415.いろいろやってみる
超巨大タコを目の前にして、
どのように攻めるか、考えていた。
接近戦もダメ。
遠距離戦もダメ。
こういうのを『八方ふさがり』というのだろう。
ただ、『八方』というのは、東西南北と斜めの8方向だ。
だとすれば、まだ方向はある。
上だ。
上方向からの攻撃なら、触手が届かない位置から攻撃ができて、
墨攻撃も威力が弱まるはずだ。
俺は、翼に魔力をこめ、上空20㎞に上昇した。
20㎞といえば、2万㍍だ。
なんか、宇宙空間に来たような気分だ。
そして、空気が薄くて寒い!
なにせエベレストの標高の2倍以上だからな~。
自分のまわりの空気に対して、
風の魔法で気圧を上げ、火の魔法で気温をあげているので大丈夫だけど、
今は竜の姿とはいえ、魔法がなかったら、とっくに死んでたな。
そして触手は、この高さまでは届かないみたいで、
超巨大タコは、届かない俺に向かって、竜巻の触手をウネウネさせるばかり。
ここなら、こころおきなく攻撃できる。
「いろいろ、やってみるかな」
まずは、風の息。
眼下の超巨大タコに向けて、真下に風の息を吹き付ける。
あわよくば、雨雲を吹き飛ばせるかと思ったんだけど……。
雨雲を少しだけ押しのけて本体がチラッと見えただけで、
すぐに元通りになってしまった。
ダメか……。
次は、水の息。
これもダメだった。
距離がありすぎて、水が途中で四散してしまうのだ。
火の息は、下には攻撃できなさそうだし。
こうなったら、精霊たちに頼るしかない。
まずは、一番頼りになりそうなこいつからだ。
「土精霊召喚!!!」
「うわ! ここどこ?
ってか、何で竜なの!?」
風と水の精霊は、帰っちゃったけど、
土の精霊は、大丈夫みたいだ。
しかし、体のサイズ差が激しいな。
俺の竜の体からみて土精霊は、ミジンコ並に小さく見える。
「下の奴をやっつけたいんだ。
何か攻撃できるか?」
「アレが敵か!?
でかいな!
うーむ、オレの攻撃が通用するかな」
いつも攻撃的な土精霊が、やけに弱気だな。
「まあ、だめもとで思いっきりやっちゃってくれ」
「了解」
土精霊は、俺たちのすぐ近くに、
直径200㍍の岩を出現させた。
そして、その巨大な岩は、重力に身をまかせ、
真下のタコに向かって落下していく。
ただの岩といっても、高度2万㍍だ。
岩は、徐々に速度を上げていく。
かなりの速度となった巨大岩は、
タコを取り巻く雨雲を突き抜け、
本体に直撃した。
ドゴーン!
岩は、ものすごい音を立ててタコの本体に命中したのだが……。
粉々に砕けて、パラパラ落ちていってしまった。
タコは、竜巻をまとった触手で、命中したところをペタペタ触っている。
ダメージ的には、たんこぶができたくらいかな?
「土精霊、もっと大きい岩は出せないのか?」
「アレが精一杯だよ」
「じゃあ、もっと固くしたり、尖らせたりはできないか?」
「うむ、やってみよう」
土精霊は、さっきより硬そうな、先の尖った巨大な岩を出現させた。
そして、さっきと同じように真っ赤になって落下していく。
「おお、いいじゃないか!」
尖っている分だけ、空気抵抗が少ないのか、
さっきより、速度が出ている気がする。
そして、雨雲を切り裂いて、
タコ本体に、ブスリと刺さった。
「やった!」
タコは、尖った岩が刺さった痛みで、暴れ始めた。
そして、刺さっていた岩を、触手で払い除けた。
払いのけられた巨大岩は、とある方向に向かって飛んでいく。
巨大岩が飛んで行く方向には……、
王都の街があった。
「あ、マズイ。
土精霊、早くアレを消してくれ」
このままだと、王都に巨大岩が激突してしまう。
「ゴメン、もう魔力が残っていない」
土精霊は、俺の体の中に戻っていってしまった。
「くそっ!!」
俺は、【瞬間移動】で先回りして、
飛んでいく岩にたいして、体当たりで取り付きつつ、
巨大岩を素早く【インベントリ】に入れた。
「危ね~」
後ろを振り返ると、
すぐ近くに王都の『城』があった。
もうちょっと遅れていたら、
半壊している城が、全壊するところだった。
そして、飛んでいく岩に取り付くために、
俺も少しダメージを食らってしまった。
この【インベントリ】にしまった岩を上空から落とせば、
また同じような攻撃ができる。
しかし、また振り払われたら、どこに飛んで行くかわからない。
別の攻撃を考えよう。
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俺は、再び2万㍍上空に舞い戻った。
「もう面倒くさい。
出てこれる精霊、全員召喚!」
出てきたのは、
雷、氷、闇、火の4人だけだった。
「でけえタコ!」
雷精霊も驚いている。
「ひぃ!」
氷精霊は、出てきてくれたものの、
巨大タコに驚いて、腰が引けている。
「セイジさんが、竜になってる~!」
闇精霊は、そっちに驚くのかよ。
「さむーい」
火精霊は、寒いのが苦手みたいだ。
そして、俺の鼻の穴の中に入ってしまった。
ちょっと、クシャミでそう。
「よく出てきてくれた。
俺はいま、下の超巨大タコと交戦中だ。
君たちの力を貸してほしい」
「おう!」「ひゃぃ」「はーい」「うん」
「誰からやる?」
「私からやります」
まっさきに手をあげたのは、氷精霊だった。
タコを怖がっていたのに、意外だな。
「私の攻撃が終わったら、すぐに帰らせてもらいます」
なるほど、
やることをやったら、さっさと帰りたいのね。
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