁に走って行って、壁にかかっている剣を取った。
「へぇ〜、んであなたは誰ですか?この教会に何か関係しているのですか?魔族との関係は?」
「死人に答える必要はない。死ね」男はそう言ったとたん、僕に斬りかかってきた。僕は避けて男を壁まで蹴り飛ばした。
(なん何だ、こいつ?見た目が強そうなのに大したことないじゃん。がっかりだな。弱いくせによくもこの僕にかかってきたね)
僕がゆっくりと男に近づくと、男は怯えていて、次第に命を請い始めた。
「く、来るな!許してくれ!やめろ!来るな!」男は体を壁に沿って引きずって行って逃げようとしている。僕は相変わらずニコニコして、ゆっくりと男についていく。そして剣を鞘に収めた。男は僕のその行動を見て、それで勘違いしたのか、また偉そうなことを言い出した。
「お、俺はデュトラス教会の司祭だぞ!俺に何かあったらただじゃ済まさんぞ!おまえは身をわきまえろ!」男は脅かそうとした。そんなことを言っても命が助からないのにね~
「へぇ~そうなんですね~あなたの名前は?」僕はニコニコした。興奮していて心拍数がだんだん上がってきたのを感じた。
「俺はアイザックだ!デュトラス教会のアイザック司祭だ!おまえはわきまえろ!」男は怒鳴りながら、また体を壁に沿って引きずって行って、僕はそのままゆっくりと男に付いて行く。そしてオリハルコンの短剣を取り出してしっかり握った。
「そうなんですか。初めまして、アイザックさん。そしてさよなら〜」僕は話しながら、ゆっくり歩いてそして男のもとに辿り着いた。
「や、やめろ、うっっ」僕は微笑みながら、しっかりとゆっくりと短剣で男の心臓を『スッーーと』突き刺した。
僕は体が震えて、心が高鳴った。
(ふふふふふっあははははははは!まさかこんな絶好のチャンスが来ると思わなかった~~~ラッキーだな~~~~ふふふシアワセダ~~~さすが神様の街だな~~神様は僕についてくれている~~~~ふふふふ)
しばらくすると、僕は落ち着いて、体の震えも止まった。僕はこの男の心臓から短剣を抜き、剣に付着した男の血を男の服できれいに拭いた。あとは男の残骸の処分はどうするか少し迷った。魔族が死ぬと勝手に消えるから楽で助かるけど、人間だと手間がかかって本当に面倒だ。結局男の死体を処分せず、そのままにした。
(この男は魔族に殺されたと言えばいいしね~)
僕は事務室を調べたが、特に目星の情報がなかった。本棚にある本を調べても教会の経費記録か会議の議事録か司祭の報告書などそんな書類ばかりだった。
突然部屋の中で誰かの声が響いた。
「おい、何やってんだ?連絡しろっつってんだろ!」僕はビクッとして部屋の中を見回ったけど、誰もいなかった。
「おいっ!早く返事しろ!死にてぇのか役立たず!」とまた声がした。僕は声の元を探して、通信魔石が事務机の引き出しにあったのを見つけた。
「キサマ!ヴァルモア様は連絡を待ってるんだぞ!早くしろ!」声が通信魔石から出た。
(ヴァルモア?)
僕は通信魔石をそのままにして部屋を出て、教会の裏口から教会を出た。




