14(クルビス視点)
キーファを見送った後、中央の祖父であるドラゴンの長、アニエス・ルシェリードの直通の回線につなげる。
すると、まるで待ち構えていたように祖父が出た。
今日は星祭だからな。すぐにでも帰れるように他の仕事は片づけて待っていたのかもしれない。
北が劇場に乗り込むことは、中央の上にいるごく一部には許可を得ている。
事件があって間もない劇場だと言うのには渋い顔をされたが、反対はされなかった。
それだけ、報告した例の箱の危険性が理解されてると言うことだろう。
4つの地区にまたがる詐欺のこともわかったからかもしれない。
次から次に出てくる前例のない事態に、中央の上部は頭を抱えているようだ。
そのため、今回は劇場での捕り物を終えるととりあえず祖父には報告するようにと言われていたのだが、報告が終わると予想と違った反応が返ってきた。
「ほお。そんな方法で。しかし、単色でもないのだろう?身体に負担がかかりそうだが。」
転移につぐ転移の逃亡劇に、純粋に興味を持ったようだった。
たしかに、今までにない発想だが、有効な手立てではある。
同じ転移陣で連続の転移は危険なため断られるが、移動して別の転移局の転移陣を使えば、短い時間で複数回の転移での移動はたしかに可能だ。
祖父の言うように、身体に負荷がないなら、捕り物の際の隊士の移動がもっとスムーズになるかもしれない。
「どうでしょう。あれだけあちこちに転移して逃げ回ってるんですから、身体に負担は少ないとは思いますが。それよりも、シードの追跡がかなりウワサになっていて、そちらの問い合わせが殺到しています。」
「成る程。あの模様は目立つからなあ。」
俺の報告に祖父が納得したようだった。
シードは守備隊内でも上位の体術で勇名だが、その身に持つ独特の模様でも広く知られている。
「他の地区の転移局への対応には、それぞれの守備隊が協力してくれるそうで、お任せすることにしました。」
「ほお。それは各地区からの自発的な?」
「はい。その代わり調書を取らせて欲しいと。」
「ははっ。成る程。それは順番に気を遣うな。」
軽く言ってくれる。
それが決められないから頭を抱えているのに。




