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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
戦争解決編
96/438

88.闇風

「セイジ様、色々やることって何ですか?」


俺は、アヤとエレナに予定を伝えた。


1.食料を売却して『シンジュの街』の食糧事情を改善

2.『土の神殿』に参拝(ついでに『風の神殿』も)

3.魔法を強化する装備を購入

4.各街の様子を見てくる


「兄ちゃん、なんで魔法を強化する装備を買うの? コスプレ用?」

「実は気になることがあって、それの対策用に持っておきたいんだ」


「気になることって?」

「ゴブリンやオークは、人間と魔族に戦争をさせようとしている」

「うん」

「戦争している間に、あいつらは何をする気だ?」

「あ! 隙を突いて攻めてくる!?」

「ああ、その可能性は高い」


「その事と魔法を強化する装備に、どんな関係があるの?」

「ゴブリンの厄介な所は、とにかく数が多いことだ。プリンスが指揮していた部隊だけでもあの数だから、キングが指揮する部隊はもっと多いと考えるべきだろう」


「魔法攻撃で一網打尽にするんだね!」

「まあ、あくまで、もしもの時の為だけどね」


「じゃあ、各街の様子を見てくるって言うのも…」

「ゴブリンやオークがどこを狙うか分からない。しかも各街ともに、戦争に兵士を取られて手薄な状態だ」


「兄ちゃん、シンジュの街のスラム街も注意が必要だよ」

「そうか、あそこも危険か…… もし同時に攻めてきたりでもしたら、手が足りなくなるな」



 作戦会議は置いておいて、他の予定を済ませてしまう事にした。俺達は、『シンジュの街』に戻り、商人ギルドへ向かった。


「食料であれば、何でも通常の三倍の金額で買い取ります!」

「三倍!? どうしてそんな高く買ってくれるんですか?」


「実は…… 各貴族軍の持ってきた食料が、何者かによって、かなりの量盗まれてしまったんです。それで、各部隊とも、街の食料を買いあさっておられる様子でして……」


 これは、誰かによる『兵糧攻め』なのでは?


「小麦粉を、ある程度の量持ってきています。あとオークの肉って食べられるんですよね?」

「それはありがたい! オークの肉も兵士の方々には人気が高いです。品物はどちらに置いてありますか?」


「こちらで運びますので、納品する場所を教えてください」

「では、裏の倉庫の方にお願いします」

「わかりました」


 裏の倉庫にまわると、空っぽの倉庫の前でマッチョマンが暇そうにしていた。


「何のようだい? 倉庫は空っぽで食料は無いよ」

「食料の納品に来たんですよ」

「マジか! 品物は何処にあるんだ?」

「魔法で運んできました」

「魔法だと!?」


 王様から追われることもなくなったし、少しくらいなら能力をばらしても良いよね?


「ただし、ここで見たことは、他言無用でお願いしますね」

「ああ、もちろんだとも」


 俺は、インベントリから【小麦粉】25kg×10袋、【オーク】×100匹を取り出し、倉庫に収めた。


「なんじゃこりゃーー!!」


 結局、小麦粉は7500G×10袋で、75000G

 オークは6000G×100匹で、600000G

 合計675000Gにもなった。

 日本円に換算すると6750万円。


 流石のギルドにも、そこまでの金貨は無いので、この食料を貴族の各部隊に売りに行き、そのお金で後日支払ってもらうことになった。

 商人ギルドは、大量の食料確保で活気を取り戻し、職員全員で『てんやわんや』の大騒ぎになっていた。

 売りに行った貴族達の間では、【小麦粉】が特に喜ばれたらしい。なんせ『Sランク』の【小麦粉】だからな!


