38.肉体強化の神殿
朝が来て目が覚めると
俺は拘束されていた
身動きひとつ取れない
どうしてこうなった!
「おはよう、兄ちゃん」
「おはよう、アヤ
俺はどうしてこんな状態になってるんだ?」
「兄ちゃんが勝手にベッドで寝ちゃうからでしょ」
そうか、俺は酔いがまわってベッドで寝てしまったのか
「それで、アヤさんや
早くどいてくれないか?俺、動けないんだけど」
「ああ、ごめんごめん」
アヤは、やっと俺の腕枕から退いてくれた
しかし、まだ身動きが取れない
反対側の腕がエレナの首の下にあるためだ
「あ、セイジ様、おはようございます」
「おはよう、エレナ」
「所で、なんで俺は二人を腕枕してたんだ?」
「それは、兄ちゃんがベッドの中央で大の字になって寝ちゃったからだよ
私とエレナちゃんが寝るには、兄ちゃんの腕を枕にするしか無いじゃんよ」
「そうか、それはすまなかった」
「所で兄ちゃん」
「なんだ?」
「変なところが【テント】になっておられますよぉ?」
「な!?それは仕方ないだろ!朝なんだから!」
「それに、いつまでエレナちゃんと【ベッドイン】してるつもりなのかな?」
「うわ!」
俺とエレナは、いそいそとベッドから降りた
「さーて、今日から冒険が始まるぞ!」
「兄ちゃん、ごまかした~」
俺は二人に気付かれないようにポジションを直した
宿屋の受付で、今晩の部屋の空き状況を聞いたところ
ちゃんと二部屋取れるということなので、朝の内に予約をして二部屋分の料金を支払っておいた
朝食は大通り沿いの屋台で軽く済ませ
第一の目的だった【肉体強化の神殿】に向かった
建物は【風の神殿】に似た感じだが、神殿に訪れる人達の雰囲気が全然違っていた
『マッチョマン』ばかりなのだ
まあ【肉体強化の神殿】なのだからそんな感じの人ばかり集まるのはムリもないことだよな
俺達は拝観料がいくらなのかを聴きに受付に向かった
「平民の方は、毎週開催される『闘技大会』で優勝しないと拝観することは出来ません」
「な、なんだってー!!」
『闘技大会』ってなんだよ!
拝観料払うだけじゃないのかよ!
色々聞いてみたところ
・『闘技大会』は毎週日曜日に開催
・参加登録は土曜日の内に行う
・『男性の部』と『女性の部』に分かれている
・大会はトーナメント形式で行われる
・遠距離武器、遠距離魔法攻撃は禁止
・武器は大会側で用意した刃を潰した物を使用する
・傷の回復を行える回復魔法師も募集している
・回復魔法師として働いた人は拝観可能
こんな感じらしい
「俺が『男性の部』、エレナが回復魔法師で参加かな
アヤは無理そうだから応援よろしくな」
「いやよ!」
「お前『格闘』なんて出来ないだろ?
遠距離魔法攻撃も禁止なんだぞ?」
「今日一日で特訓する!」
「おまえなー、怪我したらどうするんだ」
「相手は全員女性なんでしょ、平気よ」
取り敢えず、特訓は行って夕方くらいに判断することで話はまとまった
まあ、アヤを参加させるつもりはないけどな
【神殿】を後にした俺達は、【武器と防具の店】に立ち寄った
しかし、店は開いていなかった
時間が早すぎたかな?
しかたがないので、俺達はそのまま街の外へ向かった
「よう、兄ちゃん待ってたぜ」
街の出口近くで、見覚えのある奴に声をかけられた
ん?待ってた?どういう事だ?
俺達は複数の男たちに裏路地へと連れて行かれた
「なにかごようですか?」
「昨日の100ゴールドをもう使っちまってよ~
もう100ゴールド貰いに来たんだ」
「は?もう100ゴールドってどういう事ですか?」
「いいから、もう100ゴールド出せって言ってんだよ
痛い目に遭いたくなかったら、さっさと出せ!」
どうやら昨日100ゴールド出したのは間違いだったようだ
俺は気付かれないように、俺達3人に【クイック】、取り囲んでいる男たち全員に【スロウ】をかけておいた
「冒険者さん、一つご相談なのですが」
「なんだ?」
「昨日あなたとぶつかったのはこの娘ですがー」
「だからなんだ?」
「この娘と1対1で戦って、負けた方が勝った方に200ゴールド支払うと言うのはどうですか?」
「なんだと!?」
「ちょっ兄ちゃん!」
「セイジ様、それは流石にムリですよ!」
実はこの男、【鑑定】結果はレベル3で見かけ倒しなのだ
さらに【クイック】と【スロウ】まで掛かっているし
もし相手の攻撃が当たりそうになったら俺がバリアで防ぐつもりだから、アヤが負ける要素は無い
「アヤ、お前は冒険者になるんだろう?
この人に勝てないようじゃ冒険者はムリだぞ」
「で、でも……」
「武器はこれを使え」
俺はインベントリから例のナイフを取り出してアヤに渡した
「こ、このナイフは……」
「エレナを守れる様になるんだろ?」
「う、うん……
分かった、私、頑張る!」
「アヤさん、無茶です!」
「エレナ、もしアヤが怪我したら治してやってくれ」
「そ、それはもちろん治しますけど・・」
「そんなナイフで俺様とやろうっていうのか?
こんな小娘と戦って200ゴールドとは、大儲けだな
ぐわっははは!」
アヤは男に向かってナイフを構えた
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