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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
闘技大会と肉体強化魔法編
54/438

50.セイジvsガドル

大会が再開され、黄金鎧の『ロンド』と竜人族の『ガドル』の試合が開始された。


二人の試合は、俺と『ニクス』の試合とは別の方向で凄かった。


『ロンド』の大剣が振るわれると『ガドル』が常人離れしたジャンプで(かわ)し、大剣が空を切る。

大剣が空を切ると、風が巻き起こる。【風の魔法】ではなく、純粋に武器の風圧によって風が巻き起こるのだ。


『ガドル』はジャンプした後に上空から『ロンド』を狙って槍で攻撃するが、『ロンド』はバックステップでそれを(かわ)す。

(かわ)された槍は闘技場の床にぶち当たり、大きな衝撃音とともに、衝撃を魔法で吸収しているであろう石の床に、直径1m、深さ30cm程の穴が出来てしまうのだ。


しばらく攻防が続くと、闘技場は穴だらけになってきてしまった。


そして、ついに『ロンド』は穴に足を取られてバックステップに失敗し、『ガドル』の攻撃を足に受けてしまった。


「おーっと! 黄金鎧の『ロンド』選手、『ガドル』選手のジャンプ攻撃を、ついに受けてしまった!

『ロンド』選手の黄金鎧の足の部分に凹みが出来てしまっている!

『ロンド』選手、ピンチです!」


『ロンド』は、足を引きずるようになり、バックステップもできなくなり、次第に『ガドル』の通常攻撃も食らうようになってしまった。


「『ロンド』選手、めった打ちにされ、自慢の黄金鎧がボコボコになってしまっています!」


黄金鎧はボコボコになり、一部の装甲が剥がれ落ち、穴が開いてしまっている部分もある。


『ロンド』は最後の力を振り絞って大剣を振るったが、『ガドル』のジャンプに(かわ)されてしまった。

そして『ガドル』の上空からの攻撃を(かわ)すためにバックステップをしようとしてバランスを崩し、転んでしまった。


グサッ!


『ガドル』の槍は『ロンド』の太ももを貫通していた。


「グギャー!!」


『ロンド』は悲鳴を上げると、そのまま気を失ってしまった。


「が、『ガドル』選手の勝ち!!」


審判が『ガドル』の勝利を告げたが、会場はあまりの光景にシーンと静まり返っていた。


エレナは『ロンド』を治療しようと駆け寄って行ったが、『ロンド』の太ももには槍が刺さったままになっていて、治療を開始できずに困っていた。


『ガドル』はそんなエレナに近づき


蹴りやがった。


一瞬の出来事で俺も反応が出来なかったが、

『ガドル』のクソッタレは、エレナを、蹴りやがったのだ!!


俺は全速力でエレナに駆け寄って助け起こし


「てめえ!エレナになんてことをしやがる!!」


「槍を取るのに邪魔だからだ」

『ガドル』はそう言うと、『ロンド』の太ももに刺さった槍をグリグリとこねくり回し、グイッと力を入れて槍を抜いた。


「借り物の槍だが、人族の汚い血で汚れてしまったな、後で代わりの槍を用意させなければならんな」


『ガドル』はそう言って去っていった


エレナは大急ぎで『ロンド』に駆け寄り、治療を開始した。


『ガドル』が変なふうに槍を抜いたせいで『ロンド』の太ももからは大量の血が流れ出ていて、闘技場は血の池のようになっていた。


俺は、怒りに震えていた。

(『ガドル』、絶対に許さない!!)



エレナの【回復魔法】により、『ロンド』は一命を取り留めたが、意識は戻らず、救護班室に運び込まれた。



闘技場修復のため、大会はしばらく休憩となったが、俺の怒りは収まる気配がなかった。



しばらくして大会が再開されたが

「続いての試合は女性の部の【決勝】ですが、『ハルバ』選手が治療中のため、男性の部の【決勝】を先に行います」


俺と『ガドル』は闘技場の上で睨み合っていた。

「おい、お前、武器を忘れているぞ」

「お前なんぞに刀はいらぬ、この腕一本で十分だ」


「おっと、『セイジ』選手、【決勝】だというのに、武器無しで戦う様です。大丈夫なのでしょうか!」


「くくく、お前気でも狂ったのか?」


俺は、もう、手加減をするのを止めた。


「『セイジ』選手、本当に武器はいいのですか?」

俺は審判にうなづいてみせた。



「そ、それでは男性の部【決勝】ー

始め!!」


バチンッ!!


