55.まとめ回
俺達は日本に帰ってきた。
「やったぜ! 【エリクサー】のレシピをゲットしたぜ!!」
「悪の親玉と仲良しになるのはちょっとしゃくだけど、まあ仕方ないか」
「あいつは別に悪の親玉ってわけじゃないぞ」
「そうなの? まあいいや
で、材料は何がいるの?」
「えーと」
俺は、スマフォで取った画像を確認した
┌─<薬品製作>──
│【エリクサー】
│材料:
│ 【傷治癒薬】100ml
│ 【マンドレイクの根】10g
│ 【賢者の石】10g
│ 【蒸留酒】100ml ※
│必要スキル:
│ 【薬品製作】レベル5
└─────────
※【蒸留酒】は、度数90%以上の物を使用すること
◆【エリクサー】製作手順
1.【マンドレイクの根】を乾燥させ、細かく砕く
2.【傷治癒薬】と【蒸留酒】を混ぜあわせる
3.砕いた【マンドレイクの根】を投入してよく混ぜる
4.【賢者の石】を投入し、一昼夜寝かせる
5.【賢者の石】がすべて溶けたのを確認する
6.不純物を取り除いて完成
このように書かれていた。
(言語習得により、単位は日本で使われているものに変換されている)
俺は、二人に画像を見せた。
「私は読めないや」
そういえばアヤは読めないんだった。
「エレナ、材料の中で知ってるアイテムはある?」
「えーとですね~
【傷治癒薬】と【蒸留酒】は知ってますけど、『度数』の事は良く分かりません。
【マンドレイクの根】と【賢者の石】は、知らないです」
「【傷治癒薬】と【賢者の石】は、作り方が別のページに書いてあるから、自分たちで作れるかも」
俺は【傷治癒薬】と【賢者の石】の作り方が書いてあるページの画像を開いた。
┌─<薬品製作>──
│【体力回復薬】
│材料:
│ 【薬草】50g
│ 【塩】10g ※
│ 【水】200ml
│必要スキル:なし
└─────────
※【塩】はDランク以上の物を使用すること
◆【体力回復薬】製作手順
1.【薬草】を乾燥させ、細かく砕く
2.【薬草】と【塩】を【水】に投入してよく混ぜる
3.火にかけ沸騰するまで更によく混ぜる
4.火を止め粗熱を取る
5.不純物を取り除いて完成
┌─<薬品製作>──
│【賢者の石】
│材料:
│ 【辰砂】50g
│ 【塩】50g ※
│ 【魔力水】200ml
│必要スキル:
│ 【薬品製作】レベル4
└─────────
※【塩】はSランク以上の物を使用すること
◆【賢者の石】製作手順
1.【魔力水】に【塩】を入れ、ゆっくりかき混ぜる
2.【辰砂】を投入して、一昼夜寝かせると完成
レシピに『必要スキル』という項目があるということは、薬品の製作に【薬品製作】スキルが必要ということだ。
「色々と大変そうですね」
「まずは【薬品製作】スキル上げをしないとダメみたいだ」
「うわ、面倒臭そう。私、そんなスキル上げしないからね~」
「じゃあ、俺とエレナで【薬品製作】スキルを上げることにしよう」
「はい、がんばります」
なんだかエレナは嬉しそうだ。エレナは、こう言うの好きなのかな?
