表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
347/397

13

 次々と試していった結果、蛍光グリーンの干物はサバの味がして、ピンクの干物はサンマ、濃いイエローは何かわからなかったけどあっさりした味の干物だった。

 でも、炙ってもそのままでも味がどんどん出てきて、すごく美味しいの。



「あ、フグに似てるかも。」



 癖が少なくて濃厚な味、でも、鯛とかではないんだよね。

 昔食べたフグ鍋の味を思い出して、それに近いように感じた。



「似ておるじゃろう?名前もフグと呼んでおる。」



「アタルが狂喜しとった魚とよう似ておる味での。小さいが美味い。」



「こっちで見つけた時は、長が踊っておったわい。」



 あー兄ちゃんがフグを紹介したのか。

 異世界にもフグみたいな魚いたんだなあ。



 うん。味がどんどん出てくる。

 でも、魔素が強すぎるってわけでもないから、万人受けするんじゃないかなあ。



 これ、引き裂いてそのままスープに入れても美味しいよねえ。

 お野菜も一杯入れて、くつくつ煮込めば、それだけで美味しいだろう。



 トントントントン



 ん?ルドさんが包丁動かしてる。

 あれ。長老さん達も皮むきしたりしてる。



「いや。ハルカちゃんに見せて正解じゃったのう。」



「うむうむ。聞くだけでも美味そうじゃし。」



「干物をスープにか。その発想はなかったの。大きいものは焼くこともあるがの。」



 え。あ、私、さっきのひとりごと口に出してた?

 で、そのひとりごとのスープを作ろうとしてるの?



「やれそうなことはやってみよう。焼くかかじるかばかりでは、大量の干物は消費しきれない。それに美味しそうだ。」



 ルドさんが楽しそうに答えてくれる。

 そうだよねえ。軽く炙るって感覚はなかったみたいだし。



 大きな干物は焼くこともあるみたいだけど、それだけじゃあ、食べ方には限りがあるだろう。

 スープにも使えるってなったら、調理の幅が広がるはずだし。



 暑い季節だけど、身体を温める料理は歓迎されるから、意外といけるかもしれない。

 後は、調理で味が変わるかどうかを確かめないと。



 ああ。いい匂い。

 魚介の出汁の匂いだ。



 これだけ味の出る魚なら、出汁の元として紹介出来ると思うんだけど、どうだろう?

 あ、出来上がったみたい。



 ルドさんが器に移してくれたものを皆に配って、スープを一口。

 ん。美味しい。甘みのある濃厚なお出汁が口一杯に広がる。



 昔食べたフグ鍋思い出すなあ。

 煮るともうちょっと魚くさくなるかと思ったけど、その心配もなさそう。



 魔素もスープに溶けだしてるから、これなら隊士さん達の魔素の補給にも役立てるかも。

 後は、もうちょっと塩と胡椒を、いや、醤油を足しても美味しいかも。



 あ。ルドさんが手持ちの調味料を棚から取り出してる。

 塩を足すみたい。



 うん。もうちょっと塩気欲しいよね。

 でも、お出汁の元は、これでひとつ決まったかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=721049258&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