『ガドル』は、俺に殴られて吹き飛んでいた。


「え!? あっ! 『ガドル』選手が吹き飛んでいます! 一体何があったのでしょう!

『セイジ』選手は少し離れた所に居たはずなのですが、一瞬で移動して『ガドル』選手を攻撃しました。

しかし、素手の攻撃であれほどの威力があるものなのでしょうか? 色々理解不能です」


もちろん【瞬間移動】だ、あと【電撃拳(らいげきけん)】も使った。

こいつだけは、手加減なしでボコるわ。


「き、貴様、よくも俺を殴ったな

どうやったかは知らんが、汚らわしい人族の分際で俺に手を上げたことを後悔させてやる」

「何が『汚らわしい』だ! 竜人族がお前のような奴ばかりなら、竜人族の方がよっぽど『汚らわしい』わ」

「よ、よくも、お前は絶対に許さんぞ!」

「それはこっちのセリフだ!」


俺と『ガドル』は、同時にダッシュして闘技場の中央でぶつかり合った。


「これは凄まじい戦いです! しかし、『ガドル』選手の槍は『セイジ』選手に当たりません。『セイジ』選手、全て避けています。

それに引き換え『セイジ』選手の攻撃は、確実に『ガドル』選手を捉えています。

しかし、なんという威力なのでしょうか! 普通のパンチに見えるのですが、『ガドル』選手は一発ごとにかなりのダメージを受けている模様です」


『ガドル』は俺にボコらるのを避けるために数歩さがって、俺を激しく睨みつけた。


「おのれ! おのれ!」


『ガドル』は俺にボコられ続けてストレスが相当たまっているようだ。


俺が近づこうと一歩前に出ると、奴はビビったようにジャンプして上空に逃げた。

そして、バカの一つ覚えで上空からの攻撃だ。

俺はバックステップでそれを避けると、『ガドル』はニヤリと笑みを浮かべて、しつこくジャンプ攻撃を仕掛けてくる。


「おーっと、これは『ガドル』選手お得意のジャンプ攻撃だ! 流石の『セイジ』選手も、これにはお手上げか!?」


「どうした、俺のジャンプ攻撃に手も足も出ないか?」


バカが吠えてやがる。

俺は、幾度と無く繰り返される『ガドル』のジャンプ攻撃を、じっくり観察した。



そして、何度目からのジャンプ攻撃の瞬間。


(ここだ!!)


『ガドル』のジャンプが丁度頂点に達した瞬間

俺は『ガドル』の真横に居た


「なっ!?」


俺は空中で『ガドル』の顔面を、【電撃拳(らいげきけん)】で殴り倒した。


俺が、闘技場に着地すると同時に、『ガドル』も顔面から地面に叩きつけられていた。


審判が近づいて確認するが、『ガドル』はぴくりとも動かなかった。


「男性の部、優勝はー、セ、『セイジ』選手!!」


審判が高らかに俺の優勝を宣言した。


「「「うわぁーーーー!!!!」」」


会場が大歓声で埋め尽くされた。


「優勝は何と『セイジ』選手!!

しかし、最後の攻撃はいったいどういうことなのでしょう?

地上に居たはずの『セイジ』選手が、一瞬で上空に……

よく分かりませんでしたが、とにかくすごい試合でした」


エレナが俺に駆け寄り、キズが無いかを確かめ、無いことがわかると安心していた。

そして、『ガドル』の治療をしようと、近づいた所で……



【警戒】魔法が『危険』を察知した。

今日は出かけるので、早めに投稿です


ご感想お待ちしております。

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