 取り敢えず、売った【小麦粉】の袋の1つに、『追跡用ビーコン』を仕掛けておいた。人以外にビーコンをつけるのは初めてだが、問題なく機能していた。

 その時に気づいたのだが、ビーコンを設置できる数が5個から6個に増えてた。どうやらゴブリンプリンスの時に増えていたみたいだ。


~~~~~~~~~~


 次に俺達は『土の神殿』に来ていた。


「土のマナ結晶を参拝したいのですが、参拝料はいくらですか?」

「今は、一般の参拝は出来ないよ」

「え!?」


「今は、戦争に参加する人の参拝が優先なので、どうしても参拝したいのでしたら、冒険者ギルドで義勇兵を募集しているので、そちらに参加してみてはいかがですか?」


 マジか! これは困った。


「アヤ、エレナ、どうする?」

「私はパス。どうせ、日曜日に帰らないといけないし」

「そうか、アヤは参加できないか」

「参加してしまうと、自由に行動できなくなりそうですね」


「それじゃあ、他の事を全部済ませてからまた来るか」

「はい」



「あのー、すいません」


 立ち去ろうとしていた時、いきなり、受付の人が話しかけてきた。


「はい、なんでしょう?」

「『闇のマナ結晶』の方は、お一人10Gで普通に開放していますので、よろしかったら行ってみてはいかがですか?」

「あ、そうなんだ。じゃあ、行ってみます」


 『闇のマナ結晶』の受付に移動し、30Gを支払って、3人で中に入る。

 そこには、黒いマナ結晶が祀られていた。


「真っ黒だ」

「セイジ様、私、闇についての勉強をして来ませんでしたが、大丈夫なんでしょうか?」

「闇の魔法がどういう物なのか分からないから、しょうが無いよ。まあ、物は試しだ」

「はい」


 俺達が『闇のマナ結晶』に触れると、うっすらと輝き、俺の体にだけ光が入っていった。


『【闇の魔法】を取得しました。

 【闇の魔法】がレベル3になりました』


 俺はレベル3か、やはりそのくらいか。

 アヤとエレナを【鑑定】してみたが、【闇の魔法】は増えていなかった。


「アヤとエレナは、【闇の魔法】を覚えられなかったみたいだ」

「残念です」

「兄ちゃんは?」

「俺はレベル3だって」


「どんな魔法が使えるようになったの?」

「えーとだな」


 闇の魔法の詳細について調べてみた。


┌─<闇の魔法>──

│【睡眠】(レア度:★)

│ ・自分自身または標的を眠らせる。

│【影コントロール】(レア度:★)

│ ・影をコントロール出来る。

│【夜目(よめ)】(レア度:★★)

│ ・暗闇の中でも見ることが出来る。

│【夜陰(やいん)】(レア度:★★)

│ ・夜間のみ姿を消すことが出来る。

│【腐敗】(レア度:★★★)

│ ・標的を腐敗させる。

└─────────


 俺は、自分の影をコントロールして、影絵をしてみせた。


「うわ、兄ちゃんの影が動いてる!」

「セイジ様すごいです!」

「こんなのだけど、これ、何に使うんだろう?」


「他には?」

「あとは、【睡眠】【夜目】【夜陰】【腐敗】だって」


「兄ちゃん、女の子を眠らせて襲うきでしょう?」

「そんなことするか!」


「だって、【夜陰】に乗じて忍び込んで、【夜目】で暗くてもよく見えて、起きそうになったら【睡眠】で眠らせて。女の子を襲うためにあるようなものじゃない!」

「せ、セイジ様……」

「俺が選んだわけじゃないだろ!」



 なんとか冤罪を晴らし、俺達は『風の神殿』へやって来た。


「風のマナ結晶の参拝をお願いします」

「お一人4500Gです」


「兄ちゃん、エレナちゃん、がんばってー」


 9000Gを支払い、俺とエレナはマナ結晶へと進んだ。アヤは、もう【風の魔法】を覚えているので、外で留守番だ。


 風のマナ結晶の所まで来たのだが、エレナが不安そうな顔をしている。


「エレナ、大丈夫だよ。風についての勉強をちゃんとしてきたんだろ?」

「は、はい。で、でも……」


「思い切って行こう!」


 俺は、エレナの手を取り。

 びっくりするエレナの手を、風のマナ結晶に押し付けた。


「あ!」


 エレナは、思わず目をつぶってしまている。

 そんな二人の体の中に、マナ結晶からの光が入り込んでいくのが見えた。


『【風の魔法】を取得しました。

 【風の魔法】がレベル4になりました』


 俺はレベル4か。

 さっそく、エレナを【鑑定】してみた。


 エレナの風の魔法のレベルは…… 3だった!


「エレナ、風の魔法のレベル、3だ!」

「ほんとですか!?」


 風のマナ結晶の前で、俺とエレナは―

 二人っきりで、抱き合って喜んだ。


歯が痛いせいか、食欲不振ぎみ……


ご感想お待ちしております。

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