355話 期待しております
じ、次回からはちゃんとシリアスな戦闘に入るよ? ……多分……
「では皆様、こちらをご覧下さい」
ナイトメア本部の奥深くに存在する情報局に設置され巨大スクリーンに背を向け、ノアは目の前で席に着く面々に告げる。
そのスクリーンにリアルタイムで映し出されているは、凄まじい数の大軍勢とその大軍勢を率いる3名の姿。
整列し統率された様子の大軍勢は全員が最低でも到達者、つまりはレベル1000を超える存在で構成されている。
例え世界最強と名高いネルウァクス帝国軍であっても勝負にすらならないだろう大戦力。
そんな最凶と呼べる大軍勢が映し出されるスクリーンを前に、それを見る者達……ルーミエルの眷属とアニクスを管理する大神達に同様は一切見られず、闘志に満ちた笑みさえ浮かべる。
「結構、数が多いね」
「敵軍の転移座標は予定通りに?」
エンヴィーが視界を埋め尽くすような大軍勢に苦笑いを浮かべ、アフィリスが真剣な面持ちでスクリーンの前に立つノアとシアに尋ねる。
「はい」
ノアは淡々とアフィリスに答える。
それは事前に仕掛けられたフォルクレスの仕掛け。
敵が進行してくる事は想定済であったので、それを逆手に取って敵の転移先に干渉し……
「予定通り、アレサレム王国とネルウァクス帝国の国境近くの荒野に転移させる事に成功致しました」
ノアの言葉に、アフィリスを含めた大神達の面持ちが少しだけ安堵に緩む。
あの数を相手に戦っても勝つ自信はあるが、その一人一人が一般的にアニクスで最強と呼ばれる者達でも敗北する可能性がある程の実力者。
そんな実力者達が、しかもあの数が各地に散らばってしまえば流石に対処しきれない。
しかしながら敵の出現場所を指定した事によって、即座に監視及び対処に動く事が可能となる。
「対象の監視はナイトメアが誇る技術を用いて作られた完全ステルス魔導科学衛星がしております。
敵軍は自分達が既に術中にハマっており、監視されているなんて思ってもいないでしょう」
「私とお姉様の神能で隠蔽してますけど、既に時空間属性の隔離空間を形成済です。
それに! 前線基地になっているネルウァクス帝国国境砦には、対魔教団同盟を前身とするアニクス人類同盟とナイトメアの軍が待機していますよ」
今までの淡々とした様子から一変し、ノアはルーミエルが作り上げた魔導科学衛星を自慢するように胸を張って笑みを浮かべ。
シアがそんな姉に変わって、準備は終わってお前達を待ってんだよ! と言外に告げる。
「コホン……統一神界ではお嬢様方が頑張っていらっしゃり、我々が忙しく動いている間に遊んでいらしたのです。
皆様……素晴らしい働きに期待しております」
この場にいる全員が知っている。
ルーミエル……と言うよりもルーミエルを溺愛する眷属達によって、神々の中でも頂点に立つ序列2位たるフォルクレスに下されたお仕置きの数々を……
有無を言わせないノアの微笑みを前に、敵の大軍勢を見ても余裕を崩さなかった強者達がゴクリと固唾を呑み込んだ。




