60.街を探索
俺達は、詰所を出て冒険者ギルドに向かった。
スガの街の冒険者ギルドは古臭い感じの建物だった
仕事が貼りだされているボードのFランクの所を確認してみると
『【薬草】採取』と『【ゴブリン】討伐』はニッポの街と同じ内容で
最後の一つだけが違っていた。
┌─<討伐依頼>──
│【スライム】討伐 (常時依頼)
│内容:【スライム】を1匹討伐
│ 討伐した証に【スライムの核】を納品
│報酬:50ゴールド
└─────────
このへんにはスライムが居るのか、今度探してみよう。
【薬草】は自分たちで使うので、売らないが、【ゴブリン】討伐は報告しておこう。
俺達は窓口に行き、『【ゴブリン】討伐』の報告とともに、【証明書】を提出して白と黒のオークの件を報告した。
報酬のゴールドとギルドポイントは、
【ゴブリン】討伐で150ゴールドと、1人5ポイント
白と黒のオークの件で600ゴールドと、1人20ポイントだった。
今回で、ギルドポイントが合計で35になり、
3人とも20ポイントを超えたのでギルドランクが【Fランク】から【Eランク】に昇格した。
次の【Dランク】は100ポイントだそうだ。
ぶっちゃけランクを上げることに執着は無いので、ゆっくりやって行こうと思っている。
仕事ボードでEランクの仕事を確認してみたところ
ほとんどの仕事は、時間がかかるものばかりで、土日しか行動できない俺達には無理な仕事だ。
出来そうなのは、この1つだけだった。
┌─<討伐依頼>──
│【狼】討伐 (常時依頼)
│内容:【狼】を3匹討伐
│ 討伐した証に【狼の牙】を納品
│報酬:100ゴールド
└─────────
前に倒した【狼】はEランクの魔物だったのか、後でインベントリにしまってある【狼】の牙を取り分けておこう。
まだ日は高いが、これからまた外に行くのも遅くなりそうなので、宿をとってから街を探索することにした。
宿はちゃんと二部屋取れた。
べ、べつに寂しくなんか無いですよ~
まず最初に向かったのは、『商人ギルド』
受付で堅実そうなお兄さんが対応してくれた。
「ただいま、塩は在庫があまり気味なので買い取りは出来ません。
今、品薄になっている『小麦』でしたら高値で買い取りますので、もしお持ちでしたらよろしくお願いします」
とのこと
どうやら戦争の影響で小麦が足りなくなっているらしい。
俺は、インベントリに入れてあった1kg入の【強力粉】を取り出して見てもらうことにした。
「こ、これが小麦粉ですか!? ちょっと待って下さい、今『鑑定士』を呼びますから」
何だか前と似た展開だな……
結局【強力粉】は【Sランク】と鑑定され、100ゴールドで売れた。
1kgで100ゴールドだから、100gのパンを10個作ったら、パン1個の原価が10ゴールド以上になってしまうじゃないか。そんな高いパン、どんな金持ちが食べるんだよ!
