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「そっか~。たしかにそれくらいだったね~。バカなことをって思ってたけど、色に関しては元々あった話だから、案外根づいちゃって。」
「たしか、赤の一族のいる南は酷かったですな。その娘さんも南の出身なら、ずいぶん苦労したじゃろうて。」
「そうですね。こちらに来て過ごしやすくなったとおっしゃってました。」
「ふむ。取り引き先の店は大丈夫なんじゃろう?」
「はい。北西の地域の技術者さんの評判も良くて、真面目に商ってる店だと聞いています。ただ、今は技術者である奥方と親方が不在なので、器具も発注をかけるので高額になってしまうので、せめて支払いを分けてもらいたいと明日にはお願いに行くことになってます。」
「ううむ。技術者がおらぬでは仕方ないのう。」
「無理したみたいだからね~。ミネルバちゃんは僕も診たけど、冷えた時に休めば良かったんだけど、早く帰ろうとして無理に起き上がる練習始めちゃったらしくてね~。筋を痛めてたんだよね~。」
「おお。それで戻るのが遅れておるのですな。」
「ふむ。しかし、技術者不在が続いてるのに、支払いを分けることに同意しますかな?」
あ、それ。私も気になってます。
出来れば私もついて行きたいんだけど、例の夢のせいでクルビスさんの許可が下りないんだよね。
「周りが足元見てくるからね~。店も苦しいだろうしね~。こればかりは話合ってもらうしかないかな~。」
「ルイさんの紹介状が届かなかったから起こったことですので、私が事情を説明して、一緒にお願いするつもりです。」
「そうじゃな。真面目に商いをしておるなら、それで聞いてもらえるじゃろう。」
「ただ、醜聞じゃと嫌がられた時がことじゃなあ。誰か保証に立てばいいが。」
保証、って何かあった時に支払いを代わりに行う保証だよね?
紹介状を書いたひとが支払い能力の保証をするんじゃないの?
「カイザー君は届け出しちゃってるから出来ないし、ルイ君は今回の被害者だし、そうなると北西の転移局が保証すべきなんだけど、許可が下りなそうだよね~。」
届け出だしたひとや被害者は保証に立てないのかあ。
訴え出してるから、立場は不安定だと判断されるのかな。
ということは、転移局に関係なく、シェリスさんの知り合いで、支払いを保証できる資産を持ってて、名前も知られてると、なお良し。
いないでしょ。そんなひと。
「ハルカちゃんならぴったりじゃな。」
え?
「うむうむ。局員じゃが、立場ははっきりしとるし、支払い能力もあるし、街中に顔と名前が売れとる。」
まあ、そうですが。
「それにその女性と知り合いなんじゃろ?適任じゃて。」
たしかにそれなら私が適任だ。
いいのかな?訴え出してるとこの局員が保証しても。
「…実は、朝、ハルカさんにお願いしようかと思ってました。」
カイザーさん!?初耳ですが?
「ですが、クルビス隊長にハルカさんを転移局以外の外に連れだすとはどうしても言えなくて。」
ああ。蜜月ですからね。
怖いですよね。わかります。




