1973年8月21日 火曜日 9:44
「エミー、待ってたよ。後は宜しく」
「わかったわ。怒られたのね? 眉尻が下がってるわよ」
「まあ、そこそこ。悲しい顔をしても絆されてくれないんだ」
「強敵ねえ! いいわ、後の事はわたしに任せて!」
「ありがとう。滞在先が決まったら、電話する」
「そうして。あ、お土産はいらないわよ!」
「ハイ、リリ。ジェイクは独身貴族を気取りに行ったみたいね?」
待っていたわ、エミー。お腹すいちゃった。昨日の夜も、何だかちゃんと食べた気がしなかったの。
早速で悪いんだけど、何か作ってくださらない?
「もちろん。でもね、もっといい考えがあるわ。聞いてくれる?」
あら、何かしら?
「今からマクドナルドのドライブスルーに行って、ビッグマックとミルクシェイクを頼むのよ」
まあ、素敵だわ! テレビコマーシャルで見たわよ。あんな大きなもの、食べられるかしら?
「わかんないわ! わたしも初めてなの。ボンダイビーチは行った?」
まだよ。海を見ながらバーガーを食べるのもいいわね!
「でしょう? そうとなったら、すぐ行きましょう! あなたのジャケットを取って来るわね」
「ちょっと風が冷たいわね! 砂浜、行ってみる?」
十分よ! ここからでも、アメリカで見た港の海の色と全然違うのがわかるもの! なんて綺麗なのかしら。
凄いわ、本当に!
「いいでしょう。とっておきの場所なのよ。嫌な気持ちになったら来るの」
あら、とっておきを教えてくださってありがとう! 確かに、とても気持ちがいいわ!
「そうでしょう。今日と明日は、二人で思いっきり自分を甘やかしましょうよ」
いい考えね! どうやって甘やかすの?
「家の事は何もしないで、リビングでテレビを見ながらごろごろするのよ」
なんて素敵過ぎるアイディアなのかしら! 夕食はどうする?
「もちろん、ピザハットの大きなピザを買って帰るのよ。チャイニーズのテイクアウェイでもいい。どっちがいい?」
なんてことでしょう! エミー、あなたって最高ね! 今日はピザ、明日はチャイニーズでどう?
「いいわねえ! そうしましょう! やってみたかったのよ、アメリカっぽいコーヒークラッチごっこ」
あらあ、相手があたしでいいの?
「もちろん! 本場仕込みの楽しみ方を、あなたに教えてもらわなくちゃ」




