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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
王国の危機編
426/438

416.弱点


「行きます!」


 氷精霊は、

 俺の竜の姿よりも大きな氷の塊を出現させた。


 なんか、某国民的RPGのクリスタルのような形だ。



「落とします!」


 氷のクリスタルアタック(自由落下)が超巨大タコに襲いかかる。



ブスリ。


 氷クリスタルは巨大タコの頭のてっぺんにぶっ刺さった。

 そしてその周囲が、氷の冷却能力で少しずつ凍っていく。



 しかし、タコの触手が、

 ぶっ刺さっていた氷クリスタルを、さっと払い除けてしまった。


 払いのけられた時に氷が粉々に砕け散って、

 二次災害が起こらなかっただけでも良しとするかな。



「私の攻撃はどうですか!」


 氷精霊は、ドヤ顔でそう言った……。



 どうと言われましても……、

 多分、HPを1%くらいしか削れてないかも。



「あと同じ攻撃を100回頼むよ」


「……わたし、帰らせてもらいます」


 氷精霊は無表情のまま、そそくさと帰ってしまった。


 あれ?

 今の俺のセリフ、ブラック企業っぽかった?




 氷精霊が帰ってしまった。


 残ったのは……、

 雷、火、闇の3精霊のみ。


 まるで、ハードワークに嫌気がさした仲間が、1人また1人と辞めていき、

 さらにデスマーチが加速していく、

 そんな、どこかの開発現場のような状況だな……。



「残ってくれたのは、君たちだけだが……、

 ここは、我々の力でなんとか乗り越えていこう」


「はい。

 私は、セイジさんと一緒なら、たとえ火の中水の中……」

 闇精霊……すこし病んでるっぽい発言だな。


「まあ、君とは、なんだかんだ付き合いが長いし、

 ギリギリまで付き合うよ」

 雷精霊は、けっこう義理堅い奴だな。


「あたし、もっと空気のあるところに行きたい」

 火精霊は、あんまり状況を理解していないのかな?



「でも、どうするんだい?

 こんな遠くちゃ、あたいの電撃も届かないよ?」

「近づくと触手が危ないんだよ」

 いろんな意味でな。



「じゃあ、私がなんとかします!」


 どうやら闇精霊が、いい案があるらしい。

 どんな案だろう?



「行きます!」

 闇精霊は、魔力を込め、

 周囲に『闇』を作り出した。


 この闇で、何をするんだろう?


 と思っていたら、

 闇がどんどん広がっていき、

 竜の姿の俺を、すっぽり覆い尽くしてしまった。



「ちょっとまった。

 これじゃあ、俺たちも、何も見えないじゃないか」

「だいじょうぶです」


 闇精霊が、指をパチンとならすと、

 視界がいきなり良くなった。


「外からは見えませんが、

 中からはちゃんと見えます」


 なるほど、マジックミラーか。


「セイジさん。

 この闇の中なら、ヘンなことをシても、外にはバレません」


 何をシようというのかな?

 俺には、ぜんぜんワカラナイな~。




 闇に隠れて、ヘンなことはせずに、

 超巨大タコに近づいていく。


「この距離なら、雷いけるか?」

「うん、任せて!」


バリバリ!


 雷精霊の電撃が、タコの胴体に炸裂する。


 どうやらタコは雷が弱点らしく、

 激しくビクンビクンと痙攣している。


「いいぞ!

 もっとやっちまえ!」

「よしきた!」


バリバリバリ!!



 いい感じだ。

 雷精霊の攻撃は、けっこう効いているようだ。


 しかも闇が包んでいるおかげで、タコには俺たちの場所が分からないらしく、

 触手は、でたらめに攻撃するばかり。


 これは、行けるんじゃないか?




 しばらく、バリバリしていたのだが……。


「魔力が、そろそろきつい。

 ちょっと休ませてくれ」


 雷精霊も、休みなく攻撃し続けることはできない。


「わかった」


 そこからは、休み休み攻撃を続けた。



 そんな中でも、闇精霊は休まずに俺たちを闇で隠し続けてくれている。

 なんという働き者なのだろう。


 そして、さっきから姿が見えない火精霊は、どうしているのかというと……。


 俺の鼻の穴の中で、グースカ寝ていた……。


「おい、火精霊。起きろよ。

 そして、お前も手伝え」

「ん? もう朝?

 うわ、雨降ってるじゃん。

 雨の日は、体が濡れて力が出ないから、お休みなの!」


 使えね~。

 お前は、国民的パンのヒーローかよ。



 まあ、俺には頼れる相棒の雷精霊と闇精霊がいるから、別にいいけど!



「雷精霊。そろそろ次の攻撃に行けそうか?」

「もうちょっと待って。

 電力の生成が追いつかないんだ。

 セイジ、ちょっと手伝ってくれ」


 うーむ、

 俺は、触手のデタラメな攻撃に当たらないように、

 ある程度、回避行動に集中していたいのだが……。


 雷精霊にだけ、無理をさせるわけにもいかない。

 回避しながらでも、電力生成を手伝うか。



 触手の動きに注意しつつ、

 飛ぶための魔力とは別に、電力生成にも魔力を使っていく。

 そして、その生成した電力を、

 俺の鼻先に乗っている雷精霊に渡す。


「どうだ?」

「うん、行けそう!」


バリバリバリバリ。



 いい感じだ。

 さっきより威力が上昇している。



「闇精霊は、大丈夫か?」

「大丈夫……。

 セイジさんのために、私の魂のすべてをかけて!」


 なんか、トランス状態になっている感じだ。

 もの凄く集中して、俺たちを隠す闇を生み出し続けている。



「魔力がきつくなったら、俺の魔力を吸ってもいいからな」

「セイジさんの、魔力を吸う……、

 い、いいの?」

「ああ、まだ何とかなる」

「う、うれしい……」


 闇精霊は、俺の首筋の辺りにしがみついて、キスをした。


チュー。


 ああ、何か力が抜ける感じがする。

 けっこう遠慮なく吸ってるな。

 ちょっとヤバイかも。



 俺は、【肉体強化】魔法の【魔力回復速度強化】を目一杯使って、

 魔力を回復させつつ、踏ん張った。



 魔力回復、電力生成、触手の回避。

 けっこう忙しい。


-----


 その後、俺たち3人でチマチマ攻撃をし続け、

 超巨大タコのHPを、やっと半分にまで減らすことに成功した……。


ご感想お待ちしております。


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