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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
王国の危機編
418/438

408.危険エリア


 俺は、リルラの制止を振り切り、

 台風の様子を見に外へ出てきた。



 風もすごく強くて飛ばされそうだが、

 魔法で、自分に当たる風をよけているので、なんとか大丈夫だ。


 それよりすごいのが、雨だ。

 あちこちで大きな水の塊が、そのまま落ちてくる。

 これ……すごすぎて、とても雨と呼べるレベルじゃないな。



『注意』エリアだった所を見に行ってみると……。

 おそらく、少し地面が低いのだろう。

 まわりから水が集まってきて、

 大きな川になり、西の方へ流れていっている。


 避難は完了しているので人はいないが、民家なども流されてしまっている。


 これはさすがに普通の台風ではなさそうだ。



 自然現象に対して、むやみに魔法の力を使うのは良くないと思っていたけど、

 さすがに、そうもいってはいられない。



 俺は、専門家を呼ぶことにした。



「【風精霊召喚】! 【水精霊召喚】!!」


 2体の精霊を召喚した。



「うわ! こ、これは!?」「ひぃ!」


 あれ?

 風精霊と水精霊に相談しようと思って呼び出したのに……。

 2人とも、激しく怯えている。



「ちょっと2人とも、この状況をどうしたらいいか相談したいんだけど……」

「ムリムリ!」「タスケテ」


 ダメだ、怯えてしまって、話にならない。



「じゃあ、俺が竜に変身して、吹き飛ばしてしまうか?」

「そんなことしたらダメ!!」


 水精霊がさらに怯えている。


 どうしたっていうんだ?

 怯え方が尋常じゃない。



「とにかく、何もせずに早く逃げるのです!」

「絶対に戦ってはダメです!」


 風精霊と水精霊は、怯えて俺の体の中に戻っていってしまった。

 何だっていうんだ?



 せっかく召喚したのに、何も相談できなかった……。

 しかし、このままというわけにもいかない。

 どうしよう…‥。




 考え込んでいると、

 急に、【警戒】魔法が『危険』を知らせてきた。



 地図を見てみると、『注意』を示す黄色いエリアが、

 まるで赤い触手が伸びるように西から徐々に『危険』を示す赤色に変わっていく。


 おそらく台風の中心が近づいてきているのだろう。

 今ですらこんな状況なのに、台風の中心が直撃したらどうなってしまうのだろう。



 もう一度、【警戒】魔法が『危険』を知らせてきた。


 その場所を見てみると、

 上空の雨雲がグイッと垂れ下がり、

 そこから巨大な竜巻が発生して落ちてきた。


ズドーーーンッ。


 下方向にものすごい勢いで伸びてきた竜巻が、

 真下の民家を直撃し、轟音を響かせて地面に突き刺さった。


 そして、周囲の水が、その竜巻に向かって吸い上げられていく。

 なんという自然の脅威。




 しばらくすると、地図の西側に真っ赤なエリアが広がってきた。


 アレが台風の中心部分か!

 まだ中心部分じゃないのにこの有様ということは、

 中心部分はどうなっているのだろう?



 精霊たちはダメだと言っていたが、

 いざとなったら、俺が竜に変身して吹き飛ばしてしまうしかないだろう。



 そんなこと考えていると、

 リルラから連絡が入った。


「セ、セイジ、すぐ来てくれ」

「どうしたんだ?」


 また怖がっているのかと思ったら。

 どうやら違うみたいだ。



「せっかくセイジが張ってくれた魔法の壁なのだが……。

 人の出入りする入り口から、水が入り込んできてしまっているのだ。

 なんとかならないだろうか?」


 そういえば、人の出入りのために、一部分を開けておいたんだった。

 この期に及んでは、完全に封鎖しないと駄目だな。



 俺は急いで避難所に戻り、

 バリアを完全閉鎖型に張り直した。


 ついでに、風と水だけではなく、雷と物理攻撃も防ぐように少し強化しておいた。



「リルラ、張り直したぞ。これで大丈夫だ」

「セイジ、すまない。

 他の街の避難所も、同じようなことが起こっているとの情報が入った。

 対処をお願いできないだろうか?」


 うーむ、

 面倒くさいけど、やらないとマズイな。



 しかし、リルラの奴。

 さっきまであんなに怖がっていたのに、

 ずいぶんキリッとした表情をしているな。


 覚悟を決めたのかな?


 足元が少し震えているのは見なかったことにしておこう。


-----


 いま俺は、各避難所のバリアを完全封鎖してまわっている。

 これは、けっこう大変だ。

 MPもだいぶ消費してしまっている。

 後で和菓子でも食べておかないと……。




 その作業の途中で、またリルラから連絡が入った。


「セ、セ、セイジ」

 なんか声が震えている。どうしたんだろう?


「こっちは今、ニッポの街の避難所のバリアを張り直しているところだ、

 どうかしたのか?」


「そそそ、そうか……。

 こここ、こち、こちらは……、まったく問題ない。

 ひきひき、引き続き、さささ作業を頼んだ」


 通話はそれだけで切れてしまったが、

 あからさまに、リルラの様子がおかしかった。



【追跡用ビーコン】で様子を見てみると……。


 リルラは、激しく震えていた。



 あれ?


 違う!

 リルラが震えてるのではない。

 リルラの立っている場所が揺れてるんだ。


 何事だ!?



 どうやら、あまりの風と雨の激しさに、

 その衝撃で避難所全体が揺れているらしい。


 台風の中心が、ちょうどリルラの上空あたりを通過しているのだろう。




 バリアの張り替え作業を行いながら、

 引き続き【追跡用ビーコン】でリルラの様子を見ていると、


 不安そうな表情の兵士が、大急ぎでやってきた。


『リルラ様、大変です!

 避難民たちが、騒ぎ始めております』

 これはマズイな。

 こういう状況で1番怖いのはパニックだ。


『わ、分かった。私が行く』

 リルラは、表情を引き締め、

 避難民たちのいる大部屋へと向かった。


ご感想お待ちしております。

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