64.オーク討伐
俺達は職人ギルドを出た所で話をしていた。
「スライムを倒しに行きたいんだけど、いいかな?」
「スライム? スライムって弱い敵なんじゃないの?」
「一応、1匹50ゴールドの仕事だよ」
「それなら、それなりに強そうだね」
強そうかどうかが判断基準とは、何処かのストリートファイターかよ!
「じゃあ、スライム討伐で二人共OKかな?」
「はーい」「はい」
俺達は、スライムのいる場所を聞くために『冒険者ギルド』へ向かった。
「すいません、スライムのいる場所を教えて下さい」
「あ、あなた方はセイジさんのパーティですね?」
「え? はい、そうですけど」
「実は、明日行われるオーク討伐に参加してほしいのですが、どうでしょうか?」
「お断りします」
俺は光の速さで返答した。
「あ、え? あの…… 『お断り』ですか?」
「はい、お断りします」
「あのですね、オーク討伐に参加していただければ、報酬もそれなりに……」
「無理です」
しばらく沈黙が流れたが、受付の女性は丁寧に説明を始めた。
「最近、この街の人が行方不明になっている事件が多発していまして、オークの仕業だと判明はしたものの、事件の件数からもっと大掛かりなオークの大群が居るものと睨んでいまして、是非ご協力頂けないかと」
そういう理由だったのか、しかし俺は仕事で、アヤは明日から短大が始まる、エレナを一人で行かせるわけにもいかないし、やっぱりどう考えても無理だ。
「申し訳ないけど、明日からは別の用事がありますので、無理なものは無理です」
「そうですか、それは仕方ありませんね」
なんだかんだあったものの、俺達はスライムの場所を聞いて、その場所に向かった。
「セイジ様、オークの件は本当に良かったのですか?」
エレナは街に被害が出ていることを気にしているのだろうか?
「そんなこと言ったって、俺は仕事があるし、アヤも短大だ」
「私が一人でここに残りましょうか?」
「ダメだ!」
そんな話をしながら俺達は目的の場所にたどり着いた。昨日魔法の練習をした池の丁度反対側の場所だ。
池がそれなりに広いから昨日は気づかなかったけど、反対側はスライムが湧いていた。
「さて、スライム退治を始めるか」
しかし、スライムは弱く、40匹ほどやっつけた所で、1匹も居なくなってしまった。
俺は【スライムの核】をインベントリに放り込みながら、あまりの手応えの無さにガッカリしていた。
スライムは自然に発生するらしいから、しばらく立てばまた湧くのだろうけど……
「兄ちゃん、スライム弱かったね」
「ああ」
しかし、こまった。まだ昼前だというのに、目標を達成してしまった。これからどうしよう。
俺が考え事をしていると、エレナが何か言いたげに俺の方をチラチラ見てくる。まあ、言いたいことは分かる、街の為にオーク討伐に行きたいっていうんだろ?
「わかったよ、これからオーク討伐に行こう」
「え? これから?」
「本当にいいんですか?」
「ああ、でも、日が暮れたら日本に帰るし、仕事を受けたわけじゃないからお金も貰えないけど、それでもいいのか?」
「はい!」「まあ、しゃあないか~」
俺達は、日本から持ってきたサンドイッチで軽い昼食を食べてから、オークの居た森へと【瞬間移動】した。
「セイジ様、オークは居ますか?」
「ちょっとまって、いま探すから」
俺は、【地図】魔法に表示される『注意』マークを探した。魔力が上がったのが影響しているのか、【地図】と【警戒】魔法の範囲が広がっていて、昨日は探知出来なかった遠くの場所に、何かが沢山集まっているのに気がついた。
「あっちの方に、何かが居るみたいだ」
俺達は、少し急ぎ足でその方向に向かった。
居た。オークだ。しかも、数が100匹を超えている。
オーク達は木で簡単な小屋を建てたりしていて、小さな村の様になっている。
「数が多いけど、どうする?」
「ねえ兄ちゃん、雷の精霊は使えないの?」
「使えるけど、あんまり気が進まないな~」
「なんで?」
「まあ、会えば解る」
俺は仕方なしに【雷精霊召喚】の魔法を使用した。
「こんちは~」
「よう、昨日ぶり」
