現在 ヴェリアナ街 pt.2
僕はメンバーにもう1回作戦を確認した。
「みんな、いいか。さっき伝えた作戦通りだ。アニー、あいつが飛べないように、まず重力魔法を。ガルーダの動きを完全に封じたら、僕、フィル、セシルはもっとガルーダに近づける。フィルは水魔法で、僕とセシルは風魔法で。ガルーダの首を狙うように魔法を撃て。ガルーダの首が落ちるまで攻撃を続けてくれ」
アニーにも攻撃魔法を使ってもらおうと思ったけど、万が一、ガルーダが重力魔法から抵抗できたとき、アニーにすぐにまた重力魔法を使ってほしいから、その考えをやめた。
「「「わかった」」」
「パスカルは様子を見て、僕たちに回復魔法をかけてくれ」
「わかりました。任せてください。ではご武運を」
メンバーは本当に有能な人ばかりだ。みんな僕の作戦通り動いた。アニーが重力魔法を唱えガルーダにかけると、ガルーダが目覚めて、アニーの重力魔法に抵抗しようとした。でもあのガルーダはアニーの重力魔法に勝てなかった。ガルーダが完全に動けないと確認できると、僕、フィル、セシルは今の距離の半分まで進んでガルーダに近づけ、僕たちの得意な魔法の攻撃を開始した。フィルは水刃を使い、僕とセシルは風刃を使い、ガルーダの首を狙って連続攻撃した。
アニーが重力魔法を使った直後、僕たちに魔力強化魔法をかけてくれた。僕は常に肌身離さずにいつも身につける魔法の首飾りと魔法の腕輪のおかげで、アニーの魔力強化魔法がなくても、高い威力の魔法を撃てる。でも魔力強化魔法をかけてくれると、破壊力がうんと高くなるから、おかげで僕の攻撃がさらに強くなり、ガルーダにどんどんダメージを与えた。
ガルーダがアニーの重力魔法に強く抵抗して立ち上がろうとして、アニーの重力魔法から抜け出せそうになると、アニーがもう一回重力魔法を掛け、ガルーダの動きをもう一度封印した。僕、フィル、セシルは一方的な攻撃を続けた。パスカルは僕、フィル、セシルに回復魔法をかけてくれているのがわかった。
アニーの重力魔法のおかげで、ガルーダは動けず、僕たちは一方的にガルーダに攻撃を続けた。しばらくその攻撃を繰り返していると、ガルーダの首が斬り落とされた。
「「「「「はあああ、やっとか〜」」」」」とメンバーも僕もほっとして座り込もうとした。
『クワァーーークッ!』
僕たちはまだ休憩を始めていないうちに、魔物の咆哮が鳴り響いて、僕たちはビクッとした。声がするほうへ振り向くと、まさかもう一匹のガルーダが僕たちのところに飛んできた。
「ちょ、ちょっと!ガルーダがまた飛んできたんだけど!夢!?幻覚!?」セシルは喚いた。
「もしかしてさっきのガルーダのカップルとかですかね?」パスカルは落ち着いた声でどうでもいいことを言い出した。
「そんなことは後で考えよう。アニー、重力魔法を!フィル、セシル、さっきみたいに攻撃してくれ!」と僕はみんなに指示した。アニーはすぐそのガルーダに重力魔法をかけた。アニーの魔力は強いけど、でもそのガルーダのほうがもっと強いみたいだ。ガルーダはアニーの重力魔法に抵抗して、また僕たちのところに飛んできた。
「アニー、あいつの体ではなく、翼だけ集中して重力魔法をぶっ掛けてみろ!」アニーはすぐにあいつの左の翼に重力魔法をかけ、あいつの動きを止めた。片翼しか使えない状態になったから、速度が落ち、だんだん地面に落ちてくる。その間僕、フィル、セシルはそれぞれの魔法を全力で連続攻撃した。
ガルーダが地面でまた重力魔法に抵抗しようとしたら、アニーがもう一回重力魔法をかけた。ガルーダがまだ動けないうちに、さっきのと同じくフィル、セシルと僕は休まずにそれぞれの魔法を連続攻撃してついにガルーダの首が斬られた。
「びっくりしちゃった~重力魔法に抵抗したとか。やっぱガルーダって本当に強いね〜」アニーはへとへとになった。
「はあああああ、もうーーーーっ、二匹もいるなんて聞いていないよ!報酬は二倍になるよね、これ?報酬を二倍もらえなかったら、あのギルドマスターをぶっ飛ばすよ!」セシルは喚いた。
「本当ですね、さすがに焦りましたよ。みなさん、さすがですね」パスカルは言いながら、僕たちに回復魔法をかけてくれた。
「おれ・・もう無理・・」フィルはもう高原の上で横たわった。
僕たちはしばらくその場で休憩した。そのあとアニーは浮遊魔法を使って、二匹のガルーダを街まで運んでくれた。ガルーダ討伐は片道で一時間の場所にあったから、街に着いたときはもう日が暮れた時間だった。街の正門を通って冒険者ギルドまでの道を歩くと、街の人が僕たちを見て、というより街の家々より少し高く浮いている二匹のガルーダを見て驚愕して、僕たちを避けていて道を開けた。おかげで楽に歩くことができた。
「おっー!おまえたち、戻ってきたのか!?どうだ?ガルーダ討伐は無事に終わったのか?あれ?ガルーダはどこだ?もしかしてダメだったのか?」
僕たちはギルドマスターに何も答えなかった。代わりに上空を指さした。ギルドマスターは僕たちの指さしの方向を見て、それに従って上を見上げた。街の家々より高く浮いている二匹のガルーダが目に入ったら、さすが冒険者ギルドのギルドマスターでも目を瞠って驚愕した。
「えっ!?うん?えっ!?に、二匹もいたのか!?す、すまん・・本当にすまなかった。ありがとう。本当に助かったよ」
僕たちは冒険者ギルドに二匹のガルーダを引き渡すために冒険者ギルドの裏に回ってガルーダを渡した。
ガルーダの素材の買取金と報酬は翌朝に支払うことになった。セシルの強い問いかけのおかげで報酬は二倍になった。思ったよりハードな依頼だったから、みんなへとへとになり、一緒に夕食を食べたら、みんな宿に戻って休みに入った。初日に一緒に街の散策予定と祭りは中止になった。




