418.最後の攻撃
俺は、
精霊2人を鼻先に乗せ、竜の姿のまま
巨大な竜巻を見つめていた。
超巨大タコの大回転によって発生した巨大竜巻だ。
竜巻といっても、よく見る長細いものではなく、
半径が10㎞以上もある、ぶっといものだ。
近づくと、竜巻に飲み込まれてしまう可能性がある。
これじゃあ、迂闊に近寄ることもできない。
「セイジ、こんなのどうするつもりだ?
ここからじゃ、電撃も届かないぞ?」
「や、やればできる!
あ、あ、あ、諦めんなよ!!」
雷精霊も火精霊も、目の前の脅威に、
そうとうビビっている様子だ。
無理もない。
だが俺は、ぜんぜんビビってないぞ。
こういうものの弱点は、分かっているんだ。
まあ、マンガとかアニメとかの知識なので、
もしかしたら駄目かもしれないけど。
「というわけで、竜巻の真上から突入するぞ」
「「真上!?」」
2人を鼻先に乗せたまま、
高く高く、上昇を続ける。
20㎞まで上昇すると、
やっと竜巻の上に出た。
「やっぱりだ」
あった!
竜巻の目だ!
台風も、竜巻も、原理は同じ。
普通サイズの竜巻だったら、目は小さくて見つけられないだろうが、
この竜巻は、台風並みに巨大だ。
とうぜん、目もあるだろうと思っていたが、ビンゴだったみたいだ。
「行くぞ!」
「「おー!」」
俺たちは、竜巻の上の穴から突入を開始した。
竜巻の目は、かなり広くて、
野球場が入りそうなサイズだ。
けっこう、ガバガバだな。
だが、あまり油断はできない。
竜巻の目の穴は、クネクネと曲がりくねっているし、
ちょっとでも外側に近づけば、
風に巻き込まれて、とたんに外へ投げ飛ばされてしまう。
慎重に真中部分を通って、下降していく。
「いた!」
暫く進むと、竜巻の中心でクルクル回転する超巨大タコの姿が見えた。
「最後のチャンスだ。
出し惜しみなしで、全弾撃ちつくせ!」
「「おーーー!!!」」
無数の、雷の竜と火の鳥が、タコに向かって降り注ぐ。
俺も、残りの魔力をすべて使って、
光のブレスを、真下に吐き出した。
光のブレスは、レーザービームとなって、タコの額を撃ち抜いた。
それと同時に、無数の雷と火が降り注ぎ、
タコは、焼きダコになった。
辺り一面に漂う、焼きダコの美味しそうな香り。
醤油でもぶっかけてかぶりつきたいな。
そして、大回転も止まり、竜巻も解けていく。
「あ」
魔力を使いすぎた俺は、空中で竜化が解けて元に戻ってしまった。
「お、落ちる」
精霊たちは、俺の頭にしがみつき。
その状態で、すっ裸のまま落下する俺。
今度は、忘れずに【変身の指輪】で服を着替え。
着地に備える。
ドスン!
ビタン!
かっこよく着地しようとしたら、
着地にミスって、激しく転んでしまった。
は、恥ずかしい。
「二人とも大丈夫だったか?」
「大丈夫だけど、もう、魔力が空っぽだ」
「真っ白に……燃え尽きた……」
二人とも、かなり頑張ってくれたみたいだ。
「もう帰る」
火精霊は、そういって俺の中に帰っていってしまった。
「雷精霊も、ありがとうな」
最後まで残っていてくれるなんて、
もしかして、俺に気があるのかな?
「これ、返す」
雷精霊は、【核融合の魔石】を差し出した。
「あ、そうか」
そういえば、貸したままだった。
2人でニッコリ笑いあって、
雷精霊の差し出す魔石を、受け取る。
!!!
その時、足元が大きく揺れてバランスを崩し、
魔石が手からこぼれ落ちて、コロコロと転がってしまった。
「あ、あたしが、取ってくる」
転がった魔石を、雷精霊が追いかける。
!!!!?
その瞬間だった。
【警戒】魔法が、けたたましく危険を知らせ、
そして、俺たちの周囲に、【攻撃予想範囲】が!
「雷精霊、戻れ!」
「え?」
ヤバイ、MPが尽きていて【瞬間移動】も使えない。
ダメだ、このままじゃ間に合わない!
俺は、全力で走った。
ちょうど、魔石を拾い上げた雷精霊を、
すり抜けながらかっさらい、
180度反転して、力の限り走った。
か、体が重い。
まるで、電動アシスト自転車の電池が切れた時のようだ。
MPが底をつき、魔法が使えない。
足が、沈む。
空気が、まとわりつく。
体中の筋肉や骨が軋む。
魔法でアシストされた状態に慣れてしまうと、
こんなにも体が重く感じるのだろうか?
重い体を引きずり、やっと攻撃予想範囲の外へ……。
ドスン。
激しい音とともに、体に衝撃が走った。
あれ?
俺、倒れてる?
雷精霊は?
よかった、無事だ。
でも雷精霊は、
俺の頭の近くで、今にも泣き出しそうな顔をしている。
どこかケガをしたのかな?
次の瞬間、
足の方から、とてつもない痛みが襲い掛かってきた。
「っ!!!!!」
痛みに耐えながら、下の方を見てみると……。
触手の攻撃によって、俺の膝から下が、
潰されていた。
「セイジ……」
雷精霊は、
俺にしがみついて泣き出してしまった。
「ここは、危ない。
君も早く帰るんだ」
「イヤだよ」
俺は動けない、
もう一度、攻撃をされたら、ひとたまりもない……。
なんとしても生きのこらなければ。
ドスン。
また、大きな音がした。
何事かと思って見てみると、
俺の足を潰した触手が、力なく横倒しになり、
タコの体の下の方へと落ちていくところだった。
そうか、
奴も瀕死で、さっきの攻撃が最後の力を振り絞ったものだったのか。
で、あるなら……。
どちらが先に、復活するかの勝負だ!!!
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