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XXX日後に呪われるだけの誰かさんの日記  作者: 寝舟はやせ
日記
87/97

ゴミ箱


 寝不足だろうが仕事はある。

 クソが。


 クソみてえなコンディションでの出勤中、ゲロを吐くゴミ箱と遭遇した。

 あっちへふらふら、こっちへふらふらしながら駅の構内にゲロを吐いていた。


 清掃員さんが日頃丁寧に集めているというのに、全ての努力が水の泡である。

 体を折り曲げて中身を全て吐き出しているゴミ箱は、やがてごろりと手首を吐き出した。


 きつく拳を握った形で固まっている、青黒い色の皮膚をした右手である。

 ゴミ箱は右手を吐き出してから、じっと周囲を伺うように立ち止まって、それきり動かなくなった。


 誰も通報しなかった。誰も通報しなかったし、駅員も呼ばなかったし、面倒くさそうにゴミ箱を避けて、立ち止まったやつは突き飛ばして進んでいた。


 時間が悪いよ、時間が。

 通勤ラッシュど真ん中だぞ。進まないやつは鞄で殴られても文句を言えない修羅の軍団だぞ。


 かくいう俺も特に眺めるだけで終わった。

 帰宅の際にはゴミ箱はすっかり元の位置に戻っていた。



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