1973年8月25日 金曜日 10:47
「……リリ」
――ジェイクね。
「うん。僕だよ。……気分はどう?」
――まあまあよ。
「話すの、辛いかい?」
――ちょっとね。
「……そっか。あんまり話さないで済むように話さなきゃな。難しいな。……僕のお願いを聞いてくれるかい」
――なに。
「贈り物があるんだ。……受け取って欲しい」
――……あは。……何、それ。
「パーティーが終わって、ゆっくりした時に、渡そうと思ってたんだ」
――今更過ぎるじゃない。……指輪なんて。
「だけど……僕のけじめとして」
――……いいわよ。はめて。
「……ありがとう。……ちょっとだけ、緩いね」
――……また痩せたのね。……ああ、綺麗だわ。
「……僕にもしてくれるかい」
――……持ってるだけ。……自分で通して。怠いの。
「もちろん。……ありがとう」
――ふふ。おもしろい。……ままごとみたいね。
「ずっとままごとしていたいよ、リリ。ずっと」
――そう。……終わったら、片付けて、現実に戻りなさいよ。
「僕にとっての現実はこれだよ。リリ、君と一緒に居る事。それだけだ」
――……ねえ、怠いわ。……この後、誰か居る?
「マシューが待ってる。じゃあ、今度にしてもらおう」
――いいえ、ちょっと話したい。……交代して。
「……わかったよ。連れて来るよ」