今回は行き成り襲ってくることもなく、いたって普通に登場した。
「コイツが、雷精霊だ」
「え? コイツってこの雷の球みたいなのが精霊?」
「え? お二人共何を言っているんですか? 私には何も見えませんよ?」
なんか二人の様子が変だ。
「あたりまえだよ、あたいは雷精霊だから、【雷の魔法】が使えない人には見えないし、魔法のレベルが低いと球が浮いているようにしか見えないし話も聞こえないんだよ」
「そういうことは、先に言えよ!」
俺は、アヤとエレナに事情を説明した。
「お話出来ないのか~ 残念!」
「私も【雷の魔法】が使えるようになりたいです」
仕方ないので、俺が通訳をすることにした。
「それでだ、あのオークの集団を倒すのにお前の力を借りたいんだけど、いけるか?」
「あんなの余裕で全滅できるよ」
「セイジ様、ちょっと待って下さい」
「エレナ、どうした?」
「オーク達は街の人を誘拐しています。あの場所にはその誘拐された人たちが居るはずです。このまま攻撃してしまうと、その人達も巻き込まれてしまいます」
「あ、そうか! 危ないところだったな」
「あたいが様子を見てこようか?」
「オークに見つかったりしないか?」
「オークに【雷の魔法】が使える奴がいたら見つかるかもだけど、そんな事はありえないから平気よ」
「そうか! なるほど」
俺は、雷精霊に追跡用ビーコンを掛けて、偵察に送り出した。
追跡映像をアヤとエレナにも見えるように映し出し、オーク村の状況を確認していった。
オーク村の中は料理を作っている奴が居たり、武器を直している奴が居たり、本当に村の様な感じだった。
雷精霊がしばらく調査した所で、人質が囚われている檻を見つけることが出来た。精霊は檻の周りを調査してから俺達の所へ戻ってきた。
「人質見つけて来たよ」
「ああ、見ていた」
「で、どうするの? アンタ達だけでオークと戦う?」
「俺にいい考えがある」
作戦はこうだ。
1.雷精霊が檻から少し離れた位置に移動
2.俺とアヤ、エレナは【瞬間移動】で檻の側に移動
3.俺が、檻と俺達を【バリア】で囲む
4.雷精霊がオーク達を攻撃
5.残ったオークを俺達が片付ける
「この作戦でどうだ?」
「ok」「分かった」「はい」
雷精霊が檻の近くまで移動して合図を出した、俺達はそれを【追跡映像】で確認して【瞬間移動】で檻の近くに移動した。
何匹かのオークが、いきなり現れた俺達に気が付いて攻撃しようとして来たが、アヤとエレナの魔法で押し返した。
その隙に俺は、檻を囲むようにバリアを展開し、雷精霊に合図を送った。
ドガガガガアアアン!!
くそう、バリアで音も遮断しとけばよかった。
激しい爆音とともに辺りは光に包まれ、真っ白になってしまった。
後ろを振り向くと、あまりの爆音に檻の中にいた10人の男女が全員気絶してしまっていた。
俺は【警戒】魔法で生き残りが居ないかチェックしてみると、虫の息ではあるものの、何匹かまだ生き残っているオークがいた。
3人で生き残りのオークをひと通り退治すると。
『レベルが27に上がりました。』
レベルが4つも上がった、まああれだけの数のオークを倒したんだから当たり前か。
「おつかれさん」
「おつかれ~」「お疲れ様です」
俺達が、作戦の成功を労い合っていると。
「じゃあ、あたいは帰るね」と言って雷精霊はさっさと帰ってしまった。
「さて、この人達をどうしようか?」
「まずは、私が怪我をしている人を治します。」
俺が魔法で檻を壊すと、エレナは10人全員を治療して周っていた。その間に俺は、倒したオークをインベントリに仕舞っていった。
エレナの治療が終わると10人は全員意識を取り戻していた。
色々聞かれると面倒くさいのでー
『物凄い音がしたから見に来たら、10人の男女が倒れていたので治療しただけ、俺達はオークを見ていない』
と言うことにしておいた。
取り敢えず、10人を街の近くまで送って行って、俺達はさっさと日本に帰宅した。
今日はちょっと遅れちゃいました。
そろそろ、毎日投稿は無理になってきたかも。
ご感想お待ちしております。




