入ると死ぬ家
『入ると死ぬ家』に入った友達が、戻ってこなくなったそうだ。
誰の友達かって? バカの妹の友達だとよ。
どいつもこいつも人んちで肝試ししすぎだろ。
空き家だったら入ってもいいとでも思ってんのか。
バカが落ち込んでいると生肉がしょげ始めるので怠い。
別に放っておいても何一つ構わないのだが怠い。
毎日毎日クソ怠い仕事をこなしているだけでも十分すぎるほど怠いのに、おまけに休日までじめじめじめじめされてたら堪ったもんじゃない。
『入ると死ぬ家』には、看板が置いてあった。
『この家に入ったものには尿路結石、片頭痛、腰痛等の呪いがかかります。
そのようになりました。ご了承ください』
はあ。なるほど。これあれだな。
『マジで死ぬ』よりも『健康上に問題のある』方が人を避けやすいという判断の元で書かれた看板だな。
しかも本当に『そう』なったっぽいな。
入りたくねえ~と家を眺めていたら、隣のおっさんが深刻そうな顔で、「そこ、……マジだよ」と言い逃げしていった。
あっそう。マジなの。そうかよ。
めちゃくちゃに入りたくなくなったので、手紙を出した。
郵便受けに、手紙を五十通。
バカにも書かせた。どうせ暇だろ。
一週間後、友達は無事に戻って来たらしい。
良かったね。




