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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
王国の危機編
420/438

410.私のすべてを捧げます


「ライルゲバルト様を発見!!!」

 兵士のひとりが、叫ぶ。


 慌ただしく兵士が集まり、まわりの瓦礫を除去していく。



「うぅ……」

「生きていらっしゃるぞ!!」

 兵士たちの動きが加速する。



「引きずり出すぞー!」

「「おー!!!」」



「痛い痛い! もっと丁寧に動かすのじゃ!」

 あれ?

 ライルゲバルトって、こんな声だっけ?



 と思ったら、ライルゲバルトの下から王様が出てきた。


「お、王様! ご無事で……」



 なるほど。

 ライルゲバルトは、身を投げ打って王様を助けたのか……。

 この王様には、もったいないくらいの忠臣ものだな。



「ライルゲバルト様も息があるぞ!」


 あ、なんだ。

 生きてたのか。



「早く、回復魔法師を!」

「ダメだ、先ほどの騒ぎで、みな避難してしまった」

「どうする!

 このままだとライルゲバルト様の命が危ないぞ!」


 もー、仕方がないなー。



「俺、回復魔法を使えます」

「助かる。早く頼む!」


【鑑定】してみると、HPがかなり危険な状態になっていた。


 さっそく【回復魔法】で治療を開始する。



 しかし……、

 瓦礫の直撃を受けたのだろう、

 手足と背中が、かなりやばいことになっている。


 手と背中の傷は【回復魔法】で治療できそうだが……、

 足は……まったく原型をとどめていない。

 とてもじゃないが、これは無理そうだ。



「わしもケガをしておるのだぞ!

 さっさと、わしも【回復魔法】で治療しろ!」


 俺が、ライルゲバルトの治療をしている最中だというのに、

 後ろで王様が、わめいている。


 エレナの父親じゃなければ、反射的にぶっ殺しているところだ。

 何を話しても、怒りがこみ上げてきてしまいそうなので、無視することにした。



ガタンッ!

ガラガラ。


 まだ治療中だというのに、

 もろくなっている城の壁や天井が、また崩れ始めた。


「ヤバイ!

 ここは危険だ。

 お前たち、避難しろ」

「し、しかし、ライルゲバルト様が……」


 たしかに、ここで治療していては危険だ。


「ライルゲバルトは、俺が魔法でリルラのところに連れて行くから、

 お前たちは逃げろ」

「わ、分かりました」



 俺は、ライルゲバルトを掴んで【瞬間移動】の準備に入る。


「わしも、連れて行け!」


【瞬間移動】の直前に、王様が掴んできて、

 王様も一緒に【瞬間移動】してしまった。


-----


「お、お父様!!!!」


【瞬間移動】してきた俺たちに気がついたリルラは、

 ボロボロのライルゲバルトを見て、取り乱していた。



「リルラ待て! 今、治療しているところだ」

「だ、だ、大丈夫なのか?

 ああ、お父様。なぜこんなことに……。

 あ、足が……」


「大丈夫だ。

 王様を助けるために身を挺したらしい。

 足は、俺の【回復魔法】じゃ、ちょっと無理だ」

「お、お父様……ごりっぱです……」


 リルラは、そういいつつ、目に涙をためていた。



「そんなことより、わしのケガを先に治せ。

 セイジ! 聞こえないのか?」


 ここまでくると、さすがに我慢の限界だ……。


「うるさい、黙れ」

「ひぃ」


 いかんいかん、少し殺気がこもってしまった。

 まあでも、静かになったからいいか。



「もしもし。

 エ、エレナ様ですか? こんな時間に申し訳ありません。

 た、助けてください。お、お父様が……」


 え?

 リルラ、何してるんだ?



 あ、俺のあげたタブレット端末で、エレナを呼び出したのか。


 エレナたちは家でぐっすり寝てたから、

 なにかあるまでそのままにしてたんだよね。


 リルラがエレナに助けを求めるなんて、

 よほどライルゲバルトを心配しているんだな。



「はい、分かりました。

 代わります」


 どうやら、エレナが俺に代わってほしいといっているのだろう。

 リルラが、端末を俺に差し出す。



「もしもし、エレナか?」

『はい、エレナです。

 そちらの状況はどうなっているのですか?』


「城が崩れて、ライルゲバルトがケガ負った。

 俺が【回復魔法】で治療しているが、まだ意識が戻らない」

『お父様は?』

「元気だ。ライルゲバルトが身を挺して庇ったんだ」

『私もそちらに行きます。セイジ様、迎えに来てくださいませんか?』

「分かった、すぐ行く」


 ライルゲバルトの治療を一時中断して、

 俺はエレナを連れてきた。


 ちなみに、アヤとヒルダと10人の奴隷少女たちは、まだ寝ていた。



「エレナ様!

 お願いします、お父様を……」

「はい!」


 エレナは、脇目もふらず、ライルゲバルトに駆け寄る。



「エレナ!

 よかった。わし、ケガをしているのだ。早く治してくれ」

「お父様は邪魔です!」


 エレナは、王様を無視して

『アスクレピオスの杖』を取り出し、治療を開始する。



「エ、エレナまで……」

 王様は、いじけて部屋を出ていってしまった。



 まあ、あんな奴のことは、どうでもいい。



「エレナ様。私のすべてを捧げますから、どうかお父様をお助けください……」

 リルラは、そうとうテンパっているようだ。


「大丈夫ですよ」

 エレナは、治療を進めながら、優しく微笑みかける。

 リルラは、まるで女神に遭遇したかのように、そんなエレナの前にひざまずく。



 そして……。


「ううん……」

「お、お父様!」

 どうやら、ライルゲバルトの意識が戻ったみたいだ。


 さすがエレナ。

 ケガ人を治そうという純粋な気持ちの強さに関しては、誰もかなわないな。



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