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次々と試していった結果、蛍光グリーンの干物はサバの味がして、ピンクの干物はサンマ、濃いイエローは何かわからなかったけどあっさりした味の干物だった。
でも、炙ってもそのままでも味がどんどん出てきて、すごく美味しいの。
「あ、フグに似てるかも。」
癖が少なくて濃厚な味、でも、鯛とかではないんだよね。
昔食べたフグ鍋の味を思い出して、それに近いように感じた。
「似ておるじゃろう?名前もフグと呼んでおる。」
「アタルが狂喜しとった魚とよう似ておる味での。小さいが美味い。」
「こっちで見つけた時は、長が踊っておったわい。」
あー兄ちゃんがフグを紹介したのか。
異世界にもフグみたいな魚いたんだなあ。
うん。味がどんどん出てくる。
でも、魔素が強すぎるってわけでもないから、万人受けするんじゃないかなあ。
これ、引き裂いてそのままスープに入れても美味しいよねえ。
お野菜も一杯入れて、くつくつ煮込めば、それだけで美味しいだろう。
トントントントン
ん?ルドさんが包丁動かしてる。
あれ。長老さん達も皮むきしたりしてる。
「いや。ハルカちゃんに見せて正解じゃったのう。」
「うむうむ。聞くだけでも美味そうじゃし。」
「干物をスープにか。その発想はなかったの。大きいものは焼くこともあるがの。」
え。あ、私、さっきのひとりごと口に出してた?
で、そのひとりごとのスープを作ろうとしてるの?
「やれそうなことはやってみよう。焼くかかじるかばかりでは、大量の干物は消費しきれない。それに美味しそうだ。」
ルドさんが楽しそうに答えてくれる。
そうだよねえ。軽く炙るって感覚はなかったみたいだし。
大きな干物は焼くこともあるみたいだけど、それだけじゃあ、食べ方には限りがあるだろう。
スープにも使えるってなったら、調理の幅が広がるはずだし。
暑い季節だけど、身体を温める料理は歓迎されるから、意外といけるかもしれない。
後は、調理で味が変わるかどうかを確かめないと。
ああ。いい匂い。
魚介の出汁の匂いだ。
これだけ味の出る魚なら、出汁の元として紹介出来ると思うんだけど、どうだろう?
あ、出来上がったみたい。
ルドさんが器に移してくれたものを皆に配って、スープを一口。
ん。美味しい。甘みのある濃厚なお出汁が口一杯に広がる。
昔食べたフグ鍋思い出すなあ。
煮るともうちょっと魚くさくなるかと思ったけど、その心配もなさそう。
魔素もスープに溶けだしてるから、これなら隊士さん達の魔素の補給にも役立てるかも。
後は、もうちょっと塩と胡椒を、いや、醤油を足しても美味しいかも。
あ。ルドさんが手持ちの調味料を棚から取り出してる。
塩を足すみたい。
うん。もうちょっと塩気欲しいよね。
でも、お出汁の元は、これでひとつ決まったかな。