さらに俺達は、今後のことを話し合った。
「まずは3人それぞれの目標を決めよう」
「目標?」
「ああ、俺は取り敢えず、仕事に役立つ魔法をもっと覚えたいのと、エレナの手助けをしたいと思ってる」
「セイジ様、ありがとうございます
私は、お父様が魔王軍との戦争で何をしているのかを調べたいです」
「じゃあ、俺もそれを手伝うぞ」
「私だってエレナちゃんの手伝いをするよ、後、エレナちゃんを守れるくらいに強くなりたい」
3人の意見をまとめると
1.魔王軍との戦争の調査
2.各地のマナ結晶を参拝して魔法の習得
3.冒険者として活動してレベルアップ
ついでに
4.薬品製作をやってみる
こんな感じかな
「最初に『戦争の調査』だけど、まずは【魔王軍】に滅ぼされた村の調査かな、その村は何処にあるんだっけ?」
「【イケブの街】の北の方にあるそうです」
「『アジド』さんはまだ【スガの街】に向かってる最中だから【イケブの街】に行けるようになるのはもうちょっと時間がかかりそうだ、
それまでは他を優先させる事にしよう」
「はい、分かりました」
【イケブの街】からの移動も考えないといけないけど、
それは【イケブの街】に着いてからでいいか
「次に、『マナ結晶の参拝』だけど、次の街は【スガの街】だから【水のマナ結晶】と【氷のマナ結晶】だな」
「毎日お風呂に入っている私は、きっと【水の魔法】のレベルが高いんだろうな、楽しみ~」
「そのことなんだけど、毎日水に触れる人が【水の魔法】を覚えやすいっていう説、少し違う気がしてるんだ」
「え?そうなんですか?」
「兄ちゃんは、どうしてそう思うの?」
俺は、以前から考えていた仮説を二人に説明することにした。
「俺とアヤは、だいたい同じ環境で育ってきたよな?」
「うん、そうだね」
「にも関わらず、魔法のレベルがだいぶ違うだろ?」
「そういえばそうだね、じゃあ何が関係してると思うの?」
「俺の仮説だけど、その【属性】に対する【知識】の差なんじゃないのかな?」
「【知識】、ですか?」
「俺は学生時代に【電気】についてかなり勉強したんだ、俺の【雷の魔法】のレベルが高いのはそのせいじゃないかと思うんだ」
「なるほど~、でも私は電気のことなんて全然勉強してないけどレベル3だったよ?」
おいおい、これから短大に通うやつが何を言っているんだ!
まあ、アヤの行く短大は文系だからある程度は仕方ないけど
「日本で電気製品に囲まれて生活してれば、勉強してなくても少しは【知識】がたまるだろう」
「そうか~、そうかもしれない」
「セイジ様! じゃあ、私も勉強をしたら、もっと魔法が使えるようになるんですか!?」
「その可能性はあると思うよ」
「じゃあ、私、勉強をしたいです!」
エレナは、目を輝かせて力説している
アヤにも見習ってほしいものだ
「そうだな、日本語の勉強をしながら理数系の勉強もやってみよう」
「なんで理数系限定なの?」
「風、雷、水、氷、土、闇、火、光、
理科系が多いだろ?
そもそも、文系は魔法に役立ちそうにないし」
「土と闇は理科系でも無さそうだけど?」
「土は【生物】の植物関係や【地学】が関係してそう
闇は良くわからないけど、【醗酵】とかが関係しているかもしれない」
「うーん、苦手科目ばっかり……」
「アヤさん、私と一緒に勉強しましょう!」
「うーん、魔法の為には勉強するしか無いか~」
これでアヤも少しは勉強する気になるだろう、しめしめ。
「最後に【冒険者】としての活動と【薬品製作】だけど、レベル上げ、ゴールド稼ぎ、材料集めを平行してやって行く感じかな?」
「平行ってどういう事?」
「町の外に材料を集めに行って、
ついでに魔物を倒して、それをギルドで換金して、
お金に余裕が出来たら店とかで材料を購入してもいいし、
薬品が出来たらそれも換金できるし」
「1石3鳥? 4鳥?みたいな感じだね」
「そゆこと~」
今後の方針が決定し、俺は仕事に、アヤとエレナは勉強に、土日に冒険者活動と、
俺達は日々の暮らしを頑張っていく決意を固めた。
前の話で、無理やりストーリーを変えてしまったので、軌道修正のついでにまとめ回です。
ご感想お待ちしております。




