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僕の中の悪魔を殺してください  作者: あまね
勇者の始まり
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ビアンコ17歳 はじめての・・・

 僕はアイアンナイトにいて二年目になった頃、ヴェリアナ街まで護衛の依頼で来ていた。ヴェリアナは大きくて広くて平和な街だった。街の壁が高く厚く、魔族も魔物も入らないし、門にも衛兵がいるので、比較的安全な街だった。そんな街にも悪いものもいた。


 護衛の依頼は東方の国からこの北方のヴェリアナ街まで三週間かかった。依頼が無事に終わったし、報酬もそこそこもらったから、ミハイルさんはこの街で三日間自由に行動して、ゆっくり楽しめと言って自由な時間をくれた。



「自由にしてもいいが、三日後宿の前で集合するから忘れるなよ。危険なことはしないように」ミハイルさんはそう言って、先に去って行った。ケリーさんもブライアンさんも楽しそうにあれこれやろうと騒いでいて去って行った。僕はこの街の何も知らないから、まず食堂に行って、ご飯を食べ、食堂の店主にこの街の観光地を聞いてみた。


 僕は別に観光したいわけじゃなかったし、観光が好きなわけじゃなかったけど、三日も時間があったから、何もしないと憂鬱になってしまうからだった。それにせっかく知らない街に来たから、将来また来ることになるかもしれないから、この街を少しでも知っておこうと思った。


「この街の観光地?うーん、じゃあそこはどうかな?この街には広い公園があるわ。あそこは観光客がたくさん行く場所なのよ。公園の中に池もあって、その池で願い事をしたら、その願いを叶えてくれるって有名なの。行ってみるといいわよ」食堂の店主は教えてくれた。


「へぇー、そうなんですね。ありがとうございます。行ってみます」



 僕は願い事なんて興味ないし、願いを叶えてくれるとかくだらない話はどうでもいいと思ったけど、やることないから行ってみようと思った。


 僕は食堂を出て、何人かの街の人に公園の行き方を聞きながら、やっとその公園にたどり着いた。街の少し外れたところにある公園だけど、かなり人の出入りが多くて、食堂の店主が言っていた通り、ここは人気のある観光所のようだった。


 僕は十歳の時からずっと一人で秘密をひたすら隠してきた。なぜ自分が他の人とは違うのか、なぜ僕がこんな人間になったのか、なぜ神様が僕をこんな人間にしてしまったのかとたくさん悩んだ。正直つらい時がよくあった。だからなのか、僕はあの池に着くと、


「神様、どうか僕を幸せにしてください」と願ってしまった。叶うはずがないとわかっていたのに・・


 僕はしばらく池の周辺でぶらぶらしていて、公園の中に林があるのを発見した。僕はその林に入ってみると、池の周辺と違って林の中には誰もいなかった。僕はあまり人混みが好きじゃないから、この林は静かで穏やかで気持ちがよくて、僕はその林でまたぶらぶらして時間を潰していた。



 その時、二人の大柄の男が剣を持って僕の前に現れてきて、剣を僕に向けて汚いことを吐いた。


「おい、ガキ、おとなしくお金を出せ、そしておとなしく殺されろガハハハッ」と一人目は下品な笑い方をした。


「安心しろ。楽に死なせねーからよ!ギャハハハ」二人目は鼻を大きく膨らませて笑った。



 その瞬間、僕は僕の中に何かが目覚めた気がした。



 気づいたら、僕は大量の血を浴びていて、立っていて、二人の男を見下ろしていた。


 あー僕が短剣を握っていて、二人の男の首に短剣を降ろしたんだ。僕は人間を殺してしまった。


 僕の心臓はバクバクしていて、僕は途轍もないほど興奮していて、体がすごくぶるぶる震えた。



 今までたくさんの魔物を殺してきたけど、こんなに悦びを感じたことはなかった。



(あーー僕はなんてことを!)僕は体が震えて止まらなかった。


(僕はなんてことを!なんて素晴らしいことをしてしまったんだ!あはははははっ)僕は高揚していて身震いした。



 僕はもう自分を止められなくなった。


 僕は自分の腕を抱えていて、思いに浸っていて、心が満たされた。


(あーーー人間の体に剣を突き刺したことと魔物に突き刺したこととは全く違うじゃないか!どうして人間の体はこんなにすばらしいのか!どうしてこんなに気持ちいいのか!どうして僕は今まで知らなかったのか!?)


(あーーー神様神様神様神様神様、本当に僕を幸せにしてくれたんだ!あの池の願い事は本当に叶ったんだ!僕は今すごく幸せだ!ははははははっ!)


(はははははっ!神様に感謝します!)僕はまた身震いして笑っていた。



 僕はその場でしばらく快楽に溺れていた。


 どのぐらい時間が経ったかわからなかったけど、僕はやっと自分を落ち着かせることができた。地面で倒れた2人の男を見て、僕はニタっと笑った。


(こいつらが僕にこの快楽を教えてくれたんだから、お礼として死体をこのままにしないで、燃やしてやろうじゃないか)


 でもここは林の中だから、このまま燃やしたら、林全体に燃え広がって、このことがバレてしまうかもしれない。僕はどう燃やせばいいのかと考えると、火が周りに広がらないように土魔法で棺のような土の箱を作り、この二人の男の亡骸を燃やす方法を思いついた。


 最初は土魔法と火魔法の力加減がわからなかった。土の箱を作って火魔法を放ったら、土の箱も燃えてしまった。次に土の箱が燃えないように土の箱に魔力を高めに入れると、逆に火が鎮まってしまった。僕は何度か二属性の魔法の魔力を調整しながらやってみるうちに、やっと土魔法と火魔法のそれぞれの魔力加減がわかった。そして僕は二人の男の亡骸を囲むように土の箱を作り、小さなファイアボールを土の箱にぶっ込んで男の亡骸を燃やした。やるべきことが終わると、僕はその土の箱をそのままにした。


(燃やしてやったんだから、後はどうでもいいんだ)



 そして僕は血を隠すために服と上着を裏返しにして、それを着て急いで宿に戻った。


 お風呂に入ったとき、僕はぼーっとして、ずっと短剣があの二人の男の体に入った瞬間の感覚を何百回も思い浸って、また身震いした。


(またやりたい。チャンスがあったらまたこの娯楽をやりたい。またこの気持ちにもっともっともっともっと溺れてしまいたい)


(人間を殺したい人間を殺したい人間を殺したい人間を殺したい人間を殺したい人間を殺したい人間を殺したい人間を殺したい人間を殺したい人間を殺したい人間を殺したい人間を殺したい人間を殺したい人間を殺したい人間を殺したい人間を殺したい人間を殺したい人間を殺したい人間を殺したい人間を殺したい人間を殺したい)



 僕は17歳のとき、初めて人間を殺して、初めて至上最高の快楽を味わってしまった。


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