マナ結晶拝観料の為にお金も貯めないといけないし、今度、小麦粉を大量に仕入れてくるか。
商人ギルドを出ても、外はまだ日が高かった。
「さて、アヤとエレナは何処か行きたい所ある?」
「セイジ様、私、武器が欲しいです」
「じゃあ、武器屋に行ってみるか、アヤもそれでいい?」
「うん、私も武器見てみたい」
俺達は、武器屋に向かった。
「こんにちは」
「いらっしゃい」
武器屋にいたのは、線の細い女性だった。
武器屋に似合わない感じの人だと思っていたら、武器屋の中も思っていたのとちょっと違っていた。
「剣とかは置いてないんですね」
「うちは後衛専門の武器屋だよ」
後衛専門つまり、弓矢、投げナイフ、ロッド、そんな感じの武器ばっかりが並んでいた。
「すいません、この子が使う武器を探してるんですが、どのようなものがいいか、アドバイスを貰えませんか?」
「よ、よろしくお願いします」
エレナは店長さんにお辞儀をした。
「このこがね~、で、今まで武器を使った経験は?」
「えーと、【水のロッド】を使っていますが、魔法を使ってばかりで、直接攻撃したりはしたことないです」
「なるほど、水の魔法師さんなのか」
「水以外にも、氷と回復の魔法も使えます」
「そいつは凄いな。それだけ魔法を使えるのに魔法以外の攻撃もしたいのか」
エレナは、店長さんにいくつかの弓矢や投げナイフを用意してもらって、試し撃ちなどをしていたのだが、どれも上手く扱えなかった。
「遠距離武器がダメなら、ロッドしかないか」
「ロッドでしたら【水のロッド】がありますよ」
「いや、ちょっと待ってな、いいの持ってくるから」
店長さんはそう言うと、奥からちょっと太めのロッドを持ってきた。
「このロッドなら、打撃攻撃も出来るぞ」
俺は、そのロッドを鑑定してみた
┌─<鑑定>────
│【魔力のロッド】
│攻撃が当たった瞬間に
│MPを消費し攻撃力に変換する
│魔力に比例して威力が上がる
│レア度:★★★
└─────────
なんか良さそう、エレナ用だけじゃなくて俺のもほしいくらいだ
「これは幾らですか?」
「5000ゴールドだよ」
ギリギリ買える、しかし残金ほぼ無くなってしまう。
「ちょっと高いですね、他のにしましょう」
エレナが諦めようとしたのだが
「いや、これにする!」
「セイジ様いいんですか?」
「所持金ギリギリだけど、これはいいものだ
ぜひ買わねば!」
「ほお、兄さん見る目あるね~
しかし、この武器は魔力が高くないと扱いづらいよ」
「俺達はみんな魔力が高いから、こう言う武器はありがたいんだよ」
「ほう、言うね~ じゃあ試してみるかい?」
俺達は武器屋の裏庭に案内された。
そこには木で出来た人形が数体設置されていた。
「この人形で試してみな」
エレナは【魔力のロッド】を渡されて、少し戸惑っていた。
「エレナ、頑張れ!」
「は、はい」
エレナが素人丸出しの動作で人形の肩の辺りを叩いた。
バコォォン!!
【魔力のロッド】が人形の肩に当たった瞬間、すごい音がして、人形がぐらんぐらん揺れた。
「おお、お嬢ちゃん凄いね! 流石大きな口を叩くだけの事はあるな」
「私もやってみたい!」
アヤがエレナから【魔力のロッド】を借りて構えた。
「ほうほう、こっちの嬢ちゃんは武器の扱いも少しは出来るみたいだね」
アヤは、思いっきりダッシュして【すれ違い斬り】を人形の胴に叩き込んだ。
ズパァァァン!!
人形の胴から上が、放物線を描いて街の外へ飛んでいってしまった。
「ワォ! こりゃ凄い
魔力は最初の嬢ちゃんと同じくらいだろうけど、威力の差は武器の扱いの差だね」
アヤはエレナとハイタッチをして喜んでいる。
「すいません、人形を壊してしまって」
「まあ、いいってことよ、どうせ安もんだし
で、兄ちゃんもやってみなよ」
「いやいや、俺はいいよ」
俺がやったら人形を壊すだけじゃ済まなそうだしな
「なんだい、男なら思い切ってやってみなよ」
「いやいや、ホントに俺はいいから」
「もう! アンタは男だろ! そんな意気地のない奴には、これは売らないよ?」
ああ、もう、どうなっても知らないからな!
「分かりました、やればいいんでしょ!
どうなっても知りませんよ?」
俺は【魔力のロッド】を受け取って、人形に向かって構えた。
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その日、スガの街付近で大きな【地震】が発生し、住民が避難するという騒ぎがあった。
幸い、建物にも人にも被害は出なかったのだが……
なぜか、武器屋の裏庭に直径10mほどのクレーターが発見された。
サブタイトルが適当になってしまった。
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