417.タコ大回転
俺と雷精霊、闇精霊の3人でチマチマ攻撃をし続け、
超巨大タコのHPを、やっと半分にまで減らすことに成功した。
「やっと半分か!」
やっと半分、
でも、ここまでも、かなりキツかった。
本来だったら3人とも、とうにMPが底をついているところなのだが……。
俺の【魔力回復速度強化】で、無理やりMPを回復させ、
雷精霊には、俺が生成した電気を、
闇精霊には、俺の魔力をそのまま、
それぞれ渡していたので、なんとか攻撃を継続できていた。
この状況のまま、あと半分も削るのは、
正直しんどいな。
もうちょっと仲間がほしいところだが……。
「ふぁ~、よく寝た」
寝ぼけた声が急に、俺の竜の体の鼻の穴の中から、聞こえてきた。
そう言えば、こいつもいたんだっけ……。
「火精霊、やっと起きたのか。
雨の日のお休みは、もういいのか?」
「うん、もうそろそろ晴れそうだから……」
ん?
晴れそう?
この雨は、巨大タコが降らしている雨だから、
あいつを倒さないと雨はやまないと思うんだけど……。
「ほら、晴れてきた」
え?
本当に晴れてきた……。
今までずっと、雨雲に隠れていた超巨大タコ。
なぜか、その雨雲が消えていき、
すきまから太陽が顔をのぞかせていた。
「これは……」
タコ本体を覆っていた雨雲。
そして、触手を覆っていた竜巻も、
徐々に晴れていき……。
ついに、超巨大タコの全貌が見えてきた。
しかし、これはいったい、どういうことだ?
体力が減ってきて、雨雲や竜巻を維持できなくなったのか?
それにしては、触手を元気よく振り回して暴れている……。
しばらく様子を見ていると、
触手が、俺に向かって振り回されることが多くなってきた。
「ん?
どうした?
急に、攻撃が集中しだしたぞ?」
「ご、ごめんなさい、セイジさん。
太陽が出てきて、もう……隠しきれない……」
闇精霊が、悲痛な声を上げる。
そうか!
雨雲の中だからこそ、闇で隠れられていた。
それを無効にするために、雨雲を消したのか!
「闇精霊、無理しなくていい、いったん戻れ」
「は、はい」
闇精霊は、力を使い果たしてしまったらしく、
俺の体の中に帰っていってしまった。
ここに来て1人脱落は辛い……。
「雷精霊は大丈夫か?」
「あたしは、まだ大丈夫だ。
もっと電気をよこしてくれ」
さっきまでは、隠れながらだったから大丈夫だったけど、
タコの攻撃を避けながらだと、けっこう辛いかも。
ピコン!
「そう言えば、いいものがあったんだった!
これを使ってくれ」
俺は、インベントリにあった【核融合の魔石】を雷精霊に渡した。
「おぉ!!! いいもの持ってるじゃないか!」
これは、以前に日の出の塔59階でゲットした魔石で、
常に1GWの電気を発生させるという、とんでもない代物だ。
これ1つで、日本全体の発電量の100分の1を賄える計算だ。
こんなすごい魔石の存在がバレたら、国連に没収されかねない代物だ。
「バリバリ行くぜ!」
雷精霊は、ノリノリでタコを攻撃する。
「あたしもやるぜ!」
火精霊もやっと攻撃に参加してくれる気になったらしい。
雷精霊が放った雷と、火精霊が放った火は、
龍と不死鳥の姿となり、超巨大タコに襲いかかる。
それを受けたタコの体には、無数の火傷が作られていく。
そして、その激しい痛みに、
半狂乱になって、触手をデタラメに振り回している。
「あ、あぶねえ!」
2人に攻撃を任せ、
俺は、回避に専念することにした。
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しばらく攻撃を続けていると、
いい感じにタコのHPが削れ、
あと10分の1というところまで減らすことに成功した。
「行けるぞ! このまま押し切れ!!」
「「おー!」」
一気にたたみかけようとした、その時!
タコに、今までにない動きが見て取れた。
なんと、超巨大タコが回転し始め、
その速度がどんどん加速してきている。
「なにが起こってるんだ?」
タコは、さらに回転速度を速めていき、
まわりに巨大な竜巻ができつつあった。
「なんか、ヤバそうだ!
