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鶴
玄関を出たら鶴がいた。
立派なタンチョウである。
なんだ? 御伽噺か?
一瞬、生肉の友達かなんかかと思ったが、四つ足の生の肉は、しっかりきっかり怯えていた。
縮こまって震えている。ついでに情けない鳴き声もあげている。
分かるぜ、鶴って思ったよりデカくて怖いよな。
返してもらうような恩は一つもないので、是非ともお帰りいただきたいところだ。
どうやったら帰っていただけるのか見当もつかなかったが、とりあえず胡麻を供えておいた。ちょうど死骸があったので。
最近は胡麻の死骸が多い。
俺が料理を沢山してるからかもね。
そうだね。
俺が自炊に長けているおかげで、鶴には無事にお帰りいただけた。よかったよかった。
ちなみに、得意料理はピーマンの肉詰めです。
嘘です。
あれってどうやったらピーマン剥がれずに済むの?
のり? なんかのりとか塗んの?
何?




