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XXX日後に呪われるだけの誰かさんの日記  作者: 寝舟はやせ
日記
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定期券


 購入した定期券の行き先が、盛大にバグっていた。

 職場の最寄駅が記されているはずの箇所が文字化けで酷いことになっている。


 機械の故障だと思ったので駅員に見せてみたが、『問題なく使えます』としか返ってこなかった。

 問題なく使えるので使ってください、と言われた。


 払い戻しとかないのかと思ったが、問題なく使えるので使ってくださいとのことだった。

 問題なく使えるので使ってください、のゴリ押しだった。


 結果として言えば、全く使えなかった。


 降りた駅では人間はみんな四足歩行をしていた。

 これはどうでもいい事実だが、四足歩行がデフォルトの世界で二足歩行をしているとひどく目立つ。


 多分、いつもの駅で四足歩行している奴がいたら、騒ぎこそしないもののみんな見るだろう。

 そんな感じで見られている。

 かと言って周りに合わせて四足歩行する気にはなれなかった。

 だって。歩きづらいし。


 そもそもの話、明らかに常識からかけ離れた異常者(二足歩行の俺)がいるのにみんな『早く仕事行かなくちゃな』みたいな顔で四足歩行で方方に散っていくのを見る方がよっぽど怖かった。

 怖すぎたので、俺はその日会社をサボった。


 良いんだよ。

 会社ってサボっても死なないらしいし。


 死ぬけど。

 家賃も光熱費も税金も払えなくなって家がなくなって飯も食えなくなって死ぬけど。

 死ぬけど。

 死んだって良いけど。

 死んだって一向に構わないのだけど、


 日記は書かないとならないし。

 日記を書かないとならないし。


 仕方がないのでみんなが二足歩行する世界に戻ってきた。

 問題はありまくりでしたけど、と文句を言ってやろうとしたが、あの駅員はいなかった。


 二時間前の急行に飛び込んだそうだ。



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