いったん離脱する」
俺たちは、攻撃をいったん中止して、
タコから少し距離を取った。
ぴゅぴゅっ。
ん?
少し距離を取った位置から見ていたら、
タコから何か粘っこいものが飛び出しているのが見える。
しかも回転しているので、それが四方八方に飛び散っている。
何だアレは?
観察してみると、
それは……、
巨大な『スライム』だった。
タコからスライム?
タコがスライムを召喚したわけじゃないよね?
体内で飼っていた?
それとも、寄生していたのかな?
しかし、なぜスライムを撒き散らしているんだ?
あ!
街だ!
スライムたちは、各街に着陸して暴れ始めている。
くそう!
タコとの戦いが忙しくて助けに行く余裕なんてないのに!
「雷精霊、火精霊、
ちょっとエレナに連絡をするから、攻撃中断だ」
「了解」「わかったぜ!」
「竜化を解くから、気をつけろよ」
俺は、空中で竜化をとき、
2人の精霊が俺の頭の上に着陸したのを確認して、
素早く森のなかに【瞬間移動】した。
「うわ! 何で裸なんだよ」
あ、また忘れてた……。
雷精霊が、俺のアレを見て顔を真赤にしている。
全裸の30歳DTが、
小さな女の子を、
人けのない森に連れ込む事案発生。
素早く着替えをして、
エレナに連絡を入れた。
「エレナ、そちらの様子はどうだ?」
「セ、セイジ様! 大変です。
とっても大きなタコと、小さな竜が戦っていました。
そして、空からスライムが!」
見えてたのか……。
しかし、小さな竜って……。
そりゃあタコと比べたら、小さく見えるかもしれないけどさ~。
「エレナおちつけ。
竜は俺だ。タコと戦ってた。
スライムまで手が回らない。
そっちでなんとかできないか?」
「え?
セイジ様が竜!?
スライムは、避難所に侵入しようとしてきていて、
今リルラさんが食い止めています」
「では、エレナは他の街の救援に向かってくれ」
「他の街にもスライムが降ってきてるんですか?」
「ああ、他の街にも行ってるはずだ。
状況を確認して、ヤバそうなところを優先するんだ」
「はい、分かりました」
俺は、いったんエレナとの通話を切って、
今度はアヤに連絡を入れる。
ブルルル~。
しかし、いっこうに出ない。
「こんな時に!
アヤの奴、まだ寝てるのか?」
仕方がないので、ヒルダに連絡を入れる。
ブルルル~。
ガチャ!
「セイジお兄ちゃん、そちらの様子はどうですか?
こっちは、ちょうど子供たちが朝ごはんを食べ終わったところです」
なんとできた妹だ。
昨日、鉱山で助けた10人の女の子たち。
その10人の朝食を、一人で用意して面倒を見てくれていたのか。
「緊急事態だ。
巨大スライムが各街の避難所を襲ってる。
アヤを起こして、すぐに向かってくれ」
「子供たちは、どうしますか?」
「おとなしく留守番するように伝えておいてくれ」
「はい!」
できた妹であるヒルダが、さっそく行動を開始した。
そして、それと入れ替わりにエレナから連絡が。
「セイジ様。各街の状況がわかりました」
「さっそく報告してくれ」
「はい、
9個所の街の避難所の全部に、巨大スライムが現れています。
シンジュ、ニッポ、開拓村は、
リルラさん、ロンド様、レイチェルさんによって、持ちこたえています。
スガ、イケブ、エビスは、
水魔法師たち、冒険者たち、回復魔法師たちによって、交戦中。
王都、トキ、シナガは、ケガ人が出ている模様です」
「よし、まずは、
エレナは王都、ヒルダはシナガ、アヤはトキに向かってくれ」
「はい!
2人にも連絡しておきます!」
あっちはあいつらに任せておけば大丈夫だろう。
「よし、俺たちも戦いを再開するぞ」
「「おー!」」
俺は、再び竜化して、
精霊2人を鼻に乗せ、
超巨大タコと最後の戦いをするために、
再び飛び上がった。
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