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僕の中の悪魔を殺してください  作者: あまね
勇者の始まり
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現在 怪しい廃墟屋敷 pt.1

「ね~あたしたちはいつ魔王城アライヴェラに着くと思う?」アニーはまたこの質問をした。

「十年後とかかしら」

「二十年後かもしれませんね。その時私は先に引退するかもしれませんけど」

「引退はダメ~ずっと一緒のほうがいい~」

「僕たちのこの速度なら三十年後かもね」

「さ、三十年後・・その時、私はもうおばあちゃん・・・」

「それを言うなら、僕もおじいちゃんじゃないか?」

「いやっ~~~~~おばあちゃんになりたくない~~~」

「なるものはなるんだよ、アニー」

 

 僕たちは一昨日ヴェリアナ街を出た。この先にはケルレナという街があるから、僕たちはまずケルレナを目指している。ケルレナ街は長らく神様を強く信仰する街で、ケルレナ街には教会が街のあちこちにあって、そして教会にはたくさん魔法使いがいると聞いたことがある。僕は内心その魔法使いたちに会ってみたい。機会があれば、最近耳にした『消滅魔法』についてその魔法使いたちに聞いてみたいと思っている。

 

ケルレナ街に行く途中に、昔からあったような建物が高原にぽつんと立っているのが見えた。かなり広くて大きいけど、ぼろぼろで壊れかけていて今にも倒壊してしまうんじゃないかと思うぐらいの建物だった。


「あの建物、怪しいと思わない~」

「訳あり建物じゃないかしら」

「入ってみますか?さすがにこの状態の建物に入っても不法侵入にならないはずですから」

「入ろう入ろう!」

「なんかやばいものが出てきそうな建物だね。入ってみようか」


 僕たちはその建物に入ってみて、探索することにした。僕たちはそれぞれの自由行動を開始した。


 僕はまず、一階を歩き回ってそして上階に行くことにした。


 一階には、広いホールがあって、ホールの真ん中に二階に通じる階段があって、ホールの奥に台所に行く通路があった。それ以外は特に何もなかった。


 二階には、たくさんの扉があった。全ての扉を開いて中に入ってみると、寝室、書斎、物置などの部屋があった。書斎には本がたくさん散らばっていた。僕はさっと本を見回って、何冊かの魔導書を見つけたからその魔導書を拾った。僕はその魔導書の中身を読んでみたら、普通にどこにでもあるような魔法の使い方の説明書で、僕の求めたものの内容ではなかった。他の魔法本もさっと見たけど、『魔法の属性の使い方』、『魔法入門書』、『魔法と文化』、『魔法の歴史』など、僕にとって目星の内容でもなかった。こんな訳ありのような場所で見つかった魔導書だから、それぐらいの珍妙な本があるんじゃないかとちょっと期待したけど、見つからなくてがっかりした。


(まあ『冬の精霊』のメンバーでも聞いたことがない「消滅魔法」だから、簡単に見つからないか)


 そんなことを考えていると、アニー、セシル、パスカルが書斎に入ってきた。


「ビアンコ、この建物は三階建てだよ~3階に行ってみたけど、だだっ広いホールだけで何もなかった~」


「そうなんだ。外見は大層な建物なのに、何もなかったんだ。つまらないね」


「おーーーい、みんな〜ここ地下階あるぞ〜」一階の方からフィルの声が聞こえた。


「ここに何もないし、フィルのところに行こうか」


「フィルが地下階があるって言っていたよね?あそこに絶対に何かある予感だわ!なんか楽しそうかも」


「こんなところに地下階あると、何かとんでもないことが出てきそうですね。楽しみですね」



 僕たちは一階に降りてフィルのところに行くと、フィルは興奮気味に「ここに地下階あるよ!」と言って先に地下階段を降りた。僕たちもフィルに続いて階段を降りて行った。この地下階は一つの部屋で作られた。この地下部屋には大きい動物でも余裕で入れるような檻が二つあった。そして机、椅子、大きめの寝台、洗浄場、天秤、蒸留装置、本棚、他の小物など、たくさんの物が散乱していた。ここはおそらく実験室みたいなところだっただろう。魔導書の本や観察日記みたいなものもたくさんあった。


 僕の足元の近くに1冊の日記が落ちていた。僕が日記を拾って中身を読むとこんなことが書いてあった。

1日目:普通女10、普通男10、子ども5、冒険者女3、冒険者男5、ゴブリン3、オーク3を確保済み。明日早速蘇生魔法を実験する。

2日目:子ども5で実験し、全滅。(普)女一人も蘇生魔法に耐えられず全滅。蘇生魔法は子と(普)女には強すぎる。蘇生魔法を普通の人間に使うにはまだ要調整。今度は(冒)女と(冒)男で試す。

・・・・・・

・・・・

・・

20日目:普通女も冒険者女も冒険者男もオークも、どれも蘇生魔法に耐えられず全滅。明日また実験体を探し、蘇生魔法を再調整すべし。

・・・・・・・

・・・・

・・

289日目:くそ、何百回も何百人も何百体の魔物を使って、何百回も調整したのに実験体は全滅した。なぜだ!蘇生魔法は本当に不可能だったのか?俺はどうすればルリアを蘇らせればいいのか?

 そうか。いいことを思いついた。蘇生魔法がダメなら、交魂魔法はありえるだろうか?どうだろうか?ルリアの体に別の魂を入れれば、ルリアの体がまた蘇るかもしれない。次は交魂魔法を開発してみることにしよう。

・・・

・・

 289日目の日記はこの日記の最後のページだった。日記にはほとんど実験の内容と実験の結果が書かれていた。ここは誰かの魔法実験室だった。その誰かがルリアという人を蘇らせるために蘇生魔法の開発をしていて、人間と2足の魔物を実験体として使っていた。何人もの人間が実験体として使われたのか、可哀そうに。僕には文句を言う資格がないけど。

(交魂魔法?ここの持ち主は黒魔法師だったのか?よくこんな魔法を思いついたものだ。ここの持ち主は誰だったのかな?いまはどこにいるのかな?でももう死んでいるのかもしれないな)


「なぁーここは蘇生魔法の実験室みたいだよ」


「蘇生魔法?」


「あーこの日記にそんなこと書いてある。人間と魔物を使って蘇生魔法を試したと」


「えっそんな・・」


「蘇生魔法なんてあるわけないじゃない・・」


「はぁぁ、よくあんな残酷なことをしましたね」


「実験された人間はどうなったのか?」


「全滅したみたい。可哀そうに・・」



 僕には文句を言う資格なんかないけど